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梅雨明け十日の猛暑 東京は「熱の島」

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
真っ赤に染まった日本列島(7月7日)気象庁データ

今日(7日)正午すぎ、東京・大手町(気象庁)で35度を記録し、東京都心では今年初めての猛暑日となりました。昨年よりも12日早い初猛暑日です。東京では7月の猛暑日は平年で1日程度ですが、今年は今日だけとはいかないようです。

例年、梅雨明け後、10日間は一年で最も暑さが厳しくなる頃とされています。それは、太平洋高気圧(夏の高気圧)が強まることで、梅雨前線を北へ押し上げ、梅雨が明けるからです。太平洋高気圧は数日前から、勢力を徐々に強め、現在は日本の上空約1万2千メートルの高さに達しています。太平洋高気圧は一度、勢力が強まると、一週間から10日程度、勢力を維持するため、夏空と暑さが持続するのです。

猛暑は複数の要因が重なり合うことで起こります。

1.背の高い高気圧に覆われること。

2.朝の最低気温が高いこと。

3.フェーン現象

4.ヒートアイランド現象(都市化の影響)

背の高い高気圧とは、太平洋高気圧のことです。長距離の飛行機が飛ぶ高さ、高度1万メートル以上にもなると、「沈降(ちんこう)」といって、上空から地上に向かって、空気が降りてくる効果が強まり、気温を上昇させます。さらに、よく晴れて、日差しが強くなります。

そして、日々の暑さが蓄積し、夜でも気温が下がらなくなり、翌朝、日差しとともに再び、気温が高くなる・・・このような暑さの悪循環が出来上がるのです。

とくに、世界有数の大都市である東京は、夜間の気温が高く、さらに高層ビル群が海からの風をさえぎるため、熱がこもりやすくなります。気象庁が先日、関東地方のヒートアイランド現象についての報告書を発表しましたが、それによると、太平洋高気圧が強いなどの自然現象に加えて、ヒートアイランド現象による影響が強いとしています。

昭和の初め、随筆家の寺田寅彦は“夕風の涼しさは東京名物の一つであろう”と書き残していますが、現代の東京は夕風どころか、「熱の島」と化しています。

【参考文献】

気象庁

都市化の影響による気温上昇等の解析結果について、ヒートアイランド監視報告(平成24年)

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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