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大谷翔平から奪った三振で、シーズン200奪三振の到達記録を塗り替える。それまで最速だった投手は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
スペンサー・ストライダー(アトランタ・ブレーブス)Aug 1, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月1日、1回表のマウンドに上がったスペンサー・ストライダー(アトランタ・ブレーブス)は、先頭打者のルイス・レンヒーフォ(ロサンゼルス・エンジェルス)を四球で歩かせた後、2番の大谷翔平を空振り三振に仕留め、シーズン200奪三振に到達した。

 この日は、22登板目。それまでの21登板で123.0イニングを投げ、199三振を奪っていたので、123.1イニングで200奪三振だ。

 少なくとも1900年以降、シーズン130イニング未満で200奪三振に達した投手はいなかった。これまでの最速(最少イニング)は、昨シーズンのストライダーによる130.0イニングだ。その前は、ランディ・ジョンソンが記録を保持していた。2001年に、130.2イニングで200奪三振に到達した。

 ストライダーは、8月1日に6.2イニングを投げ、大谷からの2奪三振を含め、9三振を奪った。ここまでのシーズン奪三振率は14.44、奪三振は208だ。

 奪三振率は、登板前からわずかに下がったものの、依然として歴代のシーズン最高を上回っている。それについては、こちらで書いた。

「この投手はシーズン奪三振率の歴代最高記録を更新する勢い。次の相手はエンジェルス」

 また、ここからの奪三振率もこれまでとほぼ同じ場合、あと57.1~57.2イニングで300奪三振に到達する。129.2+57.2=187.1イニングで300奪三振なら、こちらも新記録となる。イライアス・スポーツ・ビューローによると、最速(最少イニング)は、197.2イニングで到達した2001年のランディだという。

 ただ、1登板の平均イニングとレギュラーシーズンの残り試合からすると、順調にいっても、300奪三振に到達するのは、レギュラーシーズンの最後かその直前の登板になりそうだ。ポストシーズンもあるので、300奪三振を最優先とすることはないだろう。

 ちなみに、今世紀に入ってから、シーズン300奪三振以上は延べ8人が記録している。2001年に372奪三振のランディ、2002年に334奪三振のランディと316奪三振のカート・シリング、2015年に301奪三振のクレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)、2017年に308奪三振のクリス・セール(ボストン・レッドソックス)、2018年に300奪三振のマックス・シャーザー(当時ワシントン・ナショナルズ/現テキサス・レンジャーズ)、2019年に326奪三振のゲリット・コール(当時ヒューストン・アストロズ/現ニューヨーク・ヤンキース)と300奪三振のジャスティン・バーランダー(当時アストロズ/現アストロズ)がそうだ。

※今世紀のシーズン300奪三振以上のうち、セールを書き漏らしていたので、追記しています。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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