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ヤンキースに急浮上した「夏の補強ポイント」。キングがシーズンを終え、チャップマンは防御率5点台

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイケル・キング(ニューヨーク・ヤンキース)Jul 21, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月23日、ニューヨーク・ヤンキースは、ロースターの2枠を入れ替えた。セットアッパーのマイケル・キングを60日間の故障者リストに入れ、外野手のティム・ロカストロをAAAへ。そして、2人のリリーフ投手、クラーク・シュミットシェーン・グリーンをAAAから昇格させた。

 前日の試合は、7回表を終え、7対3とリードしていた。予定どおりであれば、アロルディス・チャップマン、キング、クレイ・ホームズの3人が、それぞれ1イニングを投げていたのではないだろうか。けれども、チャップマンは1アウトしか取れず、3ラン本塁打を打たれて降板した。チャップマンと交代したキングは、イニングをまたぎ、3人続けて討ち取ったものの、4人目に対して3球を投げたところで、右肘を痛めた。そこから、キングホームズが5アウトを記録し、ヤンキースは7対6で勝利を収めた。

 キングは、右肘を骨折していて、復帰は来シーズンになりそうだ。メジャーリーグ4年目のブレイクは、途中で打ち切りとなった。リリーフに専念した今シーズンは、34登板で51.0イニングを投げ、防御率2.29を記録していた。

 一方、チャップマンは、かつてのチャップマンではなくなっている。25登板の20.1イニングで防御率5.75だ。球速が急降下しているわけではないが、前年に悪化した制球がさらに乱れている。クローザーがチャップマンからホームズに代わった経緯については、先月中旬に「チャップマンが復帰する日は近いが、ヤンキースのクローザーには戻れない!?」で書いた。

 ヤンキースでは、2人のリリーフ左腕、ワンディ・ペラルタルーカス・リットキーも、30試合以上に登板し、防御率2点台を記録している。だが、先発投手からホームズまでの間をつなぐ、ブリッジの最後を主に担っていたのはキングだ。9月にはザック・ブリットンが戻ってくるかもしれないが、トミー・ジョン手術明けであることを考えると、過大な期待はできない。

 8月2日のトレード・デッドラインまで、まだ1週間以上ある。ヤンキースは、キングの穴を埋められそうな投手の獲得に動くはずだ。

 トレードで動く可能性のあるリリーフ投手は多いので、予想は難しいが、デビッド・ロバートソン(シカゴ・カブス)は、有力な候補の一人だろう。年齢は37歳ながら、今シーズンは、34登板の38.1イニングで防御率1.88を記録し、13セーブを挙げている。カブスが売り手に回るのは間違いなく、ロバートソンは、今オフにFAとなる。

 ロバートソンがヤンキースへ移籍すれば、3度目の在籍となる。1度目は、2006年のドラフトで17巡目・全体524位に指名され、2年後にメジャーデビュー。2014年のオフにFAとなり、シカゴ・ホワイトソックスへ移った。2度目は、計7人が動くトレードで、ヤンキースへ戻った。2017年の夏にホワイトソックスから移り、翌シーズンが終わって再びFAとなるまで在籍した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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