英国の大学学長「ホロコースト否定論者」も討論会に参加容認しネット大炎上し謝罪
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イギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の学長のマイケル・スペンス氏が3月8日にタイム・ラジオのインタビューで、大学で開催される自由討論(フリースピーチ)でホロコースト否定論者も参加することを容認する発言をしてネットが炎上していた。
第2次世界大戦時にナチスドイツによって約600万人のユダヤ人、ロマ、政治犯らが殺害された、いわゆるホロコースト。だが現在でも、欧米やイスラム諸国では反ユダヤ主義は根強く、ホロコーストは存在していなかった、ホロコーストはユダヤ人による捏造だと主張する「ホロコースト否定論」が存在する。そのようなホロコースト否定論者の主張は、現在でも多くのSNSやネットに書き込まれている。
イギリスの反ユダヤ主義に対抗する団体のピンスカーセンターのジョナサン・ハンター氏は学長の発言について「600万人のユダヤ人が殺害されたかどうかはディベート(討論)の的になるようなことではないです」と怒りを露わにしていた。
そしてついに学長自ら「ホロコースト否定を容認するような発言について、ユダヤ人や多くの方の感情を害してしまい申し訳ありません。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンではホロコースト否定論者を決して迎え入れるようなことはありません」と謝罪した。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンにはホロコースト教育センターがあり「ホロコースト歴史教育」や「反ユダヤ主義学」「ホロコーストと文学」などに関する講義も提供しており筆者も受講したことがある。日本人にとってはほとんど馴染みがないかもしれないが、欧米では反ユダヤ主義が今でも蔓延っており、「ホロコーストなんて存在していなかった」というホロコースト否定論を支持する人も多く、その度にネットは炎上している。ホロコースト否定の発言はたいていSNSに投稿されることが多く、Facebookやツイッターはホロコースト否定論の投稿を禁止している。だが露骨なホロコースト否定の文言ではすぐに削除されてしまうので、隠語などで表現して仲間内にしかわからないような表現でホロコースト否定を語っていることも多い。
戦後70年以上が経過し、ホロコースト生存者は高齢化が進み、ホロコーストを体験した人たちは年々減少している。「ホロコーストは当時、実際にあった」と証言できる生存者らがいなくなると、「ホロコーストはなかった」という"ホロコースト否定論"が世界中に拡散されることによって「ホロコーストはなかった」という虚構がいつの間にか事実になってしまいかねない。いわゆる歴史修正主義だ。そのようなことにならないために、欧米やイスラエルでは多くの学校でホロコースト教育も導入されて、正しいホロコーストの歴史を後世に伝えようとしている。