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【南相木村】長野県に水はほとんど流れない!石灰岩積み標高日本一の不思議ダムを眺めに行く

Kunieライター(長野県佐久市ほか)
南相木ダム

「ダム」と言えば?多くの人がイメージするのはコンクリートの硬い壁が満々とした水を湛える「黒部ダム」でしょうか。堤高(ダムの高さ)日本一の黒部ダムに対し、ご紹介する南相木ダムは標高(1532m)で日本一。また工法は白い石灰岩を積み上げたロックフィル式ダムで、コンクリート工法のものとは外観を異にします。

石積みのダムで水は漏れないの?そもそも貯めた水って何に使いどこに流れていくの?千曲川上流域の山奥にある巨大な白い石壁のダムを眺めに行きました。

南相木ダムによりできた奥三川湖
南相木ダムによりできた奥三川湖

ロックフィル式ダムとはなんぞや?

群馬県安中市坂本ダム
群馬県安中市坂本ダム

私が描くダムのイメージは、この写真に代表されるコンクリートの壁が水を湛え放水される様子が滝のように美しいといったもの。

ダム真下のウズマクヒロバから見上げた南相木ダム
ダム真下のウズマクヒロバから見上げた南相木ダム

片や、中部横断自動車道八千穂高原ICから車で約1時間。やってきました、標高日本一の南相木ダム。石積みと聞いてはいたが、え、石垣か?

東京電力南相木ダム天空の広場説明板
東京電力南相木ダム天空の広場説明板

なぜ石垣のような造りで水が漏れないのか。管理する東京電力の説明板によると

ダム中央に土質材料を締固めて造った遮水盤をコアとして水を止め、そのまわりに体積にして730万平方m東京ドーム約6倍の岩石を積み上げ支えている

とありました。中に水を漏らさない仕組みがあったのですね。

南相木ダムの水はどこに流れていく?

写真右=南相木ダム洪水吐
写真右=南相木ダム洪水吐

ダムの際から手前の展望台まで戻った写真がこちら。右に灰色の大きなウォータースライダーのようなものが南相木ダムの洪水吐。ダムの水位が基準値を超える場合、こちらから放水されます。

南相木ダムの上からの風景
南相木ダムの上からの風景

ダムの上に車で向かい、先ほど見上げた場所を見下ろしてみました。人など豆粒ほどの大きさ。高さが136mもあれば当然でしょう。

これだけの高さに石灰岩が積まれたダムの上から遠くを眺めるのは、コンクリート造のダムとは一味違った趣があり、来た甲斐がありました。

南相木ダム洪水吐
南相木ダム洪水吐

水の流れもありませんでしたが、「洪水吐」という名前からしてダムの発電や用水供給の主役ではなさそうです。この疑問についても、東京電力の説明板が解決してくれました。

東京電力南相木ダム天空の広場説明板
東京電力南相木ダム天空の広場説明板

標高の高い長野県の南相木ダムは下部にある群馬県の上野ダムとをつなぎ、その中間に設置された東京電力神流川発電所が揚水発電を行っています。揚水発電とは

揚水発電は発電所を挟む上と下の2つの調整池を利用し、電気の需要が多いときは上部調整池から下部調整池に水を落として発電します。

また電気の需要が少ないときは下部調整池から上部調整池へ水を汲み上げ、再び発電に使うというように一定の量の水を繰り返して利用する発電方式です。(南相木村HP)

つまり夜間電力で群馬県側の上野ダムの水を長野県側の南相木ダムに上げ、昼間の電力需要が多い時間帯に南相木ダムから水を落とし発電します。

奥三川湖
奥三川湖

信濃川水系に位置する南相木ダムですが、水の流れる先は群馬県。こんな山の中の高いところから内径8.2mの導水路により県境を越えて電気が生み出されるとは、なんだかとても不思議です。

東京電力神流川発電所周辺地図
東京電力神流川発電所周辺地図

南相木村HPによると

現在は発電機2台で運転していますが、今後さらに3号機から6号機が完成し運転を開始すると世界最大級の揚水発電所となります。(南相木村HP)

と、南相木ダムに「標高日本一のダム」の他に新たな称号がつくかもしれません。

長野県あるあるで、南相木ダムも冬期間(12月上旬~4月中旬)は通行止め。今年は残り少ない期間となりましたが、晩秋の標高日本一のロックフィル式ダムへ是非お越しください。

【南相木ダムまでのアクセス】

・役場から南相木ダムまで約15km(車で約25分)

・滝見の湯から南相木ダムまで約12km(車で約20分)

・冬期間(12月上旬~4月中旬)は奥三川変則交差部~南相木ダム間が通行止めとなります。(南相木ダムに行くことは出来ません)

・御巣鷹山トンネルは一般車両の通行はできません。

【関連HP】

南相木村役場 南相木ダム

東京電力 南相木ダム

ライター(長野県佐久市ほか)

元首都圏情報誌ライター。長野県東信地区(担当エリア=佐久市、小諸市、北佐久郡、南佐久郡)の皆さんに楽しんでいただけるものを新旧の境目なく取り上げます。どうぞよろしくお願いします。

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