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マーリンズの「ファイヤー・セール」はまだ終わっていない。二塁手と外野手3人に続き、次は捕手を放出か

宇根夏樹ベースボール・ライター
クリスチャン・イェリッチ(左)とJ.T.リアルミュート Apr 6, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 昨年12月から今年1月にかけて、マイアミ・マーリンズは「ファイヤー・セール」を敢行し、いずれもレギュラーだった、二塁手と外野手3人を放出した。12月7日にディー・ゴードンをシアトル・マリナーズ、11日にジャンカルロ・スタントンをニューヨーク・ヤンキース、14日にマーセル・オズーナをセントルイス・カーディナルスへ。そして、1月25日にはクリスチャン・イェリッチをミルウォーキー・ブルワーズへ放出した。4人とも、移籍先では外野を守っている。

 マーリンズはレギュラー野手の半数を手放したが、これで終わりではないだろう。再建が始まったばかりであることを考えれば、現在のレギュラー野手でトレードの可能性がないのは、イェリッチの交換要員として加入し、センターを守る24歳のルイス・ブリンソンくらいだ。

 ゴードンから数えて5人目の放出となるのは誰か。筆頭候補は、捕手のJ.T.リアルミュートだ。かねてから噂は出ていて、交渉も行われていたようだが、交換要員の折り合いがつかなかったらしい。リアルミュートは3月11日のエキシビション・ゲーム(オープン戦)で腰を痛め、そこから欠場していたが、4月17日にシーズン開幕を迎えた。そして、3打席目に田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)からホームランを打った。

 リアルミュートを必要とする球団も存在する。ニューヨーク・メッツだ。開幕時点ではトラビス・ダーノウケビン・プラウェッキーを擁し、さらなる捕手は不要だったが、ダーノウは開幕直後に右肘を痛め、4月17日にトミー・ジョン手術を受けた。プラウェッキーは4月11日に死球を受け――ぶつけたのはマーリンズの投手だ――左手を亀裂骨折。3~4週間は欠場する見込みだ。

 リアルミュートを獲得するには、有望な若手を差し出す必要がある。ただ、メッツは12勝4敗の好スタートを切った。今シーズンのために将来を多少犠牲にしても、惜しくない位置にいる。リアルミュートにしても、トレードに異存はないはずだ。マイアミ・ヘラルドのバリー・ジャクソンが2月上旬に発表した記事によると、リアルミュートの代理人は「彼はスプリング・トレーニングの前にトレードされることを望んでいて、優勝争いをしたいと思っている」とコメントしたという。

 なお、マーリンズでトレードの対象になるのは、野手に限らない。若手が揃う先発投手陣からの放出はなくとも、ブルペンはほぼ全員がそうだ。その一人である田澤純一も、シーズン終盤には違うユニフォームを着て投げていてもおかしくない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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