なぜバルサは”大型補強”を敢行したのか...レヴァンドフスキに対する高い期待と7人のアタッカー。
チームに、少しずつ変化が訪れている。
この夏、積極的に補強を行っているのがバルセロナだ。ロベルト・レヴァンドフスキ、フランク・ケシエ、アンドレアス・クリステンセン、パブロ・トーレ、ラフィーニャ、ジュール・クンデと6選手を獲得。2022−23シーズンに向けて、陣容を整えた。
バルセロナは1億5800万ユーロ(約221億円)を補強に投じている。バイエルン・ミュンヘン(1億3700万ユーロ/約191億円)、アーセナル(1億3200万ユーロ/約184億円)、マンチェスター・シティ(1億875万ユーロ/約152億円)、リーズ(1億840万ユーロ/約151億円)といったクラブを抑え、欧州5大リーグでチェルシー(1億8600万ユーロ/約260億円)に次いで2番目の補強費だ。
■ストライカーの加入
バルセロナは複数選手を確保した。なかでも、期待されているのがレヴァンドフスキである。
彼の獲得に際しては、シャビ・エルナンデス監督が直々に電話をかけ、口説いた。
「数分間話して、自分が何を求められているかを理解した。戦術や、システム。何を望んで、どのようにしていくかが分かっている人だと思った」とはレヴァンドフスキの弁だ。
また、レヴァンドフスキの移籍に、暗躍した人物がいる。ピニ・ザハビ代理人だ。
「ピニとはプロとしてだけではなく、個人的に親しくしている」とジョアン・ラポルタ会長が語るように、両者は良好な関係を築いてきた。2003―04シーズン、第一次ラポルタ政権で、バルセロナが最初に獲得したのはGKリュシュトゥ・レチベルだった。その代理人を務めていたのがピニ・ザハビ氏である。
一方、レヴァンドフスキはバイエルンでプレーを続行するか悩んでいた。2023年夏まで契約を残していたが、バイエルンでは基本的に30歳以上の選手とは単年契約で契約延長が行われる。
そのような折に、ラポルタ会長からザハビ代理人に「移籍の可能性はあるのか」と問い合わせがあり、その後、シャビ監督からレヴァンドフスキへの“直電”があった。そして、心は一気に傾いた。
■7人のアタッカー
シャビ監督はレヴァンドフスキを中心にチーム作りを進めるだろう。レヴァンドフスキはバイエルンで375試合に出場し、344得点72アシストを記録した選手だ。
だが前線には多くのアタッカーが控えている。アンス・ファティ、フェラン・トーレス、ラフィーニャ、ウスマン・デンベレ、メンフィス・デパイ、ピエール・エメリク・オーバメヤンらがポジション争いに挑んでいる。
ファティはリオネル・メッシから10番を引き継いだ。フェラン(移籍金5500万ユーロ)、ラフィーニャ(移籍金5800万ユーロ)は高額な移籍金で加入した。デンベレはシャビ監督をして「ウィングのポジションで世界最高になれる」プレーヤーで、メンフィス(昨季12得点)とオーバメヤン(11得点)は昨シーズンのチーム内得点ランクで1位と2位の選手である。
これまで以上に、シャビ監督の選手マネジメントが重要になる。プレータイムはさることながら、モチベーションをうまくコントロールして、彼らがスイッチオンの状態でピッチに送り出せるよう、指揮官は尽力しなければならない。
選手登録の問題は依然として残されている。ただ、レヴァンドフスキの“お披露目”に5万9026人が駆け付けたように、ファンの期待値は高い。
メス・ケ・ウン・クルブーー「クラブ以上の存在」を謳うバルセロナの、新たな挑戦が始まる。