Yahoo!ニュース

「ウクライナ戦争」の北朝鮮兵死傷者は3800人! 派兵部隊の3分の1が壊滅!?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
死亡したとされる北朝鮮兵士(ウクライナ特殊作戦軍テレグラムから)

 ウクライナのゼレンスキー大統領が新年早々、北朝鮮の派兵についてまたまた言及した。

 ゼレンスキー大統領は1月5日(現地時間)、米国の「ポッドキャスト」とのインタビューで「北朝鮮兵の死傷者は3800人に及んでいる」と述べ、「北朝鮮は独裁体制なので、(金正恩総書記の)命令一つで3万~4万人、もしかすると、50万人まで連れて来るかもしれない」と語っていた。

 ゼレンスキー大統領は前日の4日には「クルスク州マフノプカ村近郊でロシア落下傘部隊と北朝鮮の歩兵から成る1個大隊が壊滅した」と発言していた。

 1個大隊となると、通常は数百人規模を指す。ゼレンスキー大統領は昨年12月23日の時点で「死傷者が3千人を超えた」と語っていたので、単純計算すると、その数は約2週間で800人増えたことになる。ウクライナ当局も米韓も北朝鮮はロシアに約1万1千人を派遣していると推定しているので死傷者が3800人だとすると、北朝鮮はすでに3分の1の兵力を失ったことになる。

 また、ウクライナのメディアが1月2日に複数の消息筋を引用し、報じたところによると、北朝鮮の軍高官が負傷者の実態を調べるため昨年12月27日にクルスク駐屯のロシア基地を訪れたようだが、軍高官の実名と肩書は明らかにされてなかった。根拠は定かではないが、この媒体は北朝鮮の兵士がクルスクに投入されてから「僅か10日で4個旅団のうち1旅団が戦闘不能になった」と伝えていた。

 北朝鮮軍がウクライナ戦争で相当数の死者を出していることについて米国防総省は12月30日、「北朝鮮兵が交戦に参加してもあまり効果がないようだ」とコメントしていたが、ホワイトハウスのカービー広報補佐官(国家安全保障担当)もその3日前(27日)のブリーフィングで「最近7~8日で北朝鮮兵士1千人以上がクルスクで死亡、負傷した。我々が目撃している北朝鮮兵の人海戦術は余り効果的ではない」と同様の発言をしていた。

 しかし、その一方で、米国の「ブルームバーグ通信」は昨年12月28日、米当局者の言葉を引用し、北朝鮮の派兵でウクライナ軍は守勢に立たされており、「ウクライナは占領したクルスク地域の半分を失い、残り半分も数か月内に失うかもしれない」と伝え、ソウルの面積の1.5倍もあるクルスクを死守できるかどうかは北朝鮮の追加派兵にかかっていると報じていた。

 北朝鮮の派兵がクルスク州奪還を目指すロシアにとって戦力になっているのか、それとも戦力になっていないのか、定かではない。

 それにしても、ゼレンスキー大統領が言っているように4日のクルスク州マフノプカ村近郊での戦闘で北朝鮮の歩兵部隊から数百人の死傷者が出たのが事実ならば、ウクライナ軍が一人、二人の捕虜を捕獲してもおかしくないのだが、依然として捕虜ゼロの状態が続いているのが気になる。

(参考資料:「生き証人」の北朝鮮兵が死亡!激戦地のクルスクに北朝鮮兵が1万1千人もいるのになぜ捕虜がゼロなのか?)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

「辺真一のマル秘レポート」

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌ではなかなか語ることのできない日本を取り巻く国際情勢、特に日中、日露、日韓、日朝関係を軸とするアジア情勢、さらには朝鮮半島の動向に関する知られざる情報を提供し、かつ日本の安全、平和の観点から論じます。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

辺真一の最近の記事