レアル・マドリーは「神童」ウーデゴールを呼び戻すのか?ジダンの要望と移籍市場の複雑な情況。
マルティン・ウーデゴールがレアル・マドリー復帰に近づいている。
ウーデゴールは2019−20シーズン、レアル・ソシエダにレンタル加入。31試合4得点6アシストでソシエダのリーガエスパニョーラ6位フィニッシュとヨーロッパリーグ出場権獲得に大きく貢献した。
当初、ウーデゴールのソシエダへのレンタル期間は2年の予定だった。だが、ここに来て状況が一変。この夏、マドリーに復帰する可能性が高まっている。
■ジダンの要望
マドリーがウーデゴールの復帰に向けて動いている背景として、まずジネディーヌ・ジダン監督の要望が挙げられる。ジダン監督はソシエダで好パフォーマンスを見せていたウーデゴールを高く評価しており、2020-21シーズンに向けた戦力として数える決断を下したようだ。
2015年1月にストレームスゴトセトからマドリーに移籍したウーデゴールは、当時から「神童」と持て囃されていた。15歳でノルウェーA代表デビューを飾った選手に、周囲は好奇の目を向けていた。
だがマドリーはウーデゴールに経験を積ませるためBチーム相当のマドリー・カスティージャでプレーさせるつもりだった。2014-15シーズン、16歳157日の若さでカルロ・アンチェロッティ当時監督の下でトップデビューを飾ったものの、基本的にはウーデゴールはカスティージャの選手だった。
その時、カスティージャで指揮を執っていたのがジダン監督だ。ウーデゴールはジダン監督の下で25試合に出場。少しずつスペインに慣れていった。
■主力の高齢化と移籍市場
マドリーは主力の高齢化が進んでいる。中盤において、それは顕著だ。カゼミーロ(28歳)、トニ・クロース(30歳)、ルカ・モドリッチ(34歳)というチャンピオンズリーグ3連覇を成し遂げたチームで主軸を担っていた選手たちがベテランの域に達してきている。
2019-20シーズン、22歳のフェデリコ・バルベルデが台頭した。それにより、中盤の序列が崩れた。その流れを汲むように、マドリーとジダン監督は21歳のウーデゴールのレンタルバックで新たな血を入れようとしている。
そして、忘れてはならないのは今夏の移籍市場の情況だ。
新型コロナウィルスの影響で各クラブは緊縮財政に走っている。フロレンティーノ・ペレス会長は「この夏に大物選手は獲得しない」と明言しており、ゆえに19-20シーズンにレンタル放出した選手の扱いが重要視されている。
マドリーはアクラフ・ハキミを移籍金4000万ユーロ(約48億円)+500万ユーロ(約6億円)でインテルに売却した。だが現在、ウーデゴール、ダニ・セバジョスの復帰を検討しているとみられている。
「僕は成熟したと思う。以前より年齢を重ね、強くなり、良い選手になった。初めてスペインに来た時より、良い感触がある」とはソシエダでプレーしていた時のウーデゴールの言葉だ。
ソシエダを欧州の舞台へと導いた「神童」は、2度目のマドリーでの挑戦に向けて準備を整えている。