大谷翔平、今季中にも総額400億円以上で契約延長か?!
今季開幕前にロサンゼルス・エンゼルスと2年総額850万ドルで契約を延長した大谷翔平。この契約は2022年シーズン終了まで有効で、今季年俸は300万ドル、来季年俸は550万ドルだ。
メジャー1年目はリーグ最低年俸の55万ドル、2年目は65万ドル、3年目だった昨季は70万ドルと年俸は超格安だった大谷は、年俸調停の資格を得た今季は前年比で4倍以上に跳ね上がったが、まだメジャー平均(417万ドル)には届いていない。
今季前半戦はMVP最有力候補に挙げられた大谷は、開幕前に結んだ契約の終了を待たずに超大型の再契約を結ぶかもしれない。
大谷が結ぶ超大型の再契約の内容を予想する前に、メジャーの契約延長トップ10を見てみたい。これはフリーエージェント(FA)でチームを移ったときに交わした契約ではなく、所属チームがFAでの放出を避けるために結んだ契約である。
1位:マイク・トラウト(エンゼルス)12年総額4億2650万ドル、外野手
大谷のチームメイトでもあるトラウトは、26歳だった2019年3月にエンゼルスと12年総額4億2650万ドルで契約を結び直した。
23歳だった2015年に6年総額1億4450万ドルでエンゼルスと再契約しており、この契約は2020年まで有効だったが、エンゼルスは契約終了の2年前に4億ドル超えの再契約を提示することで、メジャー最高の選手の流出を防いだ。
エンゼルスは大谷に対しても、契約が終わる2022年シーズン終了後まで待たず、早ければ今季中にも再契約に向けて動くと思われる根拠がここにある。トラウトは12年契約を結んだ2019年シーズン途中に27歳の誕生日を迎えたが、大谷も27歳になったばかりである。
2位:ムーキー・ベッツ(ドジャース)12年間総額3億6500万ドル、外野手
2020年1月に年俸調停を避けてボストン・レッドソックスと2700万ドルで1年契約を結んだベッツは、その1ヶ月後にトレードでドジャースへ放出された。
ドジャースはベッツ獲得直後から長期再契約に向けて動き始め、シーズン中の7月に12年3億6500万ドルで合意。ベッツがこの契約に合意した年齢は、今の大谷と同じく27歳だった。
3位:フランシスコ・リンドーア(メッツ)10年総額3億4100万ドル、遊撃手
ベッツ同様に、トレードで新チームへ移籍した直後に10年の大型契約を結んだのがリンドーア。
今年1月にクリーブランド・インディアンズからニューヨーク・メッツへトレードされると、まずは年俸調停を避けて1年2230万ドルで単年契約。リンドーア・サイドとメッツの話し合いは続き、開幕直後の4月5日に来シーズンから始まる10年3億4100万ドルで合意した。リンドーアも再契約時には27歳だった。
4位:フェルナンド・タティースJr.(パドレス)14年総額3億4000万ドル、遊撃手
大谷が大型契約を結ぶ際に参考になりそうなのが、タティースJr.が今年2月にサンディエゴ・パドレスと結んだ14年総額3億4000万ドルの契約だ。
トラウトとベッツはMVPを獲得している実績があるし、リンドーアも再契約を結ぶ前に4年連続してオールスターに選ばれていたが、タティースJr.の場合は22歳と若く、契約前に2年間しか活躍していない。
契約期間は14年間と長期に渡るが、今季の年俸は100万ドル、来季は500万ドル、2023年は700万ドル、24年も1100万ドルと安く抑えられており、年俸が2000万ドルを超えるのは2025年になってから。25年から契約が終了する2034年までは10年間総額で3億600万ドルになる。ちなみに25年シーズンのタティースJr.は26歳になっている。
5位:ジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)13年総額3億2500万ドル、外野手
長期大型契約にはトレード禁止条項が付きものだし、トレードをしようと思っても、その巨大な契約が足枷になって引き取り手を探すのが難しいが、スタントンは大型契約中にトレードでチームを移籍している。
スタントンがマイアミ・マーリンズとMLB史上初となる3億ドルの契約を結んだのは、2014年11月、24歳でメジャー5年目のシーズンを終えた直後だった。契約にはメジャー全29球団が対象のトレード禁止条約も含まれていたが、17年12月にスタントンがニューヨーク・ヤンキースへのトレードを承認して、契約を9年残しての移籍が実現した。
6位:ミゲル・カブレラ(タイガース)8年総額2億4800万ドル、一塁手
2012年に三冠王になり、13年には2年連続でMVPを受賞したカブレラは、2008年に結んだ8年総額1億5230万ドルの契約が2015年シーズンで切れる前の2014年3月に、2016年シーズンから始まる8年契約でデトロイト・タイガースとの延長に合意。2016年は開幕後に33歳となる選手に対しては、異例とも呼べる8年契約だった。新契約1年目となる16年は打率.316、38本塁打と合格点の成績を残したが、翌17年から成績が急降下して、打率3割も、17本塁打以上も記録したことがなく、大方の予想通りに不良債権と化している。
7位:スティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)7年総額2億4500万ドル、投手
ここまでの上位6人は全員が野手で、投手が長期の再契約を手にするのは難しい。数少ない例外がストラスバーグで、FAとなった2019年12月にワシントン・ナショナルズと7年2億4500万ドルで再契約を結んだ。
所属チームと再契約を結んでいるが、実質的には一度、FAとなってから契約しているので、細かく言うと「再契約」ではなく「FA契約」である。投手が長期の大型契約を得る際は、ほとんどの場合がFA契約であり、このときのストラスバーグもそうだった。
8位:ノーラン・アレナド(ロッキーズ)7年総額2億3400万ドル、三塁手
2019年2月に当時所属していたコロラド・ロッキーズと7年2億3400万ドルで再契約したアレナドは、スタントン同様に全球団を対象としたトレード禁止条約が付いていたが、ロッキーズが低迷を続けていたこともあり、今季開幕前にセントルイス・カージナルスへのトレードを承認。7年総額1億9900万ドルの契約をカージナルスが引き継いだが5100万ドルはカージナルスが負担する。アレナドがこの契約に署名したときも27歳だった。
9位:ジョーイ・ボット(レッズ)10年総額2億2500万ドル、一塁手
シンシナティ・レッズ一筋のボットは、2011年1月に結んだ3年総額3800万ドルの契約が終了する前の12年4月に、14年シーズンから始まる10年契約に合意。
31歳だった15年シーズンはMVP投票で3位、17年も2位と出だしは良かったが、30代半ばを過ぎてから成績が下降線を描いて、年俸に見合った働きはできていない。
10位:クレイトン・カーショウ(ドジャース)7年総額2億1500万ドル、投手
投手として「純粋」な再契約でトップ10に名前を唯一連ねたのがロサンゼルス・ドジャースのカーショウ。FA権を手にする前年の2014年1月に7年契約を結んだが、このときはまだ26歳と若く、契約終了時でもまだ32歳と働き盛り。
この契約には2018年シーズン終了後に契約を破棄できる条項が付いており、カーショウは18年終了後に契約を破棄。ドジャースと新たに3年総額9300万ドルで契約を結び直した。
大谷の新契約は?
上位3人のベッツ、トラウト、リンドーア、そして8位のアレナドと10人中4人が、27歳の年に大型契約を結んでおり、今27歳の大谷が来季開幕までにエンゼルスと再契約を結ぶ可能性は高い。
契約期間は11年。現行契約の残り1年に、新契約10年を加えた11年だと予想する。この場合、大谷が契約を完了するのは38歳で、今季のカブレラ、来季のボットと同じ年齢となる。契約最後の2、3年は衰えてしまい、不良債権と化す可能性は高いが、今季を含めた若い時期に格安年俸で働いてもらえたので、球団側もその程度のリスクを抱えないと選手を引き留めることは難しい。
最も気になるのが金額だが、タティースJr.の契約が基準となりそうだ。
タティースJr.はメジャー1年目の2019年のrWARが4.2で、20年は2.8。大型契約を結ぶ前のメジャー通算rWARは7.0だった。
大谷はメジャー1年目の18年が4.0、19年は2.3で、メジャー最初の2年間の合計rWARは6.3。タティースとほぼ同じレベルの貢献度を残した。
タティースの契約の最後の10年間は総額3億600万ドル。大谷も10年3億ドルと予想するが、これはあくまでも打者・大谷の部分。
二刀流選手として投手・大谷の評価額は5年1億ドルか?5年としたのは、体力的なことを考えると、32、33歳を過ぎても二刀流を続けるのは肉体的な負担が大きく、その頃には打者に専念すると考えるから。
ただし、日本球界でも、メジャーでも、最初は「二刀流は無理」と言われながらも、前例のない活躍を続けてきた大谷には、30代半ばを前に二刀流を断念するとの考えも無意味なのかもしれない。
以上の資産を考えると、来季開幕前までに大谷が結ぶ新契約は11年総額4億ドル(約440億円)!
メジャー歴代最高の選手になる可能性を秘めているトラウトの12年総額4億2650万ドルに匹敵する金額となる。
エンゼルスは2011年12月にアルバート・プホルスと結んだ10年総額2億4000万ドルの大型契約が今季限りで終わるので、大谷に大型契約を提示することは可能。年俸2120万ドルのジャスティン・アップトンとの契約も2022年が最終年なので、2023年から大谷に3500万ドル以上の高年俸を払う予算も捻出できる。
2003年から球団オーナーを務めるアート・モレノ氏は、プホルスやトラウトなどお気に入りの選手には大金を払うことは厭わない。しかも、大谷は日本のテレビ局からの莫大な放映権料をもたらすだけでなく、球場内に数多くある日系企業の広告、グッズ売上など、多額な収入を球団にもたらしてくれる。
メジャーでは最も稼ぐのはホームラン打者であり、現役最強のホームラン打者であり、唯一の二刀流選手でもある大谷がメジャー最高年俸選手になるのは当然。
1つだけ計算できないのが、お金に執着しない大谷の金銭感覚。メジャーに来るときも、あと2年遅らせれば巨額の契約を手にできたのに、少しでも早くメジャーでプレーするために、メジャー最低年俸でプレーする道を選んでいる。
果たして、エンゼルスは大谷を引き留めるために、どの規模の契約を提示するのか?そして、大谷はその提示に対して、どのような反応をみせるのだろうか?