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青山敏弘と浅野拓磨。ロシアW杯に向け、日本代表でも”縦のホットライン”は開通するか。

河治良幸スポーツジャーナリスト
広島がJ1の年間優勝を果たした15年は青山がMVP、浅野が新人賞を獲得。(写真:アフロスポーツ)

ロシアW杯を目前にひかえた日本代表は30日のガーナ戦に向け、国内合宿をスタート。21日の練習には海外でいち早くシーズンを終えた10人の選手が参加した。

31日に最終メンバーが発表されるが、基本的には今回参加している27人が選考対象となる。その中で、怪我やチーム事情で実戦から離れていた選手が複数入っていることは不安要素にもあげられるが、シーズン後半にシュトゥットガルトで全く出番を得られなかった浅野拓磨は「自分のプレーを出す自信はありますし、ゴールという結果を残せる自信もある」と語る。

「向う(ドイツ)の選手は練習後に残ってやる選手はなかなかいないですけど、僕はいつもシュート練習にプラスアルファ、コンディションを落とさないために走り込みとかはしていました。でも試合で補えるものはなかなか付けられないので、試合に出ている選手と比べたらコンディション的になかなか難しいところもあると思いますけど、それを少しでも差を埋めるためにそういった取り組みをやっていました」

苦しい立場であることは自覚している。ガーナ戦でチャンスをもらい、そこで結果を出して23人に選ばれるには、まずは合宿の練習でアピールするしかない。いざ試合に出る時の心構えについては「もし久しぶりに試合をすることがあっても冷静に、まず自分が何できるかを考えて、プレーに入りたい」と語る。やはり何よりも意識するのはゴールだ。

「ゴール前の強みはしっかり自信を持って試合に入ることができたら結果を残せる自信はあるので、その自信と冷静さを両方持ちながら入りたい」

そう語る浅野にとって心強い存在が加わった。サフフレッチェ広島で同僚だった青山敏弘が3年2ヶ月ぶりに代表復帰したのだ。15年3月のウズベキスタン戦を最後に事実上の代表引退を一度は決意した青山と7月の東アジアカップ(現・E-1選手権)で代表に初選出された浅野は今回が代表では初顔合わせとなる。

だが、13年から16年夏までプレーしたサンフレッチェ広島では青山の縦パスに快足の浅野が飛び出すという”縦のホットライン”が再び開通するのにそれほど時間は要さないはずだ。「僕のプレースタイルはよく知ってくれていると思いますし、僕もアオくんに対する信頼は厚いものがあるので、一緒にプレーできたら2人で結果を残せる」と浅野は自信をのぞかせる。

「自分の強みとアオくんの強みを足した時には一発で相手の背後を突けるのは2人で出せる一番の武器だと思っているので、そこは自分も常にイメージを働かせながら、アンテナを張りながらやっていればボールは出てくると思うので、イメージは持っておきたい」

西野監督が就任会見で語っていた「化学反応」という言葉は抽象的ではあるが、選手の組み合わせを探ることで生み出せる相乗効果の期待であるならば、限られた準備期間の中で、明らかに相性がいいユニットを取り込むことは有効だ。その意味で浅野にとっては青山の存在が代表生き残りへの大きな助けになるかもしれない。ガーナ戦でサンフレッチェのホットラインが再び開通するか、1つの注目ポイントだ。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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