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グーグル、今度こそリビングルームを狙えるか? エンタメ端末の「Chromecast」、生態系が拡大中

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー

米グーグルは10日、同社のスティック型映像ストリーミング端末「クロームキャスト(Chromecast)」に、新たに10のサービスが対応したと発表した。

楽天傘下のビデオサービス「Viki」も対応

これらのサービスは音楽ビデオや音楽配信、ドラマ、ニュース、スポーツなど多岐にわたっており、利用者は各サービスが用意するモバイル端末向けのアプリをダウンロードすれば、それぞれのコンテンツを家庭の大画面テレビで楽しめるようになる。

これらのアプリは米グーグルのモバイル基本ソフト(OS)「アンドロイド(Android)」や米アップルの「iOS」に対応しているという。

新たに対応したのは、音楽ビデオ配信の「VEVO」や音楽サービスの「Songza」、米ワシントンポストのニュース配信サービス「PostTV」、そして楽天が今年8月に買収した、ドラマ・アニメ・音楽ビデオ配信サービス「Viki」などだ。

また「Plex」や「Avia」といったメディアプレーヤーサービスの利用者であれば、パソコンやモバイル端末に保存してあるコンテンツや、クラウドサービスのコンテンツをテレビに配信できるようになる。

クロームキャストはグーグルが今年7月に発売した小型端末だ。本体をテレビのHDMI端子に挿すと、スマートフォンやタブレット端末、パソコンから無線で映像をストリーミング配信し、大画面で見ることができる。

HuluやHBOなど、キラーサービスそろう

35ドルという価格の安さが話題を呼び、発売以来人気を博している。米アマゾン・ドットコムの「エレクトロニクス製品売れ筋ベスト100」では今も1位という好調ぶりだ。

クロームキャストは当初、先行きが危ぶまれていた。というのも発売当初の外部サービスは米ネットフリックスのビデオオンデマンドしかなく、ほかはグーグルのデジタルコンテンツ販売ストア「グーグルプレイ」の映画や音楽と、同社傘下の「ユーチューブ(YouTube)」だけが利用できるというものだったからだ。

しかし今年10月には、米フールーの定額制ビデオオンデマンドサービス「Hulu Plus」が加わり、その後インターネットラジオの「パンドラ」と米有料チャンネル大手HBOの映像配信サービス「HBO GO」も対応した。

ウェブブラウザーの画面をテレビに映す「Google Cast」

クロームキャストの使い方は2通りある。1つは前述の通り、モバイル端末の対応アプリから操作するという方法。もう1つはパソコンでグーグルのウェブブラウザー「クローム(Chrome)」を使う方法だ。こちらは「Google Cast」という機能拡張をクロームにインストールしておく。すると、ユーチューブなどの対応ウェブサイトのコンテンツがテレビ画面に最適化されて表示されるようになる。

また、この機能拡張にはクロームのタブ画面をテレビに転送する機能もある。アップルにもアイパッド(iPad)やアイフォーン(iPhone)、マック(Mac)の画面を、セットトップボックスの「Apple TV」を介して無線でテレビに映し出す「エアプレイ(AirPlay )」があるが、グーグルのこの機能もそれに似ている。

なお、今回加わった合計10のサービスは第1弾にすぎず、クロームキャストは今後本格的にそのエコシステム(生態系)を拡大できるのではないかと見られている。クロームキャストはグーグルの直接的な関与を必要とせず、コンテンツ提供者が対応サービスを開発できるオープンなプラットフォームだからだ。

なんといっても価格の安さが最大の売り。ソニーやロジテックが発売したものの売れ行きが芳しくなかった「グーグルTV」や、発売前に開発中止となったメディアプレーヤー「ネクサスQ」と異なり、今度こそ家庭のリビングルームを狙えるのではないかと言われている。

JBpress:2013年12月12日号に掲載)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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