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梨泰院事故 管轄警察署長は当日"歩けば10分"を"車で1時間"かけ現場へ 「39分のウソ」も

(写真:ロイター/アフロ)

梨泰院での痛ましい事故が10月29日に起きてから1週間が過ぎた。

韓国の報道は「警察・消防・行政のトップの事件発生時の対応」について追及する方向に向かっている。

現場での必死な救護・秩序維持に務めた消防官・警察官の献身的な姿勢は大いにリスペクトされているところだが、「お偉方」の対応があまりにもずさんだったのだ。

なかでも大きく問題視されているのは警察の当日の対応だ。5日に「謎」とされてきた管轄の警察署長の動きについて「聯合ニュースTV」が監視カメラ映像を基にしたスクープ報道を行い、警察側に批判が集まっている。

警察庁長官が「キャンプ地で就寝中」も

当日の龍山警察署の動向については事件直後から問題視されてきた。韓国警察庁が管轄部署を捜査するという事態に。韓国メディアではこれを「セルフ捜査」と名付け、その深刻さを伝えている。

ここまで各メディアで報じられている当日の流れは下記の通りだ。

10時15分 事故発生

10時45分すぎ 消防庁からの連絡を受け警察庁が事故を知ることに。

写真:ロイター/アフロ

ユン・ヒグン警察庁長官

忠清北道 ジェチョンでのキャンプ場で就寝中。11時32分、11時52分の電話連絡を取れず。12時14分に電話を取り、ソウルに出発。

深夜2時半に指揮本部を主宰。

キム・グァンホ ソウル警察庁長

11時36分に電話を受け12時25分に現場到着。

イ・イムジェ龍山警察署長(当時/事故後に辞任)

9時37分 近隣の食堂で食事中のところ連絡を受け出発。

11時36分 ソウル警察庁長に状況報告。

その前後の行動は「謎」とされてきた。

リュ・ミジン 当時ソウル警察庁 状況担当官(当時/同)

11時0分 状況室ではない自分の執務室に在室。

11時39分 状況室チーム長の報告を受け状況室復帰。

このうち、「謎」とされてきたイ・イムジェ龍山警察署長(当時)の動向が明らかになってきた。「聯合ニュースTV」が6日午前に監視カメラの映像分析結果をスクープしたのだ。

「到着を虚偽報告した前龍山署長…「遅い移動」CCTVにキャッチされていた」と伝えた。

報道によると、当日の管轄署長の動きはこうだった。

9時47分 梨泰院が大混雑の報告を受ける。龍山警察署近くの食堂で食事を終え出発。官用車を利用して移動。

9時57分頃(10分後)に地下鉄緑莎坪(ノクサピョン)駅近くまで到着。同駅は6号線で梨泰院駅まで一駅・800mの距離。

しかしその後渋滞。

午後10時59分(1時間後)梨泰院の事故現場に到着。事故発生後44分後。

同メディアはこう続けた。

「迂回路を探し、梨泰院入りを数度試みたと言うが、緑莎坪駅から梨泰院駅は歩いても10分の距離。また署長側は『10時20分に現場到着』と状況報告していたが、この内容が虚偽だったという疑いも向けられている。警察特別監察チームは事故現場に遅れて到着し、指揮管理を怠った責任を問い前署長に対し待機発令を行い、特別捜査本部に捜査依頼を行った」

同メディアのニュースに対してコメント欄には「普通、走ってでも行くだろう?」「そんな人に責任を持たせてたのか?」「検察が捜査すべき」といった声が挙がっている。

また5日には消防庁が「当日10時15分以前に危険を知らせる連絡を17件、事故現場からの直接の通報も1件受けていたが、これを重要視せず」という報道も。これに関して政府消防庁119対応局長が会見を行い「事実は認めるが、捜査中のため多くを話せない」と発言している。

事故当日、救護隊や医師から「現場の導線がなく、個々の判断で心臓マッサージなどをしなければならない状況だった」という証言が多く出ている。警察・消防の対応の遅さも事故被害を大きくした一因。そういった報道・追及が続いていきそうだ。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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