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OPBF東洋太平洋ライト級王者のラスベガス合宿

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:中島敏

 「5日間という本当に短い時間でしたが、来てよかったとしみじみ感じています。物凄く刺激になりました」

 7月19日にOPBF東洋太平洋ライト級王座に就いた宇津木秀が、9月2日から6日まで米国ネバダ州ラスベガスに飛び、イスマエル・サラスの指導を受けた。

撮影:中島敏
撮影:中島敏

 「サラスさん、そして彼のアシスタントトレーナーのヘンリーさんは、これまでに自分が積み重ねてきたことと、全く違うことを教えてくれました。足りないものがハッキリと見えましたね。

 限られた時間の中でですが、色んなタイプの選手とスパーリングをしました。特にWBCスーパーライト級チャンピオンのアルベルト・プエジョとの2ラウンドは、勉強になりましたよ。無茶苦茶強かったですよ。ビックリするほどでした。僕がこれまでに戦った中で、最強じゃないですか。

撮影:中島敏
撮影:中島敏

 デカいし、距離が遠く、タイミングも抜群で、何もさせてもらえませんでした。くっついて接近戦に持ち込みたかったのですが、中間距離、あるいはそれ以上に離れられ、入らせてくれないんです。

 結構、打たれましたね。まだまだ自分のレベルは世界に届かないな、と身をもって感じました。でも、その一方でまだまだ僕は成長できるとも思えました」

撮影:中島敏
撮影:中島敏

 サラスは「ウツキはいい選手ですね。頭の位置についてアドバイスしました」と語った。

撮影:中島敏
撮影:中島敏

 今回のメニューを終えた宇津木は言った。

 「間合いを維持することが自分の課題だと、教えられた気がします。僕はすぐに接近戦がやりたくなってしまう。出過ぎなんですよね。サラスさんに『突っ込み過ぎているから、止まっていても自分のパンチが当たる距離で戦え』と言われました。

 時差ボケがようやく解消し、体がこちらに慣れてきたところで終了なので、心残りです。でも、絶対にまた来たいですね。もっともっと、サラスさんに教わりたいです」

撮影:中島敏
撮影:中島敏

 2022年8月20日、WBAスーパーライト級タイトル空位決定戦でバティル・アフメドフを2-1の判定で下し、ドミニカ人初のスーパーライト級世界チャンピオンとなったプエジョだが、初防衛戦前に禁止薬物使用が明らかになり、半年間の試合出場停止処分を受けた。無論タイトルは剥奪され、無冠となった。しかし、このドミニカ人サウスポーは、謹慎明けに2連勝しWBCスーパーライト級王座に座る。

Alex Sanchez/TGB Promotions  アルベルト・プエジョ
Alex Sanchez/TGB Promotions  アルベルト・プエジョ

 キューバから亡命したサラスのジムには、スペイン語を母国語とする精鋭たちが集う。宇津木にとっては、得難い経験となっただろう。本人の言葉通り、上を目指すのであれば、こういった環境に身を置き、自分を絞り尽くすことが大事だ。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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