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【NIKE AACレポート:横地聖真】3度目のキャンプでは自分の将来を考えながら積極的にプレー

青木崇Basketball Writer
過去2年に比べると少し自信を持ってプレーしていた横地

 2年前の北京、中学3年生だった横地聖真にとって、ナイキ・オールアジア・キャンプはある意味カルチャー・ショックだった。ガードをやりたくてもやらせてもらえない状況にフラストレーションが溜まってしまい、ワシントン・ウィザーズのアシスタントコーチ、デビッド・アドキンズから取り組む姿勢を叱咤される苦い経験を味わう。しかし、アドキンズは翌年、自身が担当するスモールフォワードのドリルに横地を参加させ、あえてデモンストレーションをさせるなど熱心に教えていた。

 ナイキ・オールアジア・キャンプでフォワードをやった経験はその後、福岡大附大濠でのプレーに生かされる。昨年のインターハイ準決勝、帝京長岡を4OTの激戦を制した際、横地はビッグショットを連発。ボールを持った状態から自分で打ったシュートも幾つかあったが、プレーの流れを把握し、スモールフォワードとして必要なオフボールの動きをしっかりやっていたのは確か。3年連続の参加となった今年のキャンプは、ガードでプレーする機会を与えられたこともあって、横地の取り組む姿勢がすごく前向きだった。「今までで一番楽しくて、やりやすかったメニューなので、すごくいい経験になりました」という言葉が、我慢の連続だった過去2年との大きな違いを示している。

 ポイントガードのスキルドリルをやる機会に恵まれたことで、横地が試合でも積極的にプレーするシーンは以前のキャンプに比べると格段に多かった。また、所属したチームのコーチから前向きな言葉をもらえたことも、自分からもっとアグレッシブにやろうという姿勢に現れたと言っていい。U16代表としてアジア選手権を経験し、福岡大附大濠でも中心選手の一人になっていることも、メンタルの部分で少しずつ成長していることがわかる。高校2年になったことで、自身の将来をより具体的にイメージできるようになったことも大きい。3度目のキャンプはこんな気持で臨んだという。

「高校ではフォワードをやっていますけど、高3になったらガードをやらせてもらえると思っています。もうすぐ高3、大学生ということで、ポイントガードのことはプレーの面だけでなく、気持の面でもしっかり覚えようと思って臨みました」

 コーチングの勉強でナイキ・オールアジア・キャンプを視察した大神雄子から、“アピールする姿勢とか態度とか、ポイントガードは周りに見せたいと思うものだけど、コーチからの指示、セットプレーを周りに伝えられるかどうかで違ってくる”とアドバイスしてもらえたことは、横地にとって大きな学び。日本であまり見られなかった大型ポイントガードとして活躍することを目指していることからすれば、「右は結構できるんですけど、左が自分の中で自信がなくてできないところもあったので、もう少し左のハンドリングを増やすこと」という課題が改めて見つかったこともプラス。アジア・オセアニアの有望選手たちと競い合う環境、U18アジア選手権で対戦する可能性のある選手たちがいたことは、自身が置かれた状況を把握するうえで大きな意味があった。

 高校の先輩である中田嵩基と同じく、横地は8月にタイで行われるU18アジア選手権に出場する日本代表の候補選手だ。4月に行われたU16アジア選手権では、準々決勝でフィリピンに2点差で敗れ、ワールドカップの出場権を逃した苦い経験をしている。16歳ながら大学1年生もいるU18代表候補に入っているのは、将来を嘱望されていることの証。「16のほうではフィリピンに悔しい思いをして世界選手権を逃したので、次の18では16で負けた悔しい思いをぶつけたいです。今回は16で18に呼ばれなかった人たちの分も頑張って、必ず世界に行きたいと思います」と語る横地は、ナイキ・オールアジア・キャンプでの経験をタイの地で最大限生かすつもりだ。

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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