アライズの「3年連続首位打者」は歴代何番目の長さなのか。ジャッジと大谷の三冠王を阻む
ルイス・アライズ(サンディエゴ・パドレス)は、今シーズンも、首位打者を獲得した。2022年は、ミネソタ・ツインズでア・リーグ1位の打率.316。2023年は、マイアミ・マーリンズでナ・リーグ1位の打率.354。そして、2024年は、5月初旬にマーリンズからパドレスへ移り、両チームの合計でナ・リーグ1位の打率.314を記録した。
3シーズン連続の首位打者だ。そのうちの2シーズンは、三冠王の誕生を阻んでいる。
2年前、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)は、62本のホームランを打ち、131打点を挙げ、ア・リーグの本塁打王と打点王を獲得した。打率.311は、アライズに次ぐ2位に位置した。今シーズンの大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)も同様だ。54本塁打と130打点がナ・リーグ1位、打率.310は2位。ジャッジも大谷も、アライズがいなければ、三冠王となっていた、という見方もできる。
ちなみに、昨シーズンのマット・オルソン(アトランタ・ブレーブス)も、54本塁打と139打点はナ・リーグ1位だが、打率.283はトップ10に入っていない。12位だ。アライズとオルソンの間には、10人がいた。
現時点のアライズよりも長く、首位打者を獲得し続けた選手は7人。6シーズン連続のロジャース・ホーンズビー(1920~25年)と5シーズン連続のタイ・カッブ(1911~15年)に、4シーズン連続の5人、ナップ・ラジョイ(1901~04年)、ホーナス・ワグナー(1906~09年)、ロッド・カルー(1972~75年)、ウェイド・ボッグス(1985~88年)、トニー・グウィン(1994~97年)がそうだ。
1910年のア・リーグの首位打者は、ラジョイとカッブのどちらなのか、意見が分かれるところだが、ここでは、ラジョイとしている。カッブとした場合は、1907年から1915年まで、9シーズン連続の首位打者となる。
ラジョイの場合、4シーズン連続の2シーズン目(1902年)は、現行の規定打席に当てはめると打席数が足りず、首位打者にはならない。当時は、チームの試合の60%以上に出場した選手が対象だった。
グウィンも、4シーズン連続の3シーズン目(1996年)は、規定打席に達していない。ただ、不足は4打席に過ぎず、その分を4打数0安打と看做しても、打率は.353→.349。エリス・バークスの打率.344を上回り、首位打者を獲得した。
移籍を挟み、3シーズン以上にわたって首位打者を獲得し続けたのは、アライズが2人目だ。1人目のラジョイは、1902年にフィラデルフィア・アスレティックス(1試合)とクリーブランド・ブルース(86試合)でプレーした。
20世紀に3シーズン以上続けて首位打者の8人(延べ11人)は、いずれも殿堂入りしている。今世紀の1人目、2011~13年に3シーズン連続のミゲル・カブレラも、そうなることは間違いない。
なお、カブレラは、このストリークの2年目(2012年)に三冠王となった。1901年のラジョイと1909年のカッブ、1922年と1925年のホーンズビーも三冠王だ。
アライズは、まだ27歳。これからも、本塁打王と打点王を獲得することはないだろうが、首位打者のストリークをさらに伸ばす、あるいはストリークが途切れても首位打者の獲得回数を増やす可能性は、大いにありそうだ。
その前に、パドレスを初のワールドシリーズ優勝に導く一人となるかもしれない。パドレスは、ワイルドカード・シリーズでアトランタ・ブレーブスをスウィープし、ディビジョン・シリーズでロサンゼルス・ドジャースと対戦する。アライズは、ここまでの2試合とも「1番・DH」として出場し、9打数3安打を記録している。