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【東京都台東区】昭和の恐竜in令和!子供も大人もワクワクできる上野の森美術館「恐竜図鑑」展

デヤブロウ街歩きWebライター(東京都台東区)

 広大な緑地に様々な美術館・博物館を擁する上野公園に、この夏、一風変わった恐竜達に出会えるスポットが出現しているのをご存知でしょうか。それが上野の森美術館で開催中の「恐竜図鑑-失われた世界の想像/創造」展です。
 キービジュアルになっている「尻尾を地面につけて直立するティラノサウルス」の絵画を、中高年の方々なら一度は見たことがあるかも知れません。会期は7月22日(土)まで。今のうちに懐かしの恐竜図鑑ワールドへ、ぜひ入り込んでみましょう!

◆当日チケット購入OK。音声案内は無料!

 本展では18世紀から現在まで、恐竜がどのように絵画や書籍で描かれ続けてきたのかを紹介。恐竜という存在はどのように芸術界や美術界で解釈・表現されてきたのか?それは大衆文化にどう影響を与えてきたのか?その変遷を一目で見て取ることができます。

チケットは当日窓口で購入可能であり(一般2,300円)、入場手続きもQRコードをかざすだけで簡単。あっという間に恐竜図鑑の世界へ飛び込めます。

 また、音声案内が無料というのも嬉しいポイント。ご自身のスマホから場内のQRコードを読み取る方式で、女優・南沙良さんの甘くささやくような優しいナレーションを堪能できます。

◆19世紀から21世紀へ、恐竜アート200年の進化

 入り口を一歩踏み入れた先の、巨大な図鑑の表紙絵を並べたようなレイアウトが圧巻!ここだけでも私達を図鑑の世界に入り込んでいくような気分にさせてくれます。

 その次に目を引くのは、草食恐竜・イグアノドンの復元像がたどった驚くべき変遷です。19世紀に主流だった「四足歩行、鼻先のツノ」というイメージが、20世紀に入ると直立姿勢になり、鼻先のツノが親指に移動。そして恐竜研究が大きく進歩した20世紀後半の「恐竜ルネッサンス」後は、尻尾が水平に…。1種類の恐竜が発見から現在まで、これほど変身を続けてきたのは驚きですね。

 最初の第1章では、19世紀前半の恐竜アート黎明期を体験できます。古生物研究の始まりにも触れつつ、現在の精密な科学研究に基づいた恐竜像とは全く異なる、ロマン主義的で神話・伝説の影響が色濃かった頃の恐竜像が描かれています。

 こうした「怪物」としての漠然とした恐竜のイメージが、過去に実在したであろう「生物」としての恐竜の想像図へ変わっていく過程が、本章の主題です。

 次の第2章は19世紀後半から20世紀半ばの、現在では懐かしい雰囲気の「あの」恐竜像が成り立つまでの展示。

 精密に描かれた古生代から中生代の恐竜たちの躍動感は圧巻です。

 特に中高年の方々には、「あの恐竜、子供の頃に図鑑で見た!」という感慨深さがあるのではないでしょうか。

 とりわけ、壁面に並ぶ旧チェコ・スロバキアの画家、ズデニェク・ブリアン氏の精密かつ精緻な作品は必見です。

 その先の第3章は日本のアート作品やコレクションが中心となっています。

 最初に出会うのは、株式会社島津製作所が20世紀初めに製作した学習用の恐竜模型。

 現在は理化学機器で知られる同社ですが、なんとも意外な歴史があったことがわかりますね。

 ジャズピアニスト・田村博氏のコレクションする恐竜関連コレクションや書籍も多数展示あり。昭和時代の子ども向け書籍や雑誌に登場する恐竜たちがズラリと並び、これも中高年の方にとっては「見たことある!懐かしい!」という記憶を呼び覚まされるかもしれません。

 展示の最後となる第4章では、現代科学に基づく精密精緻な恐竜アートに触れることができます。

 特に「インディアナポリス子供博物館」に寄贈された恐竜絵画の圧倒的リアリティには目を奪われてしまいます。

◆上野ならではの誰でも広く楽しめる恐竜展!図録も豪華仕様でコレクションに良し

 この特設展は、恐竜の科学研究そのものより「恐竜という存在を人間がどう解釈し、どう表現してきたか?」が焦点。子供の頃、図鑑に出てくる恐竜の絵でワクワクを体験したという方には、年齢を問わずにピッタリの内容です。

 壁面の恐竜アートを見ているだけで、「子供の頃、この恐竜が表紙の図鑑持ってたなあ」などという思い出が次々と甦ってくるでしょう。そうしたレトロな「昭和版」恐竜像と、最先端の研究に基づく「令和版」恐竜復元図がどう違うかを見比べても面白そうです。

 また、時代別の恐竜画がどんな理念やイメージリソースに基づき、どんな技法で描かれているか、作者の巧みな筆致を間近で観察できることも貴重。

モノクロの細密画にホワイトインキで修正を施している様子など、実際の描き方をつぶさにチェックできるので、イラストレーターなどの方々にとっても大いに参考になりそうです。

 上野の森美術館の見学が終わったら、科学博物館で本物の恐竜化石と比較するのも面白いですし、国際子ども図書館で昔の子供向け恐竜書籍を探すのも良いでしょう。さまざまな楽しみ方が広がるのが、上野の森&上野公園ならではの醍醐味と言えます。

 なお、本展の図録は黒字+金の重厚なハードカバー。その高級感も相まって、見学の記念にぜひ手に入れておきたい一冊です。美術館の感動がたくさん詰まった図録をコレクションしておき、時折読み返せば、恐竜アートの楽しみはさらに深まることでしょう。

上野の森美術館 特別展「恐竜図鑑-失われた世界の想像/創造」

【会場】
 上野の森美術館
 東京都台東区上野公園1−2
【会期】
 2023年5月31日(水)〜7月22日(土)
【開館時間】
 平日:10:00〜17:00
 土日祝:9:30〜17:00
 ※入場は閉館30分前まで
【定休日】
 会期中無休
【チケット】
 一般:当日2,300円 団体2,100円
 大学・専門学校生:当日1,600円 団体1,400円
 小・中・高校生:当日1,000円 団体800円
【電話番号】
 ハローダイヤル050-5541-8600
【リンク】
上野の森美術館/恐竜図鑑展ページ
恐竜図鑑展特設サイト

街歩きWebライター(東京都台東区)

カフェ・居酒屋探し、博物館・美術館見学、銭湯巡りや寺社探訪など、都心部の街歩きが大好き!特に都内で暮らし始めた頃に住んでいた浅草近辺、博物館・美術館が沢山ある上野界隈など、台東区内を月に2~3回は散策しています。東京23区でも面積最小ながら、歴史と見所が詰まった台東区の魅力を積極的に発掘・発信していきます!

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