Yahoo!ニュース

【神戸市中央区】北野異人館街で静かに時を刻む、魅惑の昆虫標本専門店「六甲昆虫館」

くりあんぱん神戸の日常系webライター(神戸市)
『集める標本から魅せる標本へ』 六甲昆虫館 Antico Naturale

北野異人館街にある昆虫標本専門店「六甲昆虫館 Antico Naturale」をご紹介します。お洒落な洋館やお店が立ち並ぶ神戸随一の観光地に、まさかの「昆虫標本専門店」が存在します。まるで宝石店や画廊のような、高級感と芸術性に満ちたお店…西日本唯一の、恍惚と魅惑の空間をご覧ください!

Instagram 六甲昆虫館 Antico Naturale 【神戸・北野】
Facebook 六甲昆虫館 Antico Naturale

※お店の特性上、本記事には昆虫標本の写真を多数掲載しています。昆虫や針状のものが苦手な方はどうぞご注意下さい。尚、「比較的苦手感なく閲覧できそうな写真」から次第に「苦手感を覚える方が多いと思われる写真」に移る構成にしています。具体的な構成を下に記しますのでご参照下さい。

  1. 「六甲昆虫館」外観
  2. 壁一面に飾られた蝶の標本
  3. 美しく額装された標本(3画像)
  4. グッズ販売(ブローチ、ノート)
  5. 一番人気、青く輝くモルフォ蝶
  6. 蝶の標本が入った引出し(2画像)
  7. 蝶と蛾。見分けはつきますか?
  8. 色とりどりの甲虫(コガネムシの仲間)の額装
  9. まばゆく光る海外の甲虫たち ※これ以降「昆虫の脚」が目立つようになります
  10. 紅葉の様な美しさ、ビワハゴロモ
  11. バイオリンムシ、驚愕の大型ハナムグリ、マイマイカブリ
  12. オオスズメバチ、人面カメムシ ※多量の針が出てきます
  13. 作成中の標本(3画像) ※多量の針が出てきます
  14. 一面、蛾のショーケース(2画像)
  15. 目玉模様が強烈な大型蝶
  16. 「羊たちの沈黙」でお馴染みの蛾、メンガタスズメ(2画像)
  17. 世界最大級の蛾、ヨナグニサン(2画像)

ハンター坂と山本通りの交差点、南東側にあります。

本写真は六甲昆虫館からご提供頂きました。
本写真は六甲昆虫館からご提供頂きました。

アンティークショップのような、工房のような、独特の居心地良さをたたえた店内。引き込まれてしまうような鮮やかな色彩と輝きです! 「昆虫標本店」と聞くと専門的な方、ディープな愛好家だけが利用されるお店だと思っていましたが、オーナーに伺った所、実際にはお客様の6~7割は女性なのだそう。他にも小学生のお子様や芸術関係の方など、幅広い層がいらっしゃるお店です。
店内は不思議な香りに包まれています。香りの源は「標本に使う薬剤の香り」との事。「おばあちゃんのタンスのにおい」と同じなのだそうですが、お客様が快適に過ごす事ができる様配慮されており「タンスのにおい」よりも柔らかく優しい香りに感じます。

本写真は六甲昆虫館からご提供頂きました。
本写真は六甲昆虫館からご提供頂きました。

本写真は六甲昆虫館からご提供頂きました。
本写真は六甲昆虫館からご提供頂きました。

「集める標本から魅せる標本へ」をテーマに掲げておられるお店で、単なる「昆虫標本を売るお店」ではなく、額装やレイアウトに芸術性があり、より美しく、より魅力が引き立つように仕立てられています。「好みの昆虫標本と標本箱を選び、完成した額装品を購入」「自分で採集・飼育した昆虫を持ち込んで標本作成・額装を依頼」「お手持ちの標本箱に入れる為の中身(昆虫標本)のみ購入」等、様々な形で標本の入手が可能です。昆虫標本の価格帯は数千円のものが多く、高価なものでも1万円を超えるものは少ないです。「お客様がお求めやすい価格帯で、昆虫の美しさ・興味深さを感じて頂けるようなものを意識して取り揃えています」との事。標本箱は全て、昆虫の魅力を引き立てるよう意匠を凝らしてオーナーが手作りされたオリジナルデザインです。4千円くらいから製作されており、背景が革張り等、このお店だけの高級感ある標本箱となっています。SNSでは更にたくさんの美しい標本写真を見ることができますので、興味を持たれた方はぜひアクセスされてみてください!

Instagram 六甲昆虫館 Antico Naturale 【神戸・北野】
Facebook 六甲昆虫館 Antico Naturale

ブローチやノート等グッズ販売もあります。

アイキャッチにも使用している、本写真は六甲昆虫館からご提供頂きました。
アイキャッチにも使用している、本写真は六甲昆虫館からご提供頂きました。

青く輝くモルフォ蝶。CMやブランドイメージで使用される事も多いこの種が一番人気です。
翅(はね)の輝きは「構造色」という現象が由来なのですが、この標本から「構造色で光るものは、覗き込んでも、鏡やガラスと異なり自分の顔が映り込まない」という発見を得ることができました! この発見ができたのは、間近に標本を見せて頂ける「六甲昆虫館」だからこそ。

引出し一面に標本が収納されています。

左下、白い斑点のある紫色の蝶は、日本の国蝶オオムラサキ。右上、黄色と黒の縞模様の蝶は、オオムラサキと国蝶の座を最後まで争った日本固有種ギフチョウ。左上、白地に黒と褐色の筋がある蝶は、人気漫画キャラクターの羽織のモチーフになったと言われるアサギマダラです。

この写真、「『この中に1種類だけ蛾がいます。どれでしょう?』とクイズ形式で掲載してみましょうか?」とオーナーに提案したら、『蛾は3種類いますよ』とまさかの答えが返ってきました…!

オオセンチコガネの額装。日本で普通に見つけることができる昆虫で、全色同一種です!

海外の甲虫は更にまばゆい種がたくさん。

紅葉のように美しい、ビワハゴロモです。個人的には六甲昆虫館を訪れるまで縁の無かった種で、とても印象的でした。左下の小さな昆虫はツノゼミ。1cmにも満たないこんなに小さな昆虫も標本にできるのですね…オーナーの技術の高さが伺えます。

左:「このバイオリンみたいな形の昆虫は何て名前ですか?」『バイオリンムシです』「えー!そのまんまですね!」『大抵の和名はそのまんまですよ』という面白い会話のきっかけになった標本です。
中:世界最大のハナムグリの仲間です。海外の昆虫は、日本の種と比較にならないほど大きい! そのあまりの大きさの為、何の種類の昆虫なのかオーナーに伺うまで分かりませんでした。ハナムグリはその名の通り花に潜り込んで花粉を食べる昆虫ですが、こんなに大きなハナムグリが潜るサイズの花が海外には咲いているのか…質問すると『日本のハナムグリがたまたま花粉を食べるからハナムグリと名付けられただけです。この種は樹液を食べますよ。肉食性の強い雑食性のため、飼育下ではドッグフードを食べたという話も聞きます』との事。
右:上記の話から「もしかしたらマイマイカブリも、たまたま日本の種がカタツムリを食べるからその名前になっただけで、海外のマイマイカブリはカタツムリ以外のものを食べるんですか?」と話を展開させると『マイマイカブリは日本にしかいないんですよ。海外の方にとっては珍しい昆虫です』との事で、目から鱗の連続!

左:オオスズメバチ。危険な昆虫も、標本なら間近で観察することができますね。
右:人面カメムシ。海外の昆虫が、日本の「力士」そっくりの見た目をしているなんて本当に面白いですよね。

本写真は六甲昆虫館からご提供頂きました。
本写真は六甲昆虫館からご提供頂きました。

本写真は六甲昆虫館からご提供頂きました。
本写真は六甲昆虫館からご提供頂きました。

作成途中の標本。美しく成型するには、緻密で繊細な作業が要求されます。


オーナーは若い男性の方で、幼少の頃から頻繁に訪れていたこのお店を継がれた二代目。標本作成技術の高さや昆虫の知識の豊富さだけでなく、お客様が楽しく昆虫の知識を得ることができる様、時折ウィットを効かせながら丁寧な説明をして下さる、親切で懐の大きな方です。
細長い体をしたナナフシの標本は、あの細い腹部に「縦にメスを入れて作る」こと、標本用のモルフォ蝶は多くが養殖されていること、昆虫は乱獲が原因で絶滅することはまずなく、要因は環境破壊であること等…書ききれない程多くの事を教えて下さいました。『当店が昆虫標本の魅力を知るきっかけになれば』と、少しはにかんだ様子で思いを語られていました。


自然豊かな六甲山系が市街地に迫る神戸では、少し緑の中に入れば様々な昆虫と出会うことができます。生物と芸術作品の美を兼ね備えた昆虫標本の魅力を存分に感じ取ることができ、とめどなく新たな発見と疑問が湧いて知的好奇心が掻き立てられる。そんな「六甲昆虫館」で、豊かな時間を過ごしてみませんか? これまで昆虫にあまり興味がなかった方も「運命の1匹」との出会いがあるかもしれませんよ。


それでは…最後に、最大級に刺激的なビジュアルの写真を列挙して本記事の結びとさせて頂きます。

いかにも蛾らしい種が並んだショーケース。

これも全部蛾。蛾は蝶よりはるかに多くの種類があり、愛好家には人気のジャンルです。

フクロウチョウの仲間。名前の通り、フクロウのような目玉模様が特徴です。表と裏で全く色柄が異なる点も含め、典型的な「ゾワッとくる見た目」の種。写真を見た家族全員が絶叫していました。

「羊たちの沈黙」のメインビジュアルで有名なメンガタスズメの仲間。色合い、模様、触覚、お腹、背中の人面模様、どれもゾワッときます。ちなみに、捕まえるとギーギー鳴くそうです…。

黒くて丸い大きな目。案外可愛らしい顔つきです。

世界最大級の蛾ヨナグニサンの仲間。国内のヨナグニサンは沖縄県指定天然記念物で絶滅危惧種の為、画像は東南アジア産の標本です。

よく見ると、翅中央の雫型模様の部分は透明になっています。翅の色合い、腹部の模様、胸部の毛深さ…パッと見、禍々しく見えるかもしれませんが、じっくり見ると、とても美しい昆虫です。『蝶(=ヨナグニサン)よ蝶、恋しい人にこの想いを届けておくれ』と歌った、昔の与那国島の人々の気持ちが少し分かった気がします。


どれも凄い存在感でした…。

【六甲昆虫館 Antico Naturale】
●〒650-0003 兵庫県神戸市中央区山本通2丁目13−13 神戸クラフトハウス1F
●営業時間 11:30 – 19:00
●定休日 毎週火曜 その他不定休
※出張等で不在の場合あり。公式SNS等よりご確認ください
●TEL 078-222-2529
●Instagram 六甲昆虫館 Antico Naturale 【神戸・北野】
●Facebook 六甲昆虫館 Antico Naturale
●Mail info@rokko-insectarium.com

神戸の日常系webライター(神戸市)

神戸でささやかに暮らしている一市民。大好きな町神戸の魅力を、心地よい日常から拾い上げて大切にお届けしていきます。記事を通して皆様と「わくわく」「ほっこり」な気持ちを分かち合えたら嬉しいです。よろしくお願いします!

くりあんぱんの最近の記事