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「世界標準の資産の増やし方」って?インフレ時代に考慮したい投資の大原則

花輪陽子シンガポール在住FP(CFPⓇ・1級FP 技能士)

シンガポール在住、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。『世界標準の資産の増やし方: 豊かに生きるための投資の大原則』(東洋経済新報社)から、読者にとって役に立ちそうな考え方をご紹介します。

世界標準の資産運用とは

世界標準の資産形成を一言で言うとインフレを前提とした資産形成です。日本におけるこれまでの資産形成はデフレ経済と充実した年金制度の中で、コツコツと貯蓄をしていくという考え方が中心でした。

しかし、インフレ下ではコツコツと貯めた現金は価値が目減りしていきます。デフレを脱却したことで日本は世界の先進国同様インフレを前提とした資産形成が求められるようになりました。

インフレを前提とすると、毎月コツコツ預金を積み立てていくだけでは不十分で、株式など値下がりリスクもある金融商品にも投資を行うことが必要となります。

儲け方よりも損失の避けるという考え方

資産運用というとどうしても「儲かるかどうか」という考えが先に立つでしょう。

「儲からないのなら、資産運用はやらなくてよい」と思う方も多いと思います。たしかにデフレの時代は儲からないなら、資産運用をやらないということでよかったのです。

しかし、インフレの時代となり、やらないと資産の価値が目減りするという状況になりました。その例を挙げましょう。

毎年 3%ずつ物価が上昇した場合、現在 100 円の物は、5 年間で約 116 円まで上がります。5 年後の現金 100 円の実質的な価値は、現在の約 84 円(100 ÷ 116 × 100)まで目減りすることになります。

物価がこのまま 20 年間、毎年 3%ずつ上昇した場合はどうなるでしょうか。
100 円の物の値段は約 180 円となり、現金の 100 円の実質的価値は、約 55円まで目減りします。

40 年後は、物の値段は約 326 円まで上昇し、現金の価値は約 30 円まで目減りする計算です。つまり、頑張って老後資金 2000万円を貯めたとしても、20 年後の実質的な価値は約 1100 万円、40 年後の価値は約 600 万円ということになります。

『世界標準の資産の増やし方: 豊かに生きるための投資の大原則』(東洋経済新報社)

『世界標準の資産の増やし方: 豊かに生きるための投資の大原則』(東洋経済新報社)
『世界標準の資産の増やし方: 豊かに生きるための投資の大原則』(東洋経済新報社)

つまり、インフレ時代では、取り返しのつかない様な損失を避けながら、いかに資産を増やしていくかという考え方が重要になります。

インフレ時代の資産形成とは、稼ぐ資産運用ではなく、守り育てる資産運用なのです。世界的に株価が高値を更新する中、稼ぐ資産運用と守り育てる資産運用の差は見えにくいかもしれません。

しかし、株式という資産は数年に一度の暴落は避けられないという特性があります。その時に動じない資産運用を行うには、基礎を1つ1つ理解することが必要です。このコラムの中でNISA初心者にも分かりやすく、資産運用の基礎をご紹介していく予定です。

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シンガポール在住FP(CFPⓇ・1級FP 技能士)

外資系投資銀行を経て、スイスのファミリーオフィスでウェルスマネジメントに従事。日本人の海外移住や資産運用、海外富裕層の日本移住のサポートも。著書に『シンガポールで見た日本の未来理想図』、世界三大投資家のジム・ロジャーズ氏の翻訳書を多数出版、『ホンマでっか⁈TV』等TV出演多数 お仕事の依頼は fp@yokohanawa.com へお願いします。花輪陽子のシンガポール富裕層の教え https://www.mag2.com/m/0001687882.html 花輪陽子のnote https://note.com/yokohanawa 

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