梅雨前線、早まる北上 5月は雨多く
今年の梅雨はどうなる? 5日は沖縄・奄美で平年より早い梅雨入りとなった。梅雨前線の北上は早まる見通しで、今月は雨量が多くなりそうだ。また、アジアモンスーンも活発で、日本は猛暑となる可能性もある。
本州の梅雨入りは平年で6月上旬
5月5日、全国のトップを切って沖縄と奄美地方が梅雨入りしました。平年と比べて5日から7日早い梅雨入りです。さくら前線がようやく北海道にたどり着いたと思ったら、もう沖縄では雨の季節のはじまり。日本列島が南北に長いことを感じます。
今年は10年ぶりに平年値がリニューアルされ、梅雨入りの平年日も新しくなりました。それによると、九州南部(鹿児島)の梅雨入りは5月30日頃、近畿地方(大阪)は6月6日頃、関東甲信地方(東京)は6月7日頃となっています。
今年の梅雨はどうなるのでしょう?
最新の1か月予報によると、梅雨前線の北上が例年より早くなる可能性があり、今月は九州から関東地方にかけての地域で雨量が多くなる見通しです。
こちらはこの先1か月間の平均的な天気図を予想したものです。北にオホーツク海高気圧、南に太平洋高気圧、その間に梅雨前線が横たわっています。
西・東日本で走り梅雨が顕著な一方で、沖縄・奄美は晴れて、空梅雨となる可能性が高いです。今年は季節の進みが早いと感じることが多いですが、5月のすがすがしい晴れを通り越して、本格的な雨の季節が早く訪れそうな気配です。
アジアモンスーンも活発に
もうひとつ、日本の梅雨に関係する現象がアジアモンスーンです。世界気象機関(WMO)の専門部会「南アジア気候予測フォーラム(SASCOF)」は先月27日、今年のアジアモンスーン降水予測を発表しました。それによると、今年の降水量(6月から9月)は平年と比べ多くなる可能性が高いとしています。
日本の梅雨はベンガル湾から流れ込む非常に湿った空気が出発点で、アジアモンスーンの一角を占めています。さらに、アジアモンスーンの活動が活発になると、亜熱帯ジェット気流が平年よりも北を流れるようになり、日本付近で高気圧が強く、北日本を中心に気温が高くなるなどの影響があります。今後は梅雨の雨だけでなく、暑さにも注目です。
インドの歴史とともに
モンスーン(monsoon)は季節風を意味し、英語に登場したのは16世紀後半とされています。季節によって風向が変わるのは世界各地でみられますが、アジアモンスーンは世界最大規模で、その中心地がインド亜大陸です。
インドとモンスーンは切っても切れない関係で、インドの文化や経済を形作っているといえるでしょう。水の大陸アジア(イェール大学教授スニール・アムリス著)を読むとイギリスを絡めた歴史的な深さがわかります。世界の人口の半分を占める南アジア地域の風土に思いをはせました。
【参考資料】
気象庁:向こう1か月の天候の見通し(5月8日~6月7日)、2021年5月6日
世界気象機関(WMO):Normal to above normal rainfall forecast for southwest monsoon season、Published 28 April 2021
スニール・アムリス(Sunil Amrich)、2021:水の大陸アジア ヒマラヤ水系・大河・海洋・モンスーンとアジアの近現代、草思社