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「新聞を読むのが習慣」が47.1%…なぜ月ぎめで新聞を取るのか、その理由をさぐる(2023年度版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
朝の習慣としての新聞の内容確認。月ぎめで取ることで欠かさずにできる(写真:イメージマート)

新聞を購読するもっともメジャーな様式は世帯単位で月ごとに契約し、定期購読する「月ぎめ」によるもの。月ぎめで新聞を取る人はどのような理由で取っているのだろうか。実情を新聞通信調査会が2023年10月に発表した「メディアに関する世論調査」(※)の結果から確認する。

今調査によれば、月ぎめで新聞を取っている人は減少中。もっとも古い記録の2008年度時点では88.6%だったのが、直近年度の2022年度では58.3%にまで減少している。

↑ 月ぎめで取っている新聞(複数回答、新聞種類別)
↑ 月ぎめで取っている新聞(複数回答、新聞種類別)

それでは月ぎめで新聞を取っている人は、具体的にどのような理由で取っているのか。複数回答で答えてもらった結果が次のグラフ(今件の「月ぎめで新聞を取る」は原則紙媒体の新聞の購読契約を意味する)。最多回答率を示した選択肢は「新聞を読むのが習慣」で、47.1%と半数近くの人が同意を示していた。

↑ 月ぎめで新聞を取る理由(取る人限定、複数回答)(2023年度)
↑ 月ぎめで新聞を取る理由(取る人限定、複数回答)(2023年度)

「新聞を読むのが習慣」だから、毎日新聞を確実に届けてくれる月ぎめは最適なサービスに違いないというものだ。

次いで「新聞でのみ得られる情報がある」が39.3%だが、これは別に月ぎめでなくとも新聞を購入することは可能ではあるから、月ぎめの強い理由にはならない。むしろ33.0%の同意者を得ている「毎日自宅に届けてくれる」こそが、月ぎめだからこその理由といえるかもしれない。

他の選択肢もその多くは、月ぎめで新聞を取る理由には成り難い。自分で足を運べる、容易に購入できる機会があれば、電子版で問題はないとの判断ができれば、月ぎめで新聞を取る理由としては弱いものとなる。見方を変えればそれらの選択肢の理由で月ぎめで新聞を取っている人は、他に手段が無い、選びたくないとの判断をしていたり、環境下に置かれていたりするのだろう。

上位陣について属性別で確認したのが次のグラフ。

↑ 月ぎめで新聞を取る理由(取る人限定、複数回答、属性別)(2023年度)
↑ 月ぎめで新聞を取る理由(取る人限定、複数回答、属性別)(2023年度)

男女の差異はほとんど無い。男性の方で「新聞でのみ得られる情報がある」「世間の動きが大体分かる」、女性の方で「情報が自分に役立つ」がやや値が高くなっている程度だろうか。一方、20代以降は年齢が上になるに連れて「新聞を読むのが習慣」の値が他の項目を引き離す形で大きくなっていく。高齢層が新聞にかける期待の中身、それゆえに月ぎめで新聞を取っている理由が透けて見えてくる。

また「毎日自宅に届けてくれる」は60代で急に値が大きくなる。すでに退職していることから、通勤の際に買う機会が無くなるが、わざわざ新聞を買いに行くのは面倒だとの状況に応じたものだろう。あるいは新聞投函時における購読者の安全確認的な役割を期待しているのかもしれない。

選択肢に挙げられた項目、そして多数の回答値を得た選択肢からは、新聞の内容を信用し、自分の生活に役立てたり社会全体を見渡す羅針盤的な存在として重要視し、だからこそ確実に手に入る月ぎめで新聞を取る購読者側の思いと、そのような信奉者を月ぎめという仕組みで安定した購読者としてつなぎとめておきたい新聞社側の思いが見える。

しかしながら両者の思惑がかなうためには、提供される新聞の情報が購読者の願いにかなうものでなければならない。歪んでいたり間違った値を示したり、偏った方向を示す羅針盤では「それのみで得られる情報がある」「世間の動きが大体分かる」「情報が自分に役に立つ」などの期待には応えられない。さらにそのような状況ならば習慣ですら薄れてしまうだろう。

現状の新聞各社、そして新聞業界全体の動きはどうだろうか。羅針盤としての機能を果たしているだろうか。

■関連記事:

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【新聞を読む人の理由、読まない人の理由】

※メディアに関する世論調査

直近分となる第16回は2023年7月21日から8月20日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は2871人。有効回答者の属性は男性1377人・女性1494人、18~19歳53人・20代225人・30代324人・40代454人・50代515人・60代506人・70代以上794人。過去の調査もほぼ同じ条件で行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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