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町田首位堅持。パワートレンドの今季J1、優勝争いを読む数字は『2』。一方の残留争いは残り1クラブ?

清水英斗サッカーライター
町田の谷晃生と昌子源(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

もしかすると、鬼門の一週間になったかもしれない。今週ミッドウィークに行われたJ1第20節は、上位4クラブの直接対決となり、神戸-町田、鹿島-G大阪はいずれもスコアレスドローに終わった。

昨今のJ1は球際の強さを武器とするチームが上位へ進出する『パワートレンド』が明らかだ。その先頭を走る者同士の対戦は一歩も譲らず、4チームが足踏みした。

そして4日後に行われた第21節。今度は対戦が入れ替わり、G大阪-町田、神戸-鹿島へ。

町田はここで敗れると首位を明け渡す正念場だったが、アウェーでG大阪を3-1で撃破。前半9分に先制を許した町田だったが、前半33分に半田陸が2枚目のイエローカードで退場処分となったのを機に、逆転勝利を収めた。

一方、鈴木優磨を出場停止で欠く鹿島は、神戸に1-3で敗れたため、2位鹿島と町田の勝ち点差は5に広がり、町田は再び首位の地盤を固めた。J2からの昇格組ながら躍進を続ける町田が、本当にJ1優勝を果たすとすれば、この20節、21節は大きな岐路になったかもしれない。その答えはもう少し後にわかることだろう。

町田はこれで21試合を終えて、勝ち点43を獲得した。1試合辺りの平均勝ち点は2.05だ。昨年優勝した神戸は、1試合平均2.09の勝ち点を獲得したので、町田も優勝ラインとしてはもう一歩上を目指す必要がある。

2020年、2021年に優勝した川崎は平均勝ち点2.4を叩き出す驚異的なチームだったが、直近のJ1にそこまで突出した存在はない。欧州各国リーグの場合、優勝クラブが獲得する1試合辺りの平均勝ち点は2.4が常か、あるいはそれ以上に達することも珍しくないが、J1はそこまで突き抜けたクラブが安定的に現れないのが現状だ。今季J2から昇格した町田が首位を走れているのも、そもそも大本命が存在しないリーグ、という前提はある。おそらく今季も平均勝ち点2をわずかに越えた辺りが、優勝ラインになりそうな気配だ。平均勝ち点『2』を意識しつつ、順位表の上位争いに目をやると、シーズンの位置付けや構図も見えて面白い。

一方で、残留争いも少しずつ見えてきた。

第21節を終え、17位京都(勝ち点18)、18位鳥栖(勝ち点17)、19位湘南(勝ち点16)、20位札幌(勝ち点11)と並んでいる。その一つ上の16位磐田とは勝ち点5の差が付いており、15位川崎、14位新潟も降格圏まで順位が落ちることは考えにくい。

試合内容を鑑みても、得失点差が2ケタのマイナスに達している京都、鳥栖、湘南、札幌の4クラブは危険な状況だ。自動降格枠は3クラブなので、他に急激に順位を落とすクラブが無ければ、この4クラブ中から残留を果たすのは1クラブに絞られる。

徐々に2024年J1のシビアな構図が見えてきた。後半戦、ここから緊張高まる試合が増えてくるだろう。

サッカーライター

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合を切り取るサッカーライター。新著『サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点』『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』。既刊は「サッカーDF&GK練習メニュー100」「居酒屋サッカー論」など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材に出かけた際には現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが最大の楽しみとなっている。

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