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大エースが通算3000奪三振に達した試合の「準主役」。区切りの三振を喫したものの、完全試合を阻む

宇根夏樹ベースボール・ライター
マックス・シャーザー(ロサンゼルス・ドジャース)Sep 12, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月12日、マックス・シャーザー(ロサンゼルス・ドジャース)は、通算3000奪三振に到達した。かつてのチームメイトであり、2019年9月28日にたどり着いたジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)に続き、ナ・リーグとア・リーグの球史における、19人目の達成者となった。

 シャーザーは、サイ・ヤング賞に3度選ばれている。2013年、2016年、2017年だ。今シーズンは、ワシントン・ナショナルズからドジャースへ移籍する直前に37歳の誕生日を迎えたが、その投球に衰えはなく、4度目の受賞もあり得る。

 この日は、8イニングを投げて9三振を奪い、与四球と失点はなし。2回表には、イマキュレイト・イニング――1イニングに9球を投げ、打者3人をいずれも3球三振に仕留める――を記録した。こちらは3度目。サンディ・コーファックスクリス・セール(ボストン・レッドソックス)が持つ最多記録に並んだ。その上、シャーザーは、完全試合まで5アウトに迫った。

 一方、エリック・ホズマー(サンディエゴ・パドレス)は、シャーザーに2三振を喫した。最初はイマキュレイト・イニングの2人目、次が3000奪三振目だ。下のツイートにあるとおり、記念のボールを入れたケースには、ホズマーの名前が記されている。

 けれども、この日のホズマーはそれだけで終わらなかった。8回表の3打席目に二塁打を打ち、シャーザーの完全試合を阻んだ。

 シャーザーは、2015年にノーヒッターを2度達成しているが、どちらも完全試合ではない。その1度目は、9回表の2死から死球で出塁を許した。これについては「2015年のMLBを振り返る(1)ノーヒッター:「セブンス・ヘブン」に2度関わった投手は2人」で書いた。

 ホズマーは、2017年のオフにカンザスシティ・ロイヤルズからFAとなり、パドレスと8年1億4400万ドルの契約を交わした。ただ、ここまでは契約に見合う働きができていない。2018年と2019年はOPS.740未満。昨シーズンのOPSは.851ながら、出場は38試合(シーズン60試合中)に過ぎず、今シーズンのOPSは2018~19年とほとんど変わらない。

 実現はしなかったものの、この夏は、若手と抱き合わせて、パドレスがホズマーの放出を目論んでいると報じられた。例えば、ESPNのジェフ・パッサンは、テキサス・レンジャーズからジョーイ・ギャロを獲得し、交換にプロスペクトとホズマーを手放す可能性を示唆していた(結局、ギャロはニューヨーク・ヤンキースへ移籍した)。トレードの話は、今オフに再燃するかもしれない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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