漫画家佐渡川準さん自殺報道:自殺連鎖と夏休みの子ども自殺予防
■漫画家・佐渡川準さん自殺か 代表作「無敵看板娘」
漫画家佐渡川準さん:新人漫画家賞受賞、『週刊少年チャンピオン』『無敵看板娘』にて連載デビュー。現在同雑誌にて『あまねあたためる』連載中。その他の作品として『無敵看板娘N』『PUNISHER』『ハンザスカイ』など。
■漫画家佐渡川準さん自殺報道
週刊漫画雑誌に連載中の現役漫画家、佐渡川準さんの「自殺報道」が流れています。代表作『無敵看板娘』はアニメ化もされています。多くのファンが楽しんだことでしょう。Yahoo!のトップページに載るほどの話題です。マンガファン、アニメファン、この雑誌を読んでいる子どもたちには、大きなショックでしょう。
動機など詳細については不明です。心からお悔やみを申し上げます。
ただ、有名な方の自殺報道は、個人的な出来事では済みません。特に子どもにとっての有名人の自殺です。配慮が必要でしょう。子どもの自殺は、統計上の数で言えば大きな数字ではありません。しかし、未来ある子どもの自殺は、何としても防がなくてはなりませんし、周囲にとても大きな衝撃を与えます。
■自殺連鎖
大きな自殺報道、センセーショナルな自殺報道の後は、連鎖するように自殺が増えることがあります。不用意な自殺報道は控えなければなりません。
心理学の研究、自殺予防の研究によれば、詳しすぎる自殺方法の報道、自殺現場などを繰り返し報道する、自殺の動機を単純化した報道、自殺を美化するような報道は、自殺連鎖を生みかねません。大きな自殺報道をするときには、同時に自殺予防に関する情報も報道すべきです。
自殺された方と似ている人、自殺報道によってショックを受けている人は、特に要注意です。
■子どもの自殺
子どもは、大人から見ると些細な理由で自殺を試みます。
小さな理由で、衝動的に、確実な方法で自殺を試みるのが、子どもの自殺の特徴です。思春期の子どもたちは、影響を受けやすいのが特徴です。心が不安定になるのが、思春期です。
前から悩んでいる子ども、熱烈なファンでショックを受けている子は、みんなで見守りましょう。一声かけましょう。「自殺予防」はとても大切ですが、自殺予防と難しく考えなくても、ちょっと注意して見守る、一声かけることが、結果的に自殺予防につながります。
「死にたい」「消えたい」「やめたい」「遠くに行きたい」「自殺はなぜわるいの?」「人はどうして生きなきゃいけないの?」。このような言葉は、自殺のサインと考えましょう。
ただ、サインはなかなかわかりません。特に子どもの場合は。だから、目をかけ、声をかけましょう。
(佐渡川準さんも、8月11日までツイッターへの投稿を続けていますが、ここから何かのサインを感じとることは、ほとんどできないでしょう。)
■騒ぎすぎず無視もせず:「君は大切な子」と伝えよう
はっきりと自殺のサインを出してくれれば、当然きちんと対処すべきです。ただ、よくわからないときが多いでしょう。たしかに、大人がヒステリックに騒ぎすぎることは、子どもとの信頼関係にひびを入れるでしょう。
しかし、騒ぎすぎより悪いのは、無視することです。ネガティブな発言、死や命に関する質問は、自殺のサインになり得ます。またもちろん、そうでないことも多いでしょう。でも、自殺のサインではないとしても、子どもは何かを感じているからこそ、あなたにそんな言葉を投げかけています。
どうぞ、無視しないで下さい。「無視」ではないけれど、どうしたら良いかわからなくて、結局見て見ぬふりをしてしまう大人もいます。特別な言葉など考えなくて良いと思います。何でもいいすから、ともかく、一声かけましょう。「君を見ているよ」というメッセージを届けましょう。「君は大切な子どもだよ」と、みんなで伝えましょう。
■夏休みだからこそ
今は夏休みです。子どもたちも家にいて、テレビを見ています。漫画家佐渡川準さんの死に、ショックを受けている子もいるはずです。ファンの思いは、他の人にはわからないほど熱烈です。子ども、思春期の子なら、なおさらです。
番組制作者、記事の執筆者には、特段の配慮をお願い申し上げます。
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『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』 碓井真史著