鯨のシッポで猛暑来る
関東甲信、東北で梅雨が明けた。天気図は猛暑型の鯨のシッポ。オリンピック開幕に向けて、全国的に猛暑となる見込みだ。気温が40度を超える日は7月下旬から8月中旬が最も多くなる。
時計回りで梅雨明けに
気象庁は16日(金)午前、関東甲信地方と東北地方の梅雨明けを発表しました。いずれの地域も平年より早い梅雨明けで、とくに東北北部(青森県、秋田県、岩手県)は平年より12日早くなりました。
今週は11日(日)の九州南部を皮切りに、13日(火)は九州北部と中国、14日(水)は北陸、そしてきょう(16日)と梅雨明け前線は時計回りに日本列島を北上しました。
残るは四国、近畿、東海地方です。そういえば、梅雨入りは東海地方が早く、梅雨明けは関東甲信地方が早かった。東京と名古屋は300キロ程度の仲ですが、季節の進み方に違いがあるのがおもしろい。
鯨のシッポで猛暑来る
いつ、だれが言い出したのかわからないけれど、夏の特徴的な天気図に「鯨の尾型」があります。日本列島に張り出した高気圧の形が鯨のシッポに似ていることから名付けられた天気図のニックネームで、これが現われると一段と暑さが厳しくなります。
こちらはきょう(16日)午前9時の地上天気図です。絵が下手なので、鯨のシッポらしく見えないけれど、低気圧による高気圧の「くびれ」がアクセントになって、鯨の尾型になっています。
おもしろいことに、いつもより鯨のシッポが北に偏っています。北に偏るとどうなるのか、それは暑くなる場所も北に動くということです。シッポの部分は高気圧が一番強いところだからです。
このあとオリンピックが開幕する頃にかけて、北・東日本は猛烈に暑くなるでしょう。福島県や埼玉県熊谷市などでは40度近い酷暑となるおそれもあります。
猛暑の記録はここにも
気温40度といえば、最近は珍しくなくなってしまいましたが、例年では7月下旬から8月中旬が最も多くなります。
気象庁による暑さの日本記録は2018年7月23日埼玉県熊谷市と2020年8月17日静岡県浜松市の41.1度です。通常、暑さの記録といえばこれを示します。しかし、これを上回る記録が残されています。
それは1923年(大正12年)8月6日、徳島県の撫養(むや、現在の鳴門市)で観測された42.5度です(宮沢清治、小山博:1996年版気象年鑑)。
なぜ、この場所に観測所があったのか、定かではありませんが、撫養は四国の玄関口として、海運業で栄えました。港や船舶を悪天候から守るために気象観測が行われていたのかもしれません。
【参考資料】
永沢義嗣、1995:第9章鯨のシッポの正体、天気図の散歩道、日本気象協会、25-27
宮沢清治、小山博、1996:日本のおもな気象要素別ランキング20、1996年版気象年鑑、大蔵省印刷局