フィリピン、台風22号で多数死亡 23号も接近へ
台風22号が、29日(土)フィリピンを直撃しました。
土砂崩れや洪水が起きて、死者は98人に上っています。今年発生した台風の中では、200人超の死者を出した台風2号に次ぐ、2番目に大きな人的被害となりました。
上陸時の最大風速は25メートルで、いわゆる"強い"台風ではなかったものの、動きが遅かったこと、大型であったことなどから、大量の雨が降りました。南部のミンダナオ島では、上陸以前から大雨が降り、48時間で400ミリ近い雨が観測されています。
とりわけ被害が大きかったのが、イスラム教信者が多数を占めるバンサムロ自治区で、国内でもっとも貧しい地域の1つでした。
そもそも南部は赤道に近く台風の直撃を受けにくいうえ、インフラも整っていないため、被害が出やすい地域です。2012年には台風24号が上陸して1,900人が亡くなる大惨事が起きましたが、死者のほとんどが南部の住民でした。
しかも、今回の場合は、日常的に行われていた避難訓練が仇となったようです。
ガーディアンによれば、この地域の住民は、長年、津波の訓練を行っていて、山に逃げるように教育されていたようです。そのため、22号の接近でサイレンが鳴った時も住民が山側に逃げ、結果、土砂崩れに巻き込まれた人もいたようです。
台風23号の発生
22号はフィリピンから離れ、南シナ海を移動していますが、新たな脅威が発生してしまいました。31日(月)、同国の東の沖合に台風23号が発生したのです。
気象庁によれば、大幅な発達はないと見込まれるものの、フィリピンにゆっくりと接近して雨をもたらす見込みです。さらなる災害が発生するリスクが高まっています。
気候変動とフィリピン
フィリピンは、世界で3番目に気候変動に脆弱な国といわれています。
今後、大部分の地域では少雨や干ばつにさいなまれる恐れがある反面、日降水量が200ミリを超えるような土砂降りの日もまた、これまで以上に増えると予測されています。
そのほか、フィリピンでは世界平均の3倍の速度で水面上昇が進行中であったり、今後高温による労働力低下や、貧富の格差の拡大といった恐れもあったりと、不安な未来も指摘されています。積極的かつ迅速な対策が求められています。