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相続がガラッと変わる!? 民法改正カウントダウン

竹内豊行政書士
相続制度に関する民法改正案が参院法務委員会で審議入りしました(写真:アフロ)

6月26日に、相続制度に関する民法改正案が参院法務委員会で審議入りしました。今国会で成立すれば約40年ぶりの大幅な見直しになります。

改正案の柱は、残された配偶者の保護を中心とした、高齢化社会に対応可能な相続制度の確立です。

残された配偶者の住居と生活資金の確保

高齢化社会において、残された配偶者の今後(たとえば、夫亡き後の妻の生涯)の住居と生活資金の確保は切実な問題です。

そこで、新制度では自宅の権利を従来の「所有権」の他に新たに設立する「配偶者居住権」の2つに分けます。それにより、残された配偶者の住居と生活資金を確保しやすくします。

たとえば、残された妻が亡夫の自宅の「居住権」を選択すれば、一定期間または自分が死亡するまで自宅に住み続けることができるようになります。しかも、自宅の評価額を「所有権」より低くすることができます。その結果、預貯金など金融資産を現行法と比べて多く取得できやすくなります。

長年連れ添った配偶者の優遇制度の新設

結婚20年以上の夫婦の場合、配偶者が生前贈与や遺言による贈与で与えられた自宅や土地が遺産分割の対象から除外できる制度も盛り込まれました。これにより、残された配偶者は生活資金を確保しやすくなります。

事実婚や同姓パートナーは対象外

ただし、今回の改正案には、事実婚や同姓パートナーは対象から除外されています。この点は参院法務委員会での質疑の論点になりそうです(以上参考6月27日読売新聞朝刊)。

高齢者社会では、一般的に夫亡き後も妻が相当な年月生活していきます。そのため、住居や生活資金の確保に困る妻が多く出てきています。

このように、高齢者社会は相続にも大きな影響を及ぼしています。相続制度は社会の変化に対応する時期を迎えたようです。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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