スーパーで牛肉消費不振も牛丼チェーン売上好調のなぜ?
ポンタリサーチの「外食・内食の節約に関する調査」(実施期間2023年7月20日〜28日)によると、"節約意識が高まった"が外食では53%と食材を買って家で調理する内食は52%と、物価高の影響もあり高い水準となっている。特に節約している食品では、主食で無いお菓子類と肉が上位を占めている。
肉の中でも、牛肉の消費は豚肉や鶏肉と比べて価格が高いため、総務省家計調査によると2023年7月の1人当たりの消費量は牛肉164gと鶏肉469g 豚肉609gと圧倒的に少なく、平成デフレでは牛肉の消費量は年々下がっており、直近も物価高と輸入牛肉においては円安の影響もあり、消費量は減少しており実質賃金が上がるまではしばらくその傾向は続くとも推察される。
一方、大手牛丼3社は外食の節約志向が高まる中でも、2023年8月期は、既存店の売上ですき家18.8%増、吉野家14.9%増、松屋14.4%増と好調だ。各チェーンは物価高による客単価アップだけでなく、客数も、すき家12.1%増、吉野家9.0%増、松屋10%増と客数も伸ばしている。各社は豚を使ったメニューなどを拡大していて牛を使ったメニューだけでは無いものの、内食は牛肉消費が不振、牛丼チェーンでは売上好調で牛肉消費売上は真逆の結果となっている。
牛丼の価格は、吉野家の並盛りではデフレピーク時の2001年には280円(税込)とデフレ象徴的な商品だったが、10月2日の価格改定では448円(税込)となっている。
当然高くなっているものの、デフレ時に培ったコストダウンの手法は今でも生きており、物価高騰の中でも非常に食べやすい価格となっている。まさに、牛丼チェーンの価格に対する効率化で安くする努力が、内食で牛肉離れをした層を取り込んでいるとも言える。2020年の国勢調査で単身世帯の割合が38%となる中、家庭での食材のロスも気にする事なく、牛肉を効率的なオペレーションで食べやすい価格で提供している牛丼チェーンは今後益々、顧客の支持が広がりそうだ。
今後、牛丼に限らずファストフード系の外食は同様の考え方で内食・中食との胃袋の争奪戦を勝ち抜く価格戦略が生き残りのポイントとなりそうだ。