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大谷翔平を凌ぐ「6月のホームラン打者」がようやく目覚めたか。今月1本目と2本目を同じ試合で打つ

宇根夏樹ベースボール・ライター
カイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)Jun 11, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月11日、「1番・DH」として出場したカイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)は、1回表と5回表にホームランを打った。

 過去3シーズンの6月に打ったホームランは、2021年が16本、2022年が12本、2023年は8本。この「3ヵ月」に計36本塁打は、大谷翔平(当時ロサンゼルス・エンジェルス/現ロサンゼルス・ドジャース)を2本上回り、誰よりも多い。過去3シーズンの6月に大谷が記録したホームランは、2021年が13本、2022年が6本、2023年は15本だ。

 ちなみに、過去3シーズンの合計ホームランは、2人ともほとんど変わらない。シュワーバーが125本、大谷は124本だ。彼らの上には、138本のアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)と127本のマット・オルソン(アトランタ・ブレーブス)しかいない。シュワーバーは、2021年がワシントン・ナショナルズとボストン・レッドソックス。オルソンは、2021年がオークランド・アスレティックスだ。

 今シーズン、シュワーバーは、3・4月に8本のホームランを打った。この時点では、ナ・リーグ1位のマーセル・オズーナと1本差だった。だが、5月のホームランは、3本にとどまった。3・4月の打率.202と出塁率.315に対し、5月は打率.297と出塁率.431を記録したので、スランプに陥っていたわけではないが、ホームランは、なかなか出なかった。

 6月11日の2本塁打は、シーズン12本目と13本目。フィリーズは、66試合を終えたところだ。同じ時点の本数とシーズン全体の本数は、2021年が13本と32本、2022年が18本と46本、2023年は17本と47本。過去2シーズンと比べると、現時点の本数は少ない。

 とはいえ、現在もリーグ・トップに位置するオズーナとの差は、まだ5本だ。少し離されているものの、追いつくのが不可能な本数ではない。カレンダーと少しずれる格好になるが、6月11日の2本塁打が、ここから1ヵ月にわたるアーチ量産の幕開けになれば、オールスター・ブレイクを迎えるまでに、リーグ・トップに立つ、あるいはそれに迫ることもあり得なくはない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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