リアルタイムでの番組は79.1%…「テレビを見る時間」として思い浮かぶのは?
「テレビを見る」との表現に対し、人々はどのような認識をしているのだろうか。言い変えれば、人々はどのような行為を「テレビを見る」と判断しているのか。博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が2024年6月に発表した「メディア定点調査2024」(※)の公開値から確認する。
次に示すのは「テレビを見る時間」として思い浮かぶものについて、複数回答で尋ねた結果。例えば79.1%は「テレビを見る時間と聞かれたら、リアルタイムで番組を見ることを思い浮かぶ」と答えていることになる。
もっとも多くの人が思い浮かんだのは「リアルタイムで番組」79.1%、次いで「録画で番組」の63.5%。録画した番組を見ることを「テレビを見る」として認識している人が6割以上もいる、言い換えればそれだけ一般化していることがうかがえる結果である。
次いで「見逃し視聴で番組」33.5%が来て、さらに「無料動画」32.8%、「有料動画」31.0%が続く。有料だけでなく無料でも、動画を見ることを「テレビを見る」と考えていることに驚きを覚える人も少なくないだろう。あるいはテレビ本体で動画再生をする機会が増えているのだろうか。
そして「テレビは見ない」とする人は4.4%。今調査別項目で同じように問われている新聞に関する話で出てきた、新聞は読まない人の割合、54.7%と比べればはるかに少ない値に違いない。
これを属性別に見たのが次のグラフ。
「リアルタイムで番組」はどの属性も高い。他方、「録画で番組」は15~19歳で「リアルタイムで番組」とさほど変わりない値を示す。この年齢階層にとっては、リアルタイムと録画で番組を見るのはほとんど等価となっているのだろう。他方、「見逃し視聴で番組」は利用ハードルが多少高いせいか、60代で他属性と比べていくぶん低い値を示している。
男女別では、上位陣の選択肢は押しなべて女性の方が高い値を示す。意外なのは「無料動画」「有料動画」のような動画関連においても、女性の方が高い値を見せていることだ。「ネットテレビ」は男性の方が高いのも、意外さを覚える。
他方、「テレビは見ない」だが、年齢階層別では15~19歳でもっとも多く5.7%、男女別では男性が6.0%と女性より大きい。男性若年層がテレビを忌避しているのでは、との推測が成り立つ。
最後に経年推移。一部の項目について、データが確認できる2020年以降に関して。
「リアルタイムで番組」「録画で番組」は高い値を維持しているが、それでも漸減。新しい手段としての「見逃し視聴で番組」は漸増し、「リアルタイムで番組」「録画で番組」の減少分を補うほどの増加となっている。他方、「有料動画」「無料動画」もまた漸増状態にある。「テレビは見ない」はわずかだが、こちらも漸増。
今件調査の限りでは、テレビ離れの類は、「リアルタイムで番組」「録画で番組」という従来のテレビを見るスタイルから離れた人が、「見逃し視聴で番組」のような便利な見方をするようになったり、「有料動画」「無料動画」のような新しい切り口でのテレビ(のようなもの)を見るようになった、と解釈することができよう。
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※メディア定点調査2024
調査方法は郵送調査方式。調査期間は2024年1月26日から2月9日。東京都を対象にRDD(Random Digit Dialing)方式で選ばれた15歳から69歳の男女個人に対し調査票が送付され、643通が回収された。各値は2023年の住民基本台帳を基に年齢階層・男女でのウェイトバックが実施されている。
過去の調査では利用機器に2014年からタブレット型端末が追加されている。2013年までは(ノート)パソコンと同一視され回答にくわえられていた可能性もあるが、2014年以降は機器として独立項目が設けられたため、以前と比べてメディア接触時間の合計が上乗せされている可能性が高い(メディア接触時間が有意で増加している)。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。