HYBE「他社アイドル外見誹謗」騒動 現地報道「業界1位企業は一瞬でK-POP共通の敵となった」
韓国の10月は「国政監査のシーズン」でもある。
今年は10月7日から26日までの間、行われた。
「国政監査」とは、韓国国会議員が所属する委員会に対して「社会の中の公共性の高い領域でのこの事象の当事者が気になる」と申し出、召致し、質問する場のことだ。本来的な趣旨として「厳しい質問を投げかける」というものがある。
「国政」というだけあって、連日議論されたテーマは「お堅いジャンル」のものがほとんど。今年は79か所が対象となる中、多くは「地方裁判所」や「国税局」などの公的機関だった。いっぽうで、監督人事問題などで適切な手続きを踏まなかった大韓サッカー協会などが呼ばれた。
そういったなかで今年は「芸能界」について、2つのテーマが採択された。
10月15日 「社内いじめ」…環境労働委員会 ・証人:キム・ジュヨン ADORE代表取締役兼HYBE最高人事責任者 ・参考人:ハニ(NewJeans)
10月24日 「劣悪なK-POP文化産業環境の問題」…文化体育観光委員会 ・証人:SM Entertainment、YG Entertainment、JYP Entertainmentの各代表取締役およびHYBEの子会社BELIF LAB キム・テホ代表取締役
韓国メディアでは「今年4月のミン・ヒジン氏会見で提起された問題から2テーマが選ばれた」という報道がある。また「日刊(イルガン)スポーツ」は、「2020年から2024年8月までの期間で大手芸能事務所5社に申請された被害救済申請が240件に達する」というデータを挙げている。
HYBEだけが「この場に残ってください」
24日に行われた「劣悪なK-POP文化産業環境の問題」に関する国政監査以来、HYBEの姿勢が大きく取りざたされている。
国会で行われる質問に向け、議員側は徹底的に資料を収集し、関連情報を分析する。不十分な質問をすると、逆に議員側が国民から批判を浴びるからだ。
この日、「共に民主党」のミン・ヒョンベ議員が公開した内部文書は、衝撃的なものだった。他社のアイドルを評価する文章のなかでこんな表現が含まれていたのだ。
「メンバーたちが一番醜い年頃にデビューさせた」 「誰もアイドルの顔立ちではない」 「整形が重すぎる」 「他のメンバーは驚くほど醜い」
さらに、この指摘を受けている最中の出来事が、国会内で問題視された。議長側から「HYBEだけ残ってください」と指示されたのだ。
質問が進行中に、社としてプレスリリースを発行。そこに以下の内容が記されていた。 「この内容はファンのSNSの内容を抜粋したもの」 「この情報を流出させた勢力の責任を徹底的に問う」
該当プレスリリース全文
これが議長側の強い反発を招き、ミン・ヒョンベ議員に追加での質問時間が与えられた。議員側は「国会はナメてもいい場所なのですか」と厳しく追及。その場でHYBEのキム・テホ氏は「内部告発者の捜索はしない」ことを約束することになった。
29日の謝罪にも厳しい反応 国内メディアは「パン氏の責任追及」
その後、HYBE側は29日にこの件を謝罪。しかし韓国での批判は収まりそうにない。28日に「スポーツ京郷」が報じた内容が「決定打」となった。
HYBE側によるプレスリリース全文はこちら
レポートの作成・配布体制は「週次形式で報告される文書」で、執筆者は元音楽評論家で現在HYBEの子会社Weverse Companyが発行するWeversマガジンの編集長A氏が作成。またこれが、パン・シヒョクHYBE会長を含むHYBE役員らにメールで配布されていたことを報じた。「このような刺激的で非人格的な内容が含まれた文書を上級責任者間で回覧することを容認したこと自体が、今回の問題の責任から逃れられない点」と指摘している。
これに対して、各方面から批判が相次いでいる。
HYBE系のグループに所属するSEVENTEENのスングァンが自身のSNSに意見を投稿したのはすでに知られるところ。 「そんなに簡単に判断されるほど、そんなに平凡で穏やかに活動してきた人たちではない」 「アイドルを甘く見ないでほしい。私たちはあなたたちのアイテムではない」
「日刊スポーツ」は業界関係者の話として以下の内容を伝えた。 「今回の事態でHYBEに対する業界の信頼度は底に落ちた。もはや今後、そういったレポートを作成しないとしても、崩れた信頼を回復するのは簡単ではないだろう」
法的な観点からも問題視する声が上がっている。「スポーツ京郷」は法務法人ZONJAEのノ・ジョンオン弁護士のコメントを紹介している。 「該当内容は他の大手事務所の特定アイドルについて実名を挙げながら侮辱的な表現と虚偽事実が多数含まれており、これは侮辱もしくは名誉毀損に該当する可能性がある」
また、「中央日報」はこの一連の騒動について「圧倒的な成長を続けてきた業界1位企業は一瞬にしてK-POP共通の敵となった」と評している。
今後、HYBEがどのように信頼回復を図っていくのか、業界の注目が集まっている。