中国で出社1日目にクビになった女性。やはり女性は就職難?
中国でせっかく就職できたのに、出勤1日目に辞職させられた女性が話題になっている。その理由は、女性が妊娠する可能性だった。就業における女性差別だと怒りの声が上がるが、働く女性が子供を産みづらい現実も物語っている。
採用したいのは妊娠しない人
中国メディアが報じた女性の経緯は以下の通り。
広東省広州に住むその女性は、年が明けてすでに採用されることが決まっていた会社へ初出勤となった。出勤初日、必要書類を書き込み仕事の説明などを受けていると、突然、人事担当から事務所に呼び出された。女性は、人事の担当者に、資料に既婚者と書いてある旨を指摘され、結婚したばかりだからきっと子供が欲しいでしょう、などと言われたという。
女性の仕事は顧客サービス。夜勤もあったが、女性はそれを承知の上で仕事に応募していた。女性は、しばらくは子供を産むつもりはなく、「もし子供を産む気があるなら、夜勤のある仕事に応募しようとは思わない」と説明したが、人事の担当者は、妊娠についてはどうなるかわからないなどとして、こう述べたという。
「もし、妊娠してしまったら会社としては面倒になる。今、会社が採用したいのは、安定していて、妊娠しない人」
女性は、もしそうならどうして面接の時に告げてくれなかったのかと尋ねた。人事の担当者は、女性に謝罪したものの、すでに会社が決めたこととして、対応を変えようとはしなかった。
女性が交通費なども含めて100元(約1900円)の賠償を要求すると、会社はそれには速やかに応じたという。
「女性の就業環境は本当によくありません」
女性はそう話している。
面接で「子供を産むつもりは?」
中国には労働契約法という法律があり、そこに厳しく規定された「重大な職務怠慢」などの条件に当てはまらない場合、会社が職員を勝手に解雇してはいけない。既婚、未婚、妊娠などを理由に会社が職員に辞職を求めたら違法となる。
中国メディアは、この出来事は「就業における女性差別」として、いかにして女性の権利を守るべきかなどといった専門家の解説を盛んに報じている。
また「私は独身だけど、面接ではいつも結婚しているかどうか聞かれるし、ストレートに近く子供を産むつもりがあるかと聞かれたこともあった」と同様の経験をした女性の声や、「女性が就職してすぐに出産休暇に入り、その後会社を辞めてしまったら業務への影響は大きい」などと会社の立場に理解を示す声も紹介している。
実は、このように女性のニュースが大きな話題となっている中で、中国政府が、人口減少を発表した。中国国家統計局による17日の発表によれば、2022年末の中国の人口は21年末より85万人少ない14億1175万人。61年ぶりの人口減少となった。問題は急速に進む少子化だが、女性が経験したような現実もその原因の一端と言える。