私公差は小学校で5倍近く…年間学習費はどれぐらい?
公立と私立ではピーク時が異なる学習費
子供の学習にかかる費用は授業料だけでは無い。制服や各種文房具、給食費、遠足代、さらには学習塾などの習い事の代金、図書費など、多種多様に及ぶ。それらを合わせた子供の学習費について、文部科学省では2年おきに調査「子供の学習費調査」を行い、その実態を確認している。
それによると「学習費総額」(「学校教育費(授業料やPTA会費、制服、遠足代など)」「学校給食費」「学校外活動費(家庭内学習費や各種塾月謝、図書費など)」で構成)は直近の2012年度においては、年間で幼稚園が公立23.0万円・私立が48.7万円(年次、以下同)。小学校が公立30.6万円・私立142.5万円という結果が出た。いずれも私立の方が高額である。
公立と比べて私立に通う子供の学習費がかかるのは、あらゆる面で経費がかさむため。特に授業料の差が著しい。また公立では中学校が一番学習費総額が高いが、私立ではむしろ小学校の方が高くつく。これは「学校外活動費」によるところが大きい。
相対比率を換算すると、幼稚園・中学校・高等学校では公立と私立の差異が2倍台に留まっているが、小学校では5倍近くの差が開いている。これは「学校教育費」に加え、「学校外活動費」の差も大きい結果による。
今件データに限れば、小学校での学校教育費(授業料など)は公立と私立で15倍近くもの差が生じている。
またこれらの値はあくまでも「年額」。例えば小学校課程は6年のため、小学校を卒業するまでには(単純計算で)この6倍がかかる。私立ならば850万円強。
私立は小学1年生が一番
高校生までの「学習費総額」をもう少し詳しく、学年単位で仕切り直したのが次のグラフ。それぞれの学年における実状が浮かび上がる結果が出ている。
学校種類区切りだけでなく、学年区切りでも、すべての学年において私立は公立よりはるかに総額が高い。また、幼稚園はともかくとして、公立は中学校、私立は小学校の方が(他の学校種類よりも)多くの学習費がかかる結果が出ている。単純に子供の歳と共に単純に増額されていくわけではない。これは両者とも主に「学校外活動費」が膨らむのが原因。
さらに「私立では多分に、公立でも少なからぬ額で、各学校種類の1年目(小学1年、中学1年、高校1年)が高め」「小学5・6年と中学3年が高め」の傾向を示しているのが分かる。前者は「入学金」や「寄付金」、その他学校に通うために調達された各種備品(例えば制服や学校指定の運動着)の出費によるもので、後者は受験勉強に伴う「学校外活動費」としての出費増加を起因とするところが大きい。
特に後者の「受験勉強に伴う『学校外活動費』」では、学習塾などの勉学に回される「補助学習費」において、公立学校が私立学校よりも高い値を示す傾向すら確認されている(中学2、3年生)。公立学校の授業ではカバーしきれない部分を学習塾や家庭教師で補完しようとの動きが、学費の面で現れている。
今件各値はあくまでも調査母体の平均値でしか無い。しかし子供達の教育事情を知る上で、さらに将来設計や家計のお金勘定をする際にも、十分以上に役立つ値に違いない。
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