センバツのお気に入り 第5日/1回戦がほぼ終了。私的ベストナインは……
落語の枕のように、本題と関係ない話から。
甲子園のスコアボードが新しくなり、これまで3面に分かれていたビジョンが1面になった。それとともに表示の数字書体も、若干骨太になっている。で、気づいたのだが、従来の表示ではたとえば「3」が、ひらがなの「ろ」のように、上辺が直線だった。それが新スコアボードでは、辺ではなく丸みを帯びた「3」になっている。そんなことを取材仲間と話していると、
「あとは、BSOの表示部分が上に上がっているね」
ホントだ。時計下側のスペースもビジョンとして1面化したため、BSOのカウントを示す部分が上に押しやられている。皆さんも、いまのスコアボードを古い画像と比較してみて下さい。
さて、センバツは第5日が終わり、30校が登場した。ここまでの印象と活躍度から、勝手にベストナインを選んでみると……。
奥川・山瀬のバッテリーが出色
■投手/奥川恭伸(星稜・石川)
初戦を完封した好投手が目立つ今大会だが、ここは自己最速の151キロを記録して強敵・履正社(大阪)から17三振を奪い、3安打完封した奥川で決まり。履正社・岡田龍生監督も、
「どの変化球も、横から見ていていいところから落ちてきます。あれだけ制球よく放れるピッチャーとは、なかなか対戦したことがありません」
と絶賛していた。奥川本人も「いままでピンチになると、変化球で思い切って腕が振れないことがありました。そこで肚をくくって腕を振って投げられたので、入学以来けっこう上位に入る投球ができたと思います」と自賛している。
■捕手/山瀬慎之助(星稜)
その奥川をリードしたのが、小学生からバッテリーを組む山瀬。速球だけではなくスライダー、フォークを絶妙に配して完封劇を演出した。打っても、先制打を含む3安打1打点。3季連続出場の甲子園で6試合連続安打とし、「甲子園で強いんです」と笑顔を見せた。
■一塁手/中尾拓士(大分)
松山聖陵(愛媛)戦では四番として初回に先制二塁打し、チームの甲子園初勝利に貢献。「一発だけじゃなく、変化球に対応しながら広角に打てるのが持ち味です」と胸を張った。
■二塁手/表悠斗(明豊・大分)
トップバッターとして、横浜(神奈川)戦では3安打2打点。4点を追う3回の適時打は、評判の高い及川雅貴から放ったチーム初得点で、「表の1本で、行けるという雰囲気になりました」(川崎絢平監督)。
■三塁手/奥村真大(龍谷大平安・京都)
スコアレスの投手戦となった津田学園(三重)との11回表、1死二塁から四番・水谷祥平が敬遠された場面で左翼ポール際に決勝二塁打。
「外(の球)が多かったので無理に引っ張らず、逆方向へという意識でした。ただ打った球は抜けてきたので、思い切り振り抜いたから、あそこまで飛んでくれたと思います」
この奥村、父・伸一さんは甲西(滋賀)の86年には三沢商(青森)との開幕戦でホームランを放っている。また兄・展征(現ヤクルト)も、日大山形で出場した13年夏、日大三(西東京)戦でホームラン。つまり奥村がもしホームランを打てば、親子・兄弟本塁打という史上初めての大偉業になる。
■遊撃手/森敬斗(桐蔭学園・神奈川)
敗れはしたが啓新(福井)戦では逆方向に3安打。広い守備範囲と矢のような送球は、昨年大阪桐蔭の春夏連覇メンバー・根尾昂(現中日)のイメージがだぶった。
■外野手/根本翔吾(習志野・千葉)
日章学園(宮崎)戦で、先制打含む3安打。
野村健太(山梨学院)
昨夏の甲子園でも1本アーチを架けた「デスパイネ」(吉田洸二監督の命名)は、札幌第一(北海道)戦で2ホーマー含む3安打5打点。高校通算40号は、松井秀喜(元ヤンキースなど)らに並ぶ大会タイの1試合2本目だった。
福岡大真(筑陽学園・福岡)
福知山成美(京都)戦では3打数2安打。守っても3回、人知憲蔵の右中間へのヒット性のフライを、ランニング好捕。父・真一郎さんは1994年夏、樟南(鹿児島)のエースとして準優勝など、つごう4回の甲子園を経験しているスター球児で、現在は筑陽学園のトレーナーも務めている。