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「拉致問題」で期待を裏切ったブッシュ・オバマ政権!トランプ政権は?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
トランプ大統領(写真:ロイター/アフロ)

 トランプ大統領が今日(27日)午後にも赤坂の迎賓館で日本人拉致被害者家族らと2017年11月以来、約1年半ぶりに再会する。前回は約30分間、安倍総理も同席していた。

 米国の大統領が拉致被害者家族らと会うのはトランプ大統領で3人目である。新任の大統領と拉致被害者家族らとの対面は今では日米の外交慣例となっている。

 最初に面会したのは同じく共和党のジョージ・W・ブッシュ大統領で、2006年4月に訪米した横田めぐみさんの母・横田早紀江さんや田口八重子さんの兄である家族会代表の飯塚繁雄さんらをホワイトハウスに招き入れていた。この時の面会時間も30分だった。

 後任の民主党のオバマ米大統領も2014年4月に来日した際に迎賓館で拉致被害者家族らとの面会に応じていた。この時は短時間で着席せず、立ち話の感じだったが、オバマ大統領は「政治家としてではなく、親の立場として許せない。日本政府と協力して解決しなければならない」と拉致問題での協力を約束してくれた。

 大統領以外にも、副大統領や国務長官も来日の折にはケースバイケースで家族らの面会に応じている。例えば、2007年2月に来日したブッシュ政権のチェイニー副大統領の場合、面会時間は僅か10分だったが、それでも応対している。

 オバマ政権のヒラリー・クリントン国務長官も2009年2月に来日した際に米大使館で被害者家族らと面会し、拉致問題について聴取していた。この時はブッシュ前大統領がホワイトハウスで面会した時と同じぐらいの時間を割いていた。

 秒刻みのスケジュールの中、30分も割いた狙いはオバマ政権も拉致問題を重要視しているので、日本もアフガン問題などでそれ相応の協力をしてもらいたいとのしたたかな計算も働いていた。

 当時クリントン長官は拉致被害者家族の訴えに「拉致問題は米国としても優先すべきものと理解している。解決のためにはどう圧力をかけていくか、検討したい」と答えていたが、被害者家族らから具体的にテロ支援国指定解除の復活を要求されると「よく調べてから対応する」とお茶を濁してしまった。結局のところ、オバマ政権下でテロ支援国を再指定することはなかった。

 振り返れば、ブッシュ大統領も横田早紀江さんとの面会を「最も心を動かされた面会である」と述べ、その後も「拉致は忘れない」との言葉を再三繰り返していたが、気が付けば北朝鮮の核計画申告への見返りのため日本の反対を押し切り、テロ支援国指定を解除してしまった。

 当時、日本は大いに失望させられ、一部には「米国は日本を見捨てた」との声さえ沸きあがったほどだった。ブッシュ共和党政権からオバマ民主党政権になっても拉致よりも核優先の方針に変わりはなかった。残念ながら、ブッシュ政権下の、またオバマ政権下の拉致問題での発言はほとんど口約束、リップサービスで終わってしまっている。

 一昨年11月に面会に応じたトランプ大統領もまた、更なる制裁と圧力を求める拉致被害者家族らの要望に応え、金正恩委員長を「ロケットマン」と呼び、「殺人政権を孤立させる」と一時的に北朝鮮に対して強い姿勢で臨んだものの数か月もしない間に掌を返し、北朝鮮の非核化のため金委員長との首脳会談に応じる意向を表明してしまった。

 トランプ大統領が一度ならず、二度も拉致被害者家族らに会うわけだから日本側が今度こそ、期待を抱くのは至極当然のことだ。

 日本にとっては「拉致被害者が全員帰国するまでは制裁を解除しない」と北朝鮮に迫ってくれれば御の字だが、「米国ファースト」のトランプ大統領が果たしてそこまで日本と足並みを揃えてくれるだろうか。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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