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倉科カナ 菊池風磨とのW主演ドラマ“よく食べ”が話題。「自分のまだ光が当たっていない部分を求めて」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/ソニー・ミュージックアーティスツ

「第29回読売演劇大賞」優秀女優賞受賞

女優・倉科カナ。2006年にデビューし、2009年NHK連続テレビ小説「ウェルかめ」(2009年) のヒロインに抜擢され、以降「刑事7人」「寂しい丘で狩りをする」「正直不動産」「婚姻届に判を捺しただけですが」「大奥」を始め、数々のドラマに出演。さらに舞台『こまつ座 雨』(2021年)『ガラスの動物園』(2021年)での演技で「第29回読売演劇大賞」優秀女優賞を受賞し、2022年には『お勢、断行』で初主演を務めるなど、舞台女優としても高い評価を得ている。

菊池風磨とW主演を務めるドラマ『隣の男はよく食べる』が話題

(C)『隣の男はよく食べる』製作委員会
(C)『隣の男はよく食べる』製作委員会

『隣の男はよく食べる』(第8話) (C)『隣の男はよく食べる』製作委員会
『隣の男はよく食べる』(第8話) (C)『隣の男はよく食べる』製作委員会

そんな倉科が、菊池風磨(Sexy Zone)とW主演を務めるドラマParavi『隣の男はよく食べる』(テレビ東京系/毎週水曜24時30分~)が話題だ。TVerでの見逃し配信数も第1話から第6話まで連続100万回再生を超え、総再生数も700万回を超えるなど(ビデオリサーチ調べ・5月28日現在)深夜帯のドラマとしては異例の盛り上がりをみせている“よく食べ”。

このドラマについて、そして「例えばパンクな女とか、ぶっ飛んだ役ももっとやってみたい」と語る倉科に、女優としての“これから”をインタビューした。

「今までラブコメはあまりやったことがなく、しかも等身大の役も珍しいので楽しんでやっています」

『隣の男はよく食べる』(第8話) (C)『隣の男はよく食べる』製作委員会
『隣の男はよく食べる』(第8話) (C)『隣の男はよく食べる』製作委員会

『隣の男はよく食べる』は、長年恋から遠ざかっていた独身オトナ女子(大河内麻紀/倉科カナ)の手料理をきっかけに始まる、肉食年下イケメン男子(本宮蒼太/菊池風磨)とのピュアで不器用なムズキュンラブストーリーで、特に女性ファンから高い支持を得ている。麻紀と倉科は同じ年。まさに等身大の役を演じることになって、逆に難しさはなかったのだろうか。

倉科 このお話を頂く前から原作漫画は知っていて、すごく面白くて「こういうのドラマ化できたらいいな」って思いながら読んでいました。でもまさか私にオファーしていただけるなんて思っていなかったので、すごくご縁を感じましたし、今までこういうラブコメはあまりやったことがなかったので「挑戦したい」という気持ちが強かったです。隣にたまたますごくイケメンの年下肉食男子が住んでいるなんて「そんなこと、ないだろう」って思いつつ(笑)、しかも手料理を持っていったら食べてくれることも「そんな、馬鹿な!」って思うけど、でもやっぱりマンガ独特の“劇的さ”みたいなものがすごく面白いし、みんなの“憧れ”を描いてくれていると思います。

主人公・麻紀とリンクスする部分

『隣の男はよく食べる』(第8話) (C)『隣の男はよく食べる』製作委員会
『隣の男はよく食べる』(第8話) (C)『隣の男はよく食べる』製作委員会

主人公・麻紀に自身を投影してみると――。

倉科 年齢的にも仕事に邁進するところも、考え方が真面目すぎ、慎重すぎて恋愛に不器用だったり、共通点は多いと思います。今回のチームはプロデューサーさんを始め、スタッフに女性が多いので、みなさんで“35歳あるある”や葛藤、悩みを語り合って、それを脚本に反映させてくださったので、すごくリアリティが増してスパイスにもなっていて。だから私はもちろん、多くの女性の方からの共感度が高いのではないでしょうか。等身大の役は本当に珍しいので、自分の持っているものを総動員して演じたつもりです(笑)。

演技と同時に、麻紀の“心の声”にリアリティさを強く感じ、ドラマをより深く、同時にコミカルなものにしている。

『隣の男はよく食べる』(第8話) (C)『隣の男はよく食べる』製作委員会
『隣の男はよく食べる』(第8話) (C)『隣の男はよく食べる』製作委員会

倉科 人間って考える生き物なので心が動いていても、理性、頭で止めてしまうことが多いと思います。だからこそ心の声としっかり対話して、一歩一歩進んでいくというのはすごく共感できるところです。年下の蒼太くんとの恋も、やっぱり心の駆け引きがあって、でもそれよりもセッションの方が大切だったと思ったので、台本に書かれていることだけど、アドリブっぽく感じるように演じていました。いかに菊池君がリラックスして楽しんでくれるかを考えて演じていました。蒼太君もずっと何を考えているかわからないようなクールな感じというか、でも麻紀との関係を築くに当たって、彼は彼なりに考えてお互いの歩みでお互いに向き合っていく過程が、やっていて楽しかったです。

「ときめきに年齢は関係なく、それよりは愛の大きさだろう!って思っているタイプです」

『隣の男はよく食べる』(第8話) (C)『隣の男はよく食べる』製作委員会
『隣の男はよく食べる』(第8話) (C)『隣の男はよく食べる』製作委員会

歳の差10歳の男女の恋の行方――このシチュエーションを倉科はどう感じているのだろうか。

倉科 私自身は恋愛においての年齢差は気にしないタイプというか、そういう固定概念みたいなものが好きではなくて。ときめきに年齢は関係なく、それよりは愛の大きさだろう!って思っているタイプです。

“主役”として感じた「スタッフみなさんのことを抱きしめている感覚」

倉科は以前何かのインタビューで「必ず主役じゃなくてもいいという考えが、いつもどこかにあった」と語っていたが、今回久々に主演、座長として撮影に臨んで、その気持ちは変化したのだろうか。

倉科 主演ということは、こだわっていくことではないかもしれないけれど、でも今回の撮影がすごく楽しくて。それは、スタッフの皆さんが、年齢やキャリア問わず、ワンシーン、ワンカットのために奮闘してる姿がすごくかっこよくて、「もの作りってすごく楽しいな」って改めて感じさせてくれた作品です。その真ん中に私がいて、麻紀のことを丁寧に、一生懸命撮ってくださる。それに応えたいという思いも強くなるので、スタッフみなさんのことを、抱きしめているような感覚が今回はすごくありました。チームのことを家族のように思えて、なんというか今後も主演で頑張ってこういうチームを作りたいという、言葉にできない思いは生まれてきました。

「もっとぶっ飛んだ役をやってみたい」

どんな役でもこなせる器用な役者――時に凛とした、時にキュート、時に幸薄い儚さを感じる女性等、倉科はどんな女性も演じることに“強さ”がある。しかし本人はそれを「メリットであり欠点でもあると思うので、でもメリットとして生かします」と語っている。これからどんな役を演じてみたいのか、そしてどんな役者を目指しているのだろうか。

倉科 今回のドラマもマンガが原作ですが、同じくマンガが原作のもっと濃いキャラクターをやってみたい。今までは女性ならではの人間の業の部分を炙り出すような、現実に向き合う役を演じることが多かったと思います。でも「いや、もっとできるんですけど」という思いが強くて、例えばSFとか妖怪とかパンクな女とか、ぶっ飛んだ役をやってみたいです(笑)。私の、今まで光が当たっていない部分に、光を当てて欲しいです。人間の役じゃなくてもいいので(笑)。

「私にとって舞台はアウトプットの場所であり、インプットの場所」

『お勢、断行』(2022年) 写真提供/ソニー・ミュージックアーティスツ
『お勢、断行』(2022年) 写真提供/ソニー・ミュージックアーティスツ

昨年「第29回読売演劇大賞」優秀女優賞を受賞するなど、舞台にも積極的に出演し、舞台女優としても高い評価を得ている。

倉科 舞台って普遍的なメッセージを伝えるものが多いので、それを演じて伝える意義のようなものを感じています。それと、ドラマとか映画は“瞬発力”がすごく必要ですが、私はそんなに引き出しを持っていないので…。舞台は稽古を重ねて作っていくものなので、その過程で様々なアプローチができたり、稽古の段階でそれこそ演出家の方が私のまだ当たっていないところに光を当ててくださって、色々な引き出しを開けているのかもしれません。舞台は私にとってはアウトプットの場所ですが、インプットの場所でもあって。だから自信はそこまでないけど、自信を持ってドラマや映画にも還元できるというか、循環できているのかもしれません。

「この仕事のメリットは、役を通して色々な人の人生を歩むことができること。それを楽しみたい」

『隣の男はよく食べる』(第9話) (C)『隣の男はよく食べる』製作委員会
『隣の男はよく食べる』(第9話) (C)『隣の男はよく食べる』製作委員会

『隣の男はよく食べる』(第9話) (C)『隣の男はよく食べる』製作委員会
『隣の男はよく食べる』(第9話) (C)『隣の男はよく食べる』製作委員会

ドラマだけではなく、舞台、映画に出演しキャリアを重ね、経験が自信につながってきたことも、彼女をさらに“強く”したのかもしれない。

倉科 それもあると思います。やっぱりこのお仕事のメリットって、人間以外のものになれたり、時代も性別も超えて、役を通して色々な人の人生を歩むことができることです。だからそれを存分に味わいたいと思っています。もちろんこのお仕事は苦しいことがたくさんありますが、その中にあるこの少しの楽しみをもっともっと広げたいです。

『隣の男はよく食べる』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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