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日本テニス界のエース錦織圭がエールを送る「Road to Wimbledon 2019」(日本予選)

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
(写真はすべて神 仁司が撮影、ソニーα9使用)

 グラスコート佐賀テニスクラブ(佐賀県)で、「Road to Wimbledon 2019(日本予選)」というジュニア大会(14歳以下)が開催されるのは今回で2回目だが、大会趣旨に賛同して、日本テニス界のエースである錦織圭が、参加しているジュニア選手たちにエールを送った。

「ウィンブルドンは、グランドスラムの中でも特別で、僕も毎年楽しみにしている大会です。皆さんも8月にウィンブルドンで開催されるファイナルズを目指して頑張ってください」

昨年に引き続き「Road to Wimbledon 2019(日本予選)」に参加したブロックサムコーチ。いつもテニスコートではエネルギッシュで、子供たちへの指導にも熱が入る
昨年に引き続き「Road to Wimbledon 2019(日本予選)」に参加したブロックサムコーチ。いつもテニスコートではエネルギッシュで、子供たちへの指導にも熱が入る

 そして、錦織を含めたプロ選手でもプレーする機会が非常に少ないグラス(天然芝)コートの印象や、普段慣れていないコートサーフェスに対する難しさも語った。

「芝のコートでは、やっぱり大きな武器が必要になってきます。例えば、サーブだったり、サーブ&ボレーやボレーに出ることだったり、フォアの一発を持っていたり、そういう大きな武器があると、活躍できるのが芝のコートです。自分の得意の武器を磨くいい機会になるかなと思います。

 いろいろやっぱり自分のテニスを変えなければいけないんですけど、僕がいちばん(グラスで)難しいのはフットワークですね。ディフェンスがすごく難しいコートなので、動くのが難しい。ハードコートやクレーコートと比べて、(足を)スライドしてボールを取るのが難しいので、フットワークの部分を僕は一番注意してプレーしています。

(グラスでは)一番大事なのはサーブですけど、それと同時にコートの使い方、スライスを使ったり、アングルを使ったり、芝のコートではいろんなショットが必要になってきます。器用さをアジア人や日本人は持っていると思うので、すごくチャンスのあるサーフェスだと思います」

今回、Road to Wimbledon 2019(日本予選)に初めて参加したヒルトンコーチ。普段はツアーコーチをしているため、今回はモンテカルロから来日した
今回、Road to Wimbledon 2019(日本予選)に初めて参加したヒルトンコーチ。普段はツアーコーチをしているため、今回はモンテカルロから来日した

 このように錦織からのメッセージを受け取ったジュニア選手たちは、8月11~17日に、ウィンブルドンの会場であるオールイングランドローンテニス&クロッケークラブ(以下AELTC)で開催される本大会「Road to Wimbledon 2019 FINALS」への出場を目指して、毎日試合を戦っている。

 だが、「Road to Wimbledon 2019(日本予選)」は、決して試合を行うだけではない。

 試合の後には、イギリスから来日したAELTCのヘッドコーチであるダン・ブロックサム氏とマーク・ヒルトンコーチから直接指導を受けるチャンスがあるのだ。

 日替わりでショット別の練習を行っていく中で、例えば、対戦相手のセカンドサーブに対する攻撃的なリターンの打ち方が指導された。そして、攻撃的なリターンを打つ時のキーワードとして、「スピードを上げる」、「ライジングで打つ」、「正確にボールを捕らえる」という3つをかかげ、ジュニア選手たちにわかりやすく、そして忘れないように繰り返し指導が行われた。

Road to Wimbledon 2019(日本予選)初参加の尾崎里紗プロ(写真右から2人目)は、ジュニア達に笑顔で接し、クリニックの後にはサインをしてあげていた
Road to Wimbledon 2019(日本予選)初参加の尾崎里紗プロ(写真右から2人目)は、ジュニア達に笑顔で接し、クリニックの後にはサインをしてあげていた

 さらに、ワールドツアー転戦中の合間を縫って佐賀に駆けつけてくれた尾崎里紗プロと日比万葉プロもテニスクリニックに参加して、ジュニアと一緒にワークショップを行ったり、ボールを打ち合ったり、直接アドバイスをしたりした。

「やっぱり純粋なエネルギーが多くて、そういうエネルギーをもった選手がどんどん強くなっていくと思います。みんなで集まることによって、ライバル意識も出たり、切磋琢磨してやっていこうと思える気持ちにもなれると思うので、そういう手助けができたらいい。それぞれの選手が、そういう気持ちを忘れずにやっていってほしいなと思います」(尾崎プロ)

日比万葉プロ(写真左)もRoad to Wimbledon 2019(日本予選)初参加。得意の英語で通訳して、コーチとジュニア選手の橋渡し役を務めた
日比万葉プロ(写真左)もRoad to Wimbledon 2019(日本予選)初参加。得意の英語で通訳して、コーチとジュニア選手の橋渡し役を務めた

「楽しかったです。(ジュニア選手が)若いので、フレッシュなエネルギーをもらいました(笑)。すごくテニスを楽しんで、夢に向かってシンプルに頑張っていることがすごく伝わってきました。私もそういう気持ちは忘れないで、頑張っていきたいと感じました」(日比プロ)

尾崎プロと日比プロとテニスクリニックに参加した女子ジュニア選手のみんな(写真はすべて神 仁司が撮影)
尾崎プロと日比プロとテニスクリニックに参加した女子ジュニア選手のみんな(写真はすべて神 仁司が撮影)

 こうして他のイベントでは決して実現しない指導やアドバイスを受けたり、世界で一流のコーチや選手たちと触れ合う経験を子供たちが積めるのが、「Road to Wimbledon 2019(日本予選)」の最大の特長なのだ。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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