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湯船のどこから入る? これだけは知っておきたい「入浴の作法」5選

高橋一喜温泉ライター/編集者

冷え込みが厳しい冬。温泉に出かける人も多いだろう。

利用する際にはマナーを守らないと、旅人と地元の人、お互いにとって不快な思いをすることになりかねない。

「タオルを湯につけない」「かけ湯をしてから入る」といった最低限の入浴マナーのほかにも、暗黙のルールやマナーが存在する。

お互いに気持ちよく湯を楽しむためにも、観光で訪れる人は最低限のマナーを心得ておきたい。マナーを守れば、旅人や地元の人と打ち解けて世間話に花が咲く、といった楽しみもある。

ここでは「湯船で互いに快適に過ごすための作法」を5つに絞ってお伝えしよう。

①桶や腰かけなど、使ったものは元に戻す

地元率が高い共同浴場や日帰り温泉ほど、整理整頓がしっかりされている。一方、ホテルや旅館、スーパー銭湯などでは、施設の人が片づけをしてくれるので、使ったものを元に戻さない人が多い。

あとで使う人の立場になれば、いろいろなものが散らかっている浴室よりも、秩序のある浴室のほうが居心地もいいだろう。

②湯が熱くても、無断で水を入れない

ある温泉地の共同浴場で、トラブルに遭遇したことがある。観光客が、湯が熱すぎて湯船に浸かれなかったため、水で埋めようとしたところ、地元の常連さんが「勝手なことをするな!」と叱りつけたのだ。

どうしても我慢できないときは断りを入れる。自分は熱く感じても、他人は適温だと思っている可能性があるからだ。

湯をかき混ぜたり、多めにかけ湯をして熱に慣れたりすれば、意外とすんなり浸かれることもある。

③最初は湯口から遠いところ(湯尻)から入る

気にかけている人はあまりいないと思うが、これができると温泉めぐりの上級者。湯口に近いほど新鮮な湯を楽しめる特等席なので、先客がいるときは、タイミングを見計らって徐々に湯口に近づくのがマナー。

九州のある共同浴場では、体を洗う前に入る湯船と、洗ったあとに入る湯船の2つに分かれているところもあった。何も知らずに後者の湯口に近いほうの湯船に浸かってしまった筆者は当然、注意を受けることとなった。

④あいさつをする

地元の常連さんにとって、共同浴場は「わが家の風呂」同然。観光客は「お湯をいただく」という気持ちを忘れてはいけない。

「こんにちは」「こんばんは」などと、こちらから最初に声をかけたい。返答がない場合もあるが気にしない。相手の警戒心も解けて、会話が弾むケースも少なくない。

旅館の風呂でもあいさつを交わすと、他の旅人とグッと距離が近くなることがある。

また、湯上がりには感謝の念を込めて、「いい湯でした」「お先に」などとあいさつをしてから帰るようにすると気持ちいい。

⑤脱衣所にあがる前に、体をよく拭く

体はバスタオルで拭きたいという人もいるかもしれないが、手持ちの入浴用タオルで、床に水滴が落ちない程度に体を拭くのがマナー。

脱衣所の床が濡れていると、滑りやすくて危ないし、不快な気持ちにもなる。

以上、これら5つのマナーを守れば、気持ちよく良質な湯を楽しめるはずだ。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3800超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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