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春休みの在宅時間に、親子で和菓子作り体験!老舗が手掛ける「和菓子キット」が面白い

笹木理恵フードライター
2歳から楽しめる「さわってつくってたべる絵本」※画像提供/株式会社wacle

食の欧米化が進む日本。ご飯がパンやパスタに、魚が肉に取って代わられたように、おやつも和菓子ではなく洋菓子を好む層が増え、和菓子業界では、若年層の和菓子離れが深刻化している。最近は、新型コロナウイルスによる休校措置などで、自宅でお子さんとクッキングを楽しむ家庭も増えたと思うが、和菓子を作る機会は意外に少ないのではないだろうか。そこで今回は、ネットショップで注文でき、親子で気軽に楽しめる手づくり和菓子のキットを紹介。在宅時間が増えている春休みに、和菓子に親しむ時間を作ってみてはいかがだろう。

2歳からの和菓子作り体験!絵本仕立ての「和菓子作りキット」

「さわってつくってたべる絵本」は、絵本と練りきり2個のキットが2980円(税・送料込/一部地域は別途送料)※画像提供/株式会社wacle
「さわってつくってたべる絵本」は、絵本と練りきり2個のキットが2980円(税・送料込/一部地域は別途送料)※画像提供/株式会社wacle

自宅に和菓子作りの道具はないけれど、お子さんと気軽に作ってみたい。そんな人におすすめしたいのが、三重で300余年続く老舗和菓子店「大徳屋長久」と、育児マンガが人気のインスタグラマー・つむぱぱ氏(@tsumugitopan)がコラボレーションした「さわってつくってたべる絵本」だ。

「大徳屋長久」16代当主・竹口久嗣氏。※画像提供/株式会社Wacle
「大徳屋長久」16代当主・竹口久嗣氏。※画像提供/株式会社Wacle

「和菓子の文化が衰退してしまう」という危機感から開発がスタートしたというこの商品。発案者の一人である「大徳屋長久」16代当主・竹口久嗣氏は、和菓子の古きよき文化を後世に残すためにも、何か新しいことを始めないと…という思いに駆られていたという。「竹口氏から、『子供たちが、もっと気軽に和菓子に親しんでもらうきっかけとして何かつくれないか』、というご相談をいただいたのが開発のきっかけです。つむぱぱさんに協力を仰ぎ、子供と一緒に楽しめるツールとして注目したのが、『絵本』という手法でした」と語るのは、同プロジェクトを立ち上げた株式会社wacleの山本援氏。「ただ和菓子を販売するだけではなく、親子のコミュニケーションをはかりながら、和菓子の文化にふれてもらい、親しみをもってもらえるような内容にしたいと考えました」(山本氏)。

絵本で作れる練りきりは5種類。※画像提供/株式会社wacle
絵本で作れる練りきりは5種類。※画像提供/株式会社wacle

「さわってつくってたべる絵本」では、絵本1冊と、練りきりのキットがセットになっており、練りきりのキットは「大徳屋長久」が、絵本はつむぱぱ氏が担当。食いしん坊のお姫様のために、ご膳番が料理作りに奔走するストーリーになっており、練りきり5種類のレシピが紹介されている。「大福やわらび餅などいろいろな和菓子があるなかで練りきりを選んだ理由は、第一に造形の楽しさが味わえること。日本の四季を表現したものはもちろん、動物や乗り物など様々なモチーフにアレンジもできます。加えて、火を使わずに作れるので、小さなお子さんから楽しめるのではと考えました」(山本氏)。

2019年5月に、クラウドファンディングで資金の一部を募り、8月に一般販売をスタート。クラウドファンディングでは、目標金額を大きく上回る1351%の支援を達成した。商品は、ネットショップ、または「大徳屋長久」の一部店舗で購入できる。「クール便の送料込みなので、どうしても少し価格が高くなってしまうのですが…。お友達同士や、リピーターの方にも楽しんでいただけるように、練りきりだけのセットも販売しています」と山本氏。発売後、都内での体験販売や、イベント出店なども開催しており、今後は、作れる練りきりの種類を増やして商品展開をしていくという。

「さわってつくってたべる絵本」ネットショップ

親子で、実際に練りきりを作ってみた!

「さわってつくってたべる絵本」は、「下は1歳半くらいから、上は中学生や大人まで、幅広い年代に楽しんでいただいています」と山本氏。そこで、4歳と7歳の子供がいる我が家で、実際に作ってみることにした。

1個分ずつ個別包装されているので、準備もラクチン。お手本の絵本は子供も見やすいサイズ
1個分ずつ個別包装されているので、準備もラクチン。お手本の絵本は子供も見やすいサイズ

冷凍状態で届くので、使う前に1時間ほど自然解凍する。冷凍保存での賞味期限は1ヵ月あるので、週末など空いた時間で気軽に楽しめるのもいいなと感じた。

まずは作り方の動画を見て、イメトレ!
まずは作り方の動画を見て、イメトレ!

絵本で作れる練りきりは、全部で5種類。手順が細かく紹介されているほか、インターネットで動画も公開されているので、とてもわかりやすい。また、練りきりのレシピは、初級から上級まで難易度が設定されているため、年齢に応じて選ぶことができ、また何度も作って楽しめるよう設計されている。

デリケートな練りきりの生地。2色の生地の混ぜ方によって、色の出方も変わる。
デリケートな練りきりの生地。2色の生地の混ぜ方によって、色の出方も変わる。

4歳の息子は、難易度1の「葉っぱ」を、7歳の娘と主人は難易度3の「菊」を製作。最初は練りきりのやわらかさにやや苦戦していたが、慣れてくると扱いも上手になってきた。

黒文字を使って模様を作っていく作業は、大人も楽しい
黒文字を使って模様を作っていく作業は、大人も楽しい

とくに、黒文字(和菓子に添えられる楊枝のこと。こうした表現も、子供は初めて知る)を使って模様を入れていく作業は、少し難しいが小学生にはやりがいも感じるらしい。出来上がった練りきりの美しさ、自分で作った和菓子を食べる楽しさ。娘はすぐさま「もう1個作りたい!」と大満足の様子だった。また、思いのほか楽しんでいたのが主人。和菓子を作るという体験は大人でもなかなかしたことがないと思うので、ぜひ家族で楽しんでみてもらいたい。

初めての練りきりが完成。所要時間は1時間ほどなので、週末の手軽なおやつ作りにもおすすめ
初めての練りきりが完成。所要時間は1時間ほどなので、週末の手軽なおやつ作りにもおすすめ

和菓子教室の実績15万人以上!「京菓子司よし廣」の「京菓子手作り体験キット」

菊と桜の2種類の練りきりを作れる「中級者用 体験キット」(750円/税込・送料別)※画像提供/京菓子司よし廣
菊と桜の2種類の練りきりを作れる「中級者用 体験キット」(750円/税込・送料別)※画像提供/京菓子司よし廣

季節ごとの練りきり作りを楽しみたい人におすすめなのが、京都の和菓子店「京菓子司よし廣」の「京菓子手作り体験キット」だ。

店主の水内氏は、和菓子作り体験などでこれまで15万人以上に和菓子を教えてきた。※画像提供/京菓子司よし廣
店主の水内氏は、和菓子作り体験などでこれまで15万人以上に和菓子を教えてきた。※画像提供/京菓子司よし廣

同店では、1999年8月、インターネット通販をスタートする際に、「自宅でも京菓子を気軽に楽しんでいただきたい」と、「京菓子手作り体験キット」の販売をスタート。「京都は和菓子が有名ですが、上生菓子はお団子などに比べるとまだまだ敷居が高いようです。自分で作れるキットを販売することで、上生菓子にもっと親しんでいただけたらと考えました」と語るのは、店主の水内啓介氏。同店では、19年前から店舗での和菓子作り体験を開催するほか、近隣の小学校や幼稚園での出張体験も行なっており、これまでに15万人以上を教えてきた実績をもつ。教室で和菓子作りを体験した人が、自宅でもう一度作ったり、子供と一緒に作ったりすることも多く、喜ばれているという。

体験キットの材料は、1個ずつ真空包装されている。※画像提供/京菓子司よし廣
体験キットの材料は、1個ずつ真空包装されている。※画像提供/京菓子司よし廣

「京菓子手作り体験キット」は、菊と桜の2種類の練りきりを作れる「中級者用 体験キット」(750円/税込・送料別)と、上級者向けの「上級者用 体験キット」(1670円/税込・送料別)を販売。手順写真付きの説明書が同封されているほか、ホームページ上に動画も公開されている。さらに、キットの箱は茶室のデザインになっており、作った練りきりを置いて写真撮影を楽しめるのも嬉しい。

茶室がデザインされた箱。作った練りきりをおいて撮影も楽しめる。※画像提供/京菓子司よし廣
茶室がデザインされた箱。作った練りきりをおいて撮影も楽しめる。※画像提供/京菓子司よし廣

一方、「上級者用 体験キット」は、「春」「夏」「秋」「冬」の4種類を販売しており、「夏」は朝顔と撫子など、季節の花の練りきりが作れるようになっている。また、通常は見本2個、材料2個分がセットになっているが、たくさん作りたい人向けに、見本なしの材料4個分を選ぶことも可能だ。

「上級者用 体験キット・春」(1670円/税込・送料別)※画像提供/京菓子司よし廣
「上級者用 体験キット・春」(1670円/税込・送料別)※画像提供/京菓子司よし廣

「中級者用 体験キット」は、常温発送で、消費期限は発送日含め14日間、「上級者用 体験キット」は、クール便発送で消費期限は発送日含め3日間。腕に自信のある人は、同店のホームページから応募できる「和菓子作りコンテスト」に応募してみてはいかがだろう。

「京菓子司よし廣」ネットショップ

※クレジットのない画像は、筆者撮影

フードライター

飲食業界専門誌の編集を経て、2007年にフードライターとして独立。専門誌編集で培った経験を活かし、和・洋・中・スイーツ・パン・ラーメンなど業種業態を問わず、食のプロたちを取材し続けています。共著に「まんぷく横浜」(メディアファクトリー)。

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