ダッチオーブンで石焼き芋を作ってみた!【検証】一番美味しい芋の種類や甘くなる焼き方は?
秋の味覚と言えば、やはり『焼き芋』ですよね。
焚き火で焼いたヤキイモも美味しいけど、専門店で売っている焼き芋はもっと美味しい。
でも、お店で売っているような甘くて美味しいヤキイモを作りたいけど、なかなか上手に焼けない…
そこで、サツマイモの種類や焼き方によって甘さが変わるのかを検証してみました。
まずは、サツマイモの種類から。
比較したのは以下の5種類です。
・紅はるか
・安納芋
・シルクスイート
・紅天使
・なると金時
焼き芋が甘くなる仕組み
焼き芋の甘みの主成分は「麦芽糖」です。
薩摩芋(サツマイモ)に含まれる麦芽糖はデンプンが酵素によって変化したもので、砂糖の30~40%ほどの甘みがあります。
麦芽糖は、とっても甘いので「水飴」や「和菓子」の原料としても使われています。
そして、本題のサツマイモを甘くする工程は以下の3つ。
①気温13度で一か月熟成
掘りたての薩摩芋を気温13度前後の環境で一ヶ月ほど寝かせます。
ある一定の温度と湿度の環境で熟成させると、デンプンの糖化が始まります。
ただ、サツマイモは8度以下になると痛んでくるので注意が必要です。
②加熱して麦芽糖へ分解
サツマイモは品種にもよりますが一般的には65~75度まで温度が上がると芋のデンプンが糊化を始めます。
加熱して糊化した芋のデンプンは、60~75度くらいの環境下でβアミラーゼ(消化酵素)によって活発に麦芽糖へ分解されます。
ただ、βアミラーゼは80度を超えると壊れてしまい麦芽糖に分解されなくなるらしいです。
なので、ホクホク感のある焼き芋は簡単に作れますが、お店で売っているような蜜だらけの甘い焼き芋を作るのは、少々難しいのです。
③水分量を30%ほど抜く
水分量を30%ほど抜くことでも、甘みを凝縮させることが出来ます。
石焼き芋作りに必要な物
今回は12インチのダッチオーブンを使って石焼き芋を作ります。
「石焼きいも用石」はキャンプ用品メーカーから発売されているものを用意しました。
そして、サツマイモを確実に甘くさせるには温度管理が重要になるので温度計も必要になります。
こちらは、燻製用の「スモーカー用温度計」です。
下準備
まずは、「石焼きいも用石」を洗います。
石は食器洗い用洗剤を使って洗っても良いらしいのですが、私はゴシゴシと水洗いしました。
そして、天日で丸一日かけて乾燥させます。
または、火にかけたダッチオーブンの中で乾燥させても良いでしょう。
ただ、加熱されたダッチに いきなり濡れた石を入れると石が割れる恐れがあるので、木製のヘラで混ぜながらゆっくりと乾燥させます。
石が乾燥したら、ダッチオーブンの内部が80度を超えるまで加熱しておきます。
今回は熱源にロケットストーブを使いましたが、薪ストーブでも良いと思います。
ダッチオーブンは蓄熱効果が高いので、キャンプ用のガスストーブやカセットコンロを使用すると、輻射熱で燃料( ガス)が加熱されてしまう恐れがあるので注意が必要です。
ロケットストーブなら長時間の加熱調理でも安全だし、拾ってきた薪なら燃料代も無料ですからね。
ダッチオーブンの温度
焼き芋作りにダッチオーブンや石を使うのが向いている理由は、何と言っても蓄熱性が高いからです。
鋳物や石は温度が上がるまで少々時間がかかりますが、温度が上がってしまえば鍋のフタを開け閉めしても温度が下がりにくいという利点があります。
温度計はダッチオーブン本体とフタに挟んだ状態で計測しています。
そして、ダッチオーブン内の温度が80度を超えたら芋を投入します。
わずかに隙間があいているので、実際には鍋の底はもっと温度が高いと思われます。
フタを開けると温度が40度くらいまで下がりますが、フタをすればすぐに温度が上昇するので問題ありません。
あらじめ、タワシを使って泥を洗い落とした5種類のサツマイモをダッチオーブンに並べます。
タワシの代わりに古い歯ブラシを使っても洗いやすいです。
ダッチオーブンの内部温度が70~80度の状態で2時間かけてサツマイモを焼きます。
30分ごとにイモを1/4づつ回転させて、まんべんなく火が通るようにしておきます。
するとイモの皮がふやけて、だんだんと柔らかくなってきます。
そして、温度計を挟んだフタの隙間から適度に水分も蒸発してホクホクの焼き芋が完成しました。
甘さランキング
ここからは私の独断と偏見で、品種別に「甘さランキング」をつけてみたいと思います。
5位 なると金時
徳島県を代表するブランドで「高系十四号」の改良種として2007年に登録されています。
ほどよい甘味があり、ホクホクとした食感が人気です。
昔懐かしい、これぞ焼き芋!と言った感じの味と食感です。
「天ぷら」とか「フライドさつまいも」などの調理の方が向いているような印象を受けました。
更に、なると金時を2時間加熱した結果。合計4時間です。
半透明になっていますが、甘さや口当たりは、ほとんど変わりませんでした。
インターネットでは鳴門金時も甘いとの評判があるので、熟成時期や育成地域によって違いがあるのかも知れませんね。
4位 シルクスイート
「春こがね」と「紅まさり」を交配して開発され、2012年から販売された新しい品種です。
滑らかな舌触りで、ほど良い甘さが特徴です。
甘みは、それほど感じませんでしたが口当たりが良くて食べやすいです。
しっとり感もありますね。
更に、シルクスイートを2時間加熱した結果。
全体的に半透明になりましたが、甘さは さほど変わらない感じです。
更に口当たりが、しっとりしました。
3位 紅はるか
「九州121号」と「春こがね」を交配して開発され、2010年に品種登録されたサツマイモです。
糖度が高く、焼イモにすると甘くなる品種です。
こちらは、ホクホク感と甘みがあって普通に美味しいです。
特に皮の周辺が甘いですね。
更に、紅はるか を2時間加熱した結果。
皮の周辺だけでなく、全体が甘くなりました。
2位 安納芋
種子島で栽培されていた安納芋の在来種を県が選抜し「安納紅」「安納こがね」として1998年に品種登録されました。
他のサツマイモと比較すると、実の色が黄色くて、ねっとりと甘いのが特徴です。
やはり定番の甘さですね。
安納芋の食感は他のイモと比べると何かが違います。
更に、安納芋を2時間加熱した結果。
餡のような口当たりと優しい甘さになっています。
安納芋は時間をかけて加熱した方が美味しくなりますね。
1位 紅天使
「紅天使」は品種名ではなく、「紅はるか」のブランド商標のようです。
茨城県の会社が独自の貯蔵技術によって熟成したオリジナルブランドとして2011年に登録されています。
しっとりとした甘みの強いサツマイモで、スーパーの焼き芋コーナーでも使われていました。
このサツマイモは、別格の甘さですね。
柔らかい部分もホクホク感のある場所も全て均一に甘くて絶品でした。
更に、紅天使を2時間加熱した結果。
皮の周辺が蜜だらけになりました。
メッチャ甘いです。
「紅天使」はメーカー独自の貯蔵技術によって熟成されているので、確実に甘い焼き芋が作れるのではないかと思います。
最後に
今回使用したサツマイモは収穫してから経過した日数が種類によってバラバラなので、正確な結果とは言えないでしょう。
しかし、焼き芋を甘くするには「熟成期間」「デンプンの糊化」「糊化したデンプンの糖化」が重要なポイントだという事がお分かりいただけたと思います。
ご参考までに。