【府中市】愛された名店「大定 とんちゃん焼とおでんの店」は2025年1月31日、歴史に幕を閉じます
府中駅からすぐにある国際通り。この通りは拡張工事が始まることで街並みが変わろうとしています。そんな中、惜しまれつつ閉店を迎えるのが「大定」さん。居酒屋ファンに人気のテレビ番組でも紹介されたことのある、とんちゃん焼きとおでんで知られたこのお店は、地元で47年間愛され続けた名店です。閉店を知ったのは2024年10月のこと。SNSで流れてきたその知らせに、「行きたい!」と思いつつも、お店はいつも満席で入れずじまい。しかし12月中旬、偶然入店することができました。
●何を頼んでもハズレなし。美味い肴に美味い酒
カウンター席はすでに満員、テーブル席も予約で埋まっている中、活気のある店内でお店の雰囲気や料理を楽しむことができました。料理の味はもちろん絶品。
この日は、お味噌でいただくにんにくの丸揚げや天然ぶり、春菊の和え物や青唐みそを注文。どれも素材の味を活かした丁寧な料理ばかりで、思わず箸が進みました。
ワサビ醤油で頂くアボカドを注文したときには、「今日はアボカドデーだねぇ」と女将さんがつぶやきながら笑いました。同じアテを集中して頼んでしまうのはカウンターあるあるですよね。
さらに飲み物も豊富。府中の地酒「國府鶴」やワイン、ビールなど誰でも何かしらは頼める幹事としてもありがたいラインナップ。中でも印象的だったのが「お一人様3杯まで」と記された名物「梅割り」は甲類焼酎を梅エキスで割ったもの。もっきりで提供される梅割りは驚くほど飲みやすく、3杯でも十分効きそうな恐ろしいおいしさでした。
スタッフの方々の接客も素晴らしく、忙しい中でも料理や飲み物の提供はスムーズ。焼肉の焼き具合や注文する量のアドバイスまで、細やかな気配りが光ります。お客さんを大切にする温かい接客のおかげで、美味しい料理とお酒を心から楽しむことができ、帰るときにはすがすがしく、元気になりました。
●女将さんも常連さんも明るくあたたかい店内の雰囲気
店内の雰囲気は温かく、女将のかずさんが楽しそうにお店に立っている姿が印象的です。常連さんたちは、女将さんとのおしゃべりを楽しみながら食事をしており、私も大定さんの歴史やエピソードを伺うことができました。
例えば、まかない料理だったメニューが常連さんのリクエストでどんどん一品料理に昇格したこと、系列店のリニューアルでお客さんが増えすぎてしまい、常連さんたちが大定さんでゆっくり腰を落ち着けるようになったことなど、47年の歴史はどれも楽しいお話ばかりでした。常連さん同士でも話が盛り上がり、それを聞きながらお酒を頂く時間は至福でした。
●2025年1月31日(金)、惜しまれつつも47年の歴史に幕を閉じます
大定さんの閉店は、実は以前から決まっていた道路拡張工事が影響しています。この計画は昔からあったもので、今こうして楽しめていること自体が偶然の幸運だと女将さんや常連さんは話してくれました。それでも閉店間近という寂しさを感じさせないのが大定さんのすごいところ。常連さんたちが今後の計画を楽しそうに話している雰囲気や、女将さんの前向きな姿勢が素敵でした。
女将さん、スタッフの皆さん、ぜひ最後まで体調に気を付けて営業してください。素敵な時間をありがとうございました。大定さんは平日であればまだ楽しめる日も残っているとのこと。気になった方はお早めにお問い合わせください。変わりゆく府中で、長く愛され続けた名店の最後の日々を体験してみてはいかがでしょうか。
●大定 とんちゃん焼とおでんの店: 東京都府中市宮西町1丁目12−1