そばの名店ひしめく日光市の中で、唯一の茶そば専門店「茶そばの店 やぶ定」。宇治の高級抹茶を使用する手打ちそばは、茶そばでありながら蕎麦の香りを失わない絶妙のバランスが見事です。現在は「日光氷温完熟蕎麦」のシーズン真っ盛り！全てのそばメニューで、蕎麦パワーUPの氷温完熟蕎麦の茶そばを味わえます！ 今回は筆者お勧めのプラス1メニューを交えながら、やぶ定の魅力を詳しくお伝えします。

創業明治44年！伝統の味を受け継ぐ茶そば店

今市エリアの中心街にある「茶そばの店 やぶ定」は、明治44年創業の老舗茶そば店。現在の店主、我妻一義さんのお祖父さんが、東京の蕎麦の有名店で修業の後に開業したお店です。

我妻さんは子どもの頃から蕎麦を打ち、高校卒業後、東京で料理を学んだ後に、3代目として店を引き継ぎました。蕎麦のみならず、バラエティーに富んだメニューが並ぶのは、東京での料理修行の賜物ですね！

我妻さんは長年、日光手打ちそばの会・会長を務めています。そばに対するこだわりと思いはハンパではありません。日光産のそば粉（更科）と日光の美味しい水で蕎麦を練り上げます。茶そばに練りこむ抹茶は京都宇治の老舗製茶問屋「山政小山園」の香り高い抹茶。

しかし、抹茶の香りが強すぎると蕎麦の香りを消してしまいます。蕎麦の香りを生かしながら抹茶の爽やかさも感じられる、その最良のバランスを考えて、練りこむ抹茶の量を決めるのだそうです。

そうして出来上がった茶そばは、ほんのりと美しい緑色。コシのある喉越しのいいそばで、噛んだときに仄かに感じられる甘みと爽やかな香りが、しみじみと美味しいのです。さらに蕎麦のルチン×抹茶の抗酸化作用も嬉しい！

蕎麦のおいしさをストレートに味わいたいときは「もりそば（600円、大盛り750円）」がおすすめ。かつお節、本がつお本節・あらがめ節、サバや宗田などを使用し風味豊かなツユも美味しい！

筆者の大好物は「鴨せいろ（850円）」。ネギの甘みと鴨肉の旨味と香りが、爽やかな茶そばと、とてもよくマッチしています。

鴨肉は適度な歯ごたえと弾力があって、普通の肉とは違うコクと旨味を楽しめます。

そば以外のメニューも美味しい！

やぶ定は茶そば以外のメニューも美味しくて、そば屋でありながら他のメニューを頼むお客さんも少なくありません。特にお勧めなのが「カレーライス」！やぶ定のカレーには蕎麦のかえしが使われていて、何とも深い味わいなのです。

茶そばもカレーも食べたいときは、茶そば（冷・温）が付くセットもあります！

その他にも、うな重セット、親子重セット、牛丼セット、天重セットなど多彩なセットが揃っています。

そばの甘味もはずせない！

食後には「そばがきしるこ」もオススメ！ モチっとした食感のそばがきに絡むトロトロのお汁粉がたまならくおいしくて、満腹でもついつい食べてしまう別腹メニューです。

日光そばの四季ものがたり「日光氷温寒熟蕎麦」提供中！

日光手打そばの会加盟店では、現在「日光氷温寒熟そば」のシーズン真っ只中。「やぶ定」では現在全ての蕎麦メニュー（セットも含む）で「日光氷温寒熟そば」を楽しめます。

「日光氷温寒熟そば」とは？

日光氷温寒熟そばとは、秋に収穫した新そばを氷点下2度の氷温庫で60日間以上熟成させた蕎麦。新そばは通常、時間がたつと風味が落ち劣化していきますが、氷温熟成させると新そばが寒さを克服しようと生体防御反応を起こしパワーアップ！甘み、旨みが増し、収穫後の劣化を防ぐことができるのです。

日光手打ちそばの会加盟店では、2月ごろから夏までの間、この「日光氷温寒熟そば」を味わえます（店舗によって提供期間に違いがあります）。茶そばの店 やぶ定」では、夏に収穫する「日光夏そば」が始まるまで、この「日光氷温寒熟そば」のそば粉を使って茶そばを手打ちします。

つまり、通常は蕎麦が劣化していく冬も春も、新そばの風味を失わない美味しい蕎麦を食べられる、っていうことですね。日光の蕎麦、おそるべし！です。　
みなさんもぜひ、「日光氷温寒熟そば」の茶そばを味わいに「茶そばの店 やぶ定」に行ってみてくださいね！

最後にもう一つ・・・

筆者がやぶ定が大好きな理由はもう一つ・・・それは店主さんの温かいお人柄。
うちはいつも車いすの母連れなのですが、店主さんは手が空いているときは、いつもお店に入るとき、さっと手伝いに来てくれて、帰るときは車いすを車に入れるのまで手伝ってくれるのです。

いつも笑顔で親切。忙しい時は自らスタッフと一緒に配膳までこなします。蕎麦について質問すると、少年のように目をキラキラとさせて熱く蕎麦のことを語り、教えてくれる三代目店主さん、そのお人柄にもいつも元気を頂いている筆者です。いつまでもお元気で、美味しいそばを食べさせてくださいね！