パソコンや携帯電話やテレビなどの利用状況をさぐる(2020年公開版)
平日で一番多用されるのはテレビ受像機
テレビは基本的に映像・音声の出力しかできないが、番組をリアルタイムで映し出す他に、DVD・BDプレイヤーの再生映像を観たり、さらにテレビゲームの画像表示用としても使われる。また携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォン双方)ではワンセグを用いたテレビ視聴機能が使えるのが当たり前となりつつある。これら機能のクロスオーバーを考慮した上で、それぞれどのメディアが長時間使われているか、見方を変えれば利用者の時間を奪っているか、気になるところではある。今回はその疑問を解消すべく、総務省が2020年9月に情報通信政策研究所の調査結果として公開した「令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値から確認していく。
次に示すのは主に情報の取得用ツールとして一般家庭で利用されるもののうち代表的な「パソコン」「携帯電話」「タブレット型端末」「テレビ受像機」それぞれにおける利用時間。さらに「携帯電話」は「携帯(スマートフォン)」と「携帯(従来型)」に細分化したものも併記しておく。
なお今件においては、本来は他メディアでの利用がメインとなる機能でも、利用したメディアでのカウントが行われる。例えば携帯電話でワンセグを用いてテレビ番組を観た場合、「携帯電話」の利用時間と見なされる。またテレビをゲーム画面やBD・DVDの再生出力機として使った場合は、「テレビ受像機」の利用時間が付加される。
10~20代を除けばテレビ受像機の利用時間がもっとも長い。そして年上になるに連れて時間は伸びていき、10代と60代とでは3倍以上もの差が生じている。10~20代はテレビ受像機よりも携帯電話、実態としてはスマートフォンの利用時間の方が長い。平日ではテレビ受像機よりもスマートフォンを長時間使うのが、今の10~20代の実情ということになる。
携帯電話は10代が最長で、それ以降は漸減。ただし実情はほとんどがスマートフォンによるもの。パソコンは10代が年齢階層別では最短で、その後20代から40代までは年とともに長くなっていく。これは就業者の仕事における利用が底上げしているものと思われる。
また、機能別ではなく今件のように端末別で考えた場合、すでに10~30代は、パソコンよりも携帯電話(ほとんどスマートフォン)の方が利用時間が長い年齢階層となっているのも興味深い。他方年上となるに連れて利用時間の一極集中化、具体的にはテレビ受像機への注力度合いが上がり、60代ではパソコン・携帯電話・タブレット型端末すべてを合わせても、テレビ受像機の3割強の時間にしかならない。いかに高齢層が平日からテレビ受像機に熱中しているか、そしてながら視聴ではなく注力した視聴なのかがうかがい知れる。
休日は皆が長時間テレビ観賞
同じ条件で休日について尋ねた結果、そして平日との違いを明確化するために休日・平日の差異を算出した結果が次のグラフ。
年齢階層別の利用時間の長短度合いは平日とあまり変わらないが、全体的に平日よりも長い時間となる。テレビ受像機は10代でも2時間近く、60代では6時間近くはテレビ受像機に首ったけ。いかに高齢層がテレビ好きか、その実情が分かる。他方、休日でも10~20代においてはテレビ受像機利用時間よりも携帯電話(ほとんどスマートフォン)の利用時間の方が長いことに変わりはない。
平日との差異で行動の違いを見ると、ほとんどの年齢階層でパソコンの利用時間が減っている。特に30代から50代の下げ幅が大きい。これは平日の利用が多分に職場におけるものだったことをうかがわせる。また、10~20代は特に携帯電話(実質スマートフォン)の利用時間が大きく伸びているが、フルに使えるプライベートタイムに、知人などとのやり取りをしていると考えれば道理が通る。
タブレット型端末や従来型携帯電話の利用状況にほとんど変わりはなく、10-20代はスマートフォンとテレビ受像機、30代以降はテレビ受像機が大きく伸びている。60代は実質的にテレビ受像機のみ増加しているほど。60代は休日の娯楽として、テレビ受像機を利用した時間の使い方に注力しているようだ。スマートフォンも使いこなす若年層とは大きな違いではある。
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※令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
2020年1月14日から1月19日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。
調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きをしている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。