【宝塚市】陽春園さんで味噌づくり
免疫力アップや抗ストレスなど、その効能に注目が集まっている発酵食品。健康志向の高まりから、味噌を手づくりする人が増えています。たしかに美味しそうだけれど、ひとりで作るのは難しいのでは? というわけで、味噌づくりのワークショップに行ってきました。
2月は味噌づくりに適した季節
寒(かん)の季節(1月~2月頃)は、味噌づくりに適していると言われています。
「寒仕込み」と呼ばれ、温度が上がり過ぎずに発酵がゆっくり進むことから美味しいお味噌になる、また雑菌が少ないため失敗しにくいのだそう。手づくり味噌人気もあって、最近はこの時期になると、あちこちで味噌づくりのワークショップが開かれているのを目にします。
今回お邪魔したのは老舗園芸店「陽春園」さんのワークショップ。作業場所は園内にあるカフェ「パルコジョキ」さんです。
パルコジョキさんのワークショップ最大の魅力は、羽釜と薪を使った味噌づくり。
「アウトドア好きの社長がこの日のためだけにかまどをセッティングしてくれる貴重な機会です」
と教えてくれたのは、ワークショップを担当している野里美和さんです。
野里さん自身も以前から味噌をつくってみたいと思っていたところ、今回のナビゲーターである「めぐる八百屋 オガクロ」の出口晴久さんとのご縁がつながり、ワークショップが始まったのだそう。
それからは年に1回、2月頃に開催しています。
釜炊きだけでなく、オガクロさん提供の美味しい大豆と米麹もお勧めポイントです。
まずはテイスティングから
味噌づくりを始める前に、代表的な味噌のテイスティングから。白みそ、豆みそ、仙台みそなど7種類が用意され、大根スティックにつけながら味わいます。
甘かったり辛かったり、ねっとりとしたものや粒の食感が楽しいものとバラエティー豊か。みずみずしい大根の甘さと相まって、手が止まりません。これからつくる味噌がどんな味になっていくのか、期待が高まります。
工程自体は難しくない
さて、いよいよ味噌づくりの開始です。
大きな工程が2つあります。
1. 大豆を焚くまたは蒸して、つぶす
2.塩と麹をまぜて塩切り麹をつくる
このなかで一番大変な大豆を蒸す工程は、開始前にすでに準備して下さっているので、ワークショップでの主な作業は、1の「つぶす」と2の「塩切り麹づくり」です。次いで1と2を合わせて味噌玉をつくり、容器に仕込む…という段取り。
スリスリが止まらない
まずは「塩切り麹」から。米麹を木桶にあけたら、数人がグループになって麹をほぐしていきます。
掌でほぐしていくと、ふっくらとした蕾が開くように華やかな香りが立ちのぼります。これだけですでに美味しそう。さらに少しずつ塩を混ぜながら、優しく丁寧にほぐし続けます。塩切りをすると酵素が出やすくなって発酵が進むのだとか。美味しい味噌をつくる大事な工程です。
ただよう匂いが心地よくて、スリスリが止まりません。
隠し味は味噌
塩切り麹ができあがったら、大豆が蒸しあがるまでランチタイム。パルコジョキさんで人気のスパイスカレーもまた、今回のワークショップのお勧めポイントのひとつです。
実は、このカレーはオガクロさんがつくった味噌を隠し味に使っているのだとか。テイスティングでその味噌をいただきましたが、こっくりと滑らかで濃い色の味噌は、それ自体がすでにカレーのようで、とても美味しかったです。
食後の休憩時間には店内を散策しました。花だけでなく果樹もある綺麗な園内で、のどかな昼下がりを満喫です。
いっぽう、人間が休憩中も、かまどは全力で働き中。せいろはリズミカルに湯気をあげ、ひっきりなしに水滴が垂れてきます。
休憩前に、2度味見をさせていただきましたが、1回目より2回目のほうが柔らかく甘みが増していました。いま大豆はどのようになっているのか、想像するだけでテンションアップです。
みんなの手がだいじ
休憩が終わったら、残りの工程を一気に進めていきます。
大豆を臼に移したら、つぶす工程へ。
たくさんの味噌をつくるので、何回かに分けてつぶしていきます。なかなかの大仕事です。
少し豆が残るくらいが美味しいのだそう。
つぶした大豆は、小さくちぎって冷まします。
粗熱がとれたら、いよいよ塩切り麹を投入です。
今回の参加者は全員女性で、親子で参加されている方も。おそらく家庭を切り盛りされている方ばかりで、皆さんとても手際がいい。出口さんが塩梅をみながら塩切り麹や呉汁(大豆をゆでた時に出る汁)を少しずつ足していきます。
それを合図に、みんなで混ぜる混ぜる混ぜる。四方八方から手が出て来て、大豆と麹が踊り、一体化していきます。まるで生き物のように軽快な動きが、おもしろくてたまりません。
だんだん、山間の小さな村で皆さんと生活してる気分になってきました。
たくさんの人の手を経て、どんどん美味しくなっていく。桶の中には明るいパワーが満ちています。
いい塩梅に麹と呉汁が大豆の粉に混ざったら、いよいよみそ玉つくり。雑菌を防ぐためにペシペシと叩いて、空気を抜きながらつくっていきます。
きれいな丸になったお団子はしっとりとして重く、抜群の触り心地でした。
最後に投げ入れる
最後に、それぞれ持参の容器に詰めていきます。ここでも空気が入らないようにすることが大切です。
最初にドーンと投げ入れて、出来る限り空気を抜きます。さらに押し込んで隙間なくきっちりと入れていくのがミソ。
最後にぱらりと塩をふり、酒粕で蓋をしたら、ついに完成です。
じっくり寝かせて、食べられるのは秋ごろなのだそう。どんな味になるのでしょうか。いまから楽しみです。
はじめての味噌づくり。手間はかかりましたが、工程自体はそれほど難しいものではありませんでした。からだをフルに使っての作業はとても楽しくお勧めです。最近はキットなども販売されているそう。興味ある方はトライしてみてはいかがですか。
店舗情報
陽春園
■ 〒665-0885 宝塚市山本台1-6-33
■ TEL:0797-88-2112
■ 営業時間:10時~18時
■ 定休日:年末年始
■ 公式Instagram
めぐる八百屋 オガクロ
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