ハリケーン「ダグラス」がハワイ直撃のおそれ 観測史上3例目
「あらゆる海に停泊している、もっとも美しい島々―」。マーク・トウェインがこう称したように、ハワイは世界でもっとも広大な海に囲まれた楽園です。しかもハリケーンがほとんど襲来せず、平和な天気が続くのです。
ところが、そんなハワイにハリケーン「ダグラス(Douglas)」の危機が迫っています。
ハリケーン・ダグラスのいま
ダグラスは太平洋東部における今年1号のハリケーンです。今年は熱帯低気圧の発生が少なく、この時期にハリケーン1号が発生するというのは、観測史上4番目に遅い記録です。
日本時間25日(土)における、ダグラスの中心気圧は967hPaで、最大風速は51m/sです。
ハリケーンのカテゴリーは3番目に強い「3」に相当し、「メジャーハリケーン」の強さとなっています。なお台風であれば「強い台風」に相当します。
ダグラスの今後
国立ハリケーンセンターの予測によると、ダグラスは現地時間26日(日)にも、カテゴリー1のハリケーンの勢力で、ハワイ島やマウイ島などに上陸または最接近する可能性が出ています。現在、ハワイ東部の島々には「ハリケーン注意報」が発令され、注意が呼びかけられている状況です。
最接近時に予想される最大瞬間風速は41m/s、降水量は最大400ミリです。
ハワイに上陸したハリケーンの例
観測開始以来で、ハワイに上陸したハリケーンは、1959年の「ドット」と1992年の「イニキ」の2例しかありません。いずれもカウアイ島に上陸しています。
つまり、もしダグラスがハリケーンの勢力でハワイを直撃すれば、観測史上3つ目のハリケーンとなり、ハワイ島やマウイ島などに上陸すれば、観測史上初のこととなります。
ハワイにハリケーンが少ないわけ
なぜハワイにハリケーンが少ないのでしょうか。
まず、広大な太平洋にある小さな島なので、直撃する可能性が極めて低いことが挙げられます。
次に、ハワイ周辺の海水温が低いために、仮にハリケーンが接近しても、ハワイに到達する前に急速に弱まるためです。
ダグラスも例外ではありません。低い海水温などの影響を受け、現在のカテゴリー3の勢力からは弱まる見込みです。ただ今回は、ハワイ沖の海水温がやや高い状態となっているために、急激に衰えることなく、ハリケーンの勢力のままハワイに接近すると予想されています。
ハワイとハリケーン
これまで2回しかハリケーンの直撃にあったことのないハワイですが、今後その脅威は増えていくのでしょうか。
様々な説がありますが、海水温の上昇や上空の風の変化によって、ハワイにハリケーンが上陸しやすくなると考える研究者も多いようです。そのうえ、今世紀末までにハワイでは海水面が90センチも上昇するおそれも出ており、高潮や高波の被害が大きくなることも危惧されています。
*追記(7/27)*
幸いなことに、ダグラスの中心はハワイ諸島の北を通過し、目立った被害が出なかったもようです。ホノルルでも24時間降水量が0.7ミリ、最大瞬間風速が13m/sに留まりました。ただハリケーンに伴う南風に伴って気温が上昇し、ハワイ島のヒロでは7月の観測史上最高気温となる34℃を記録しています。