本物の「SUPER GT」レーシングカーが小学校に登場!ドライバーが夢の実現をアドバイス。
2月26日(水)、三重県・鈴鹿市の小学校の校庭に突如、SUPER GTシリーズを戦うレーシングカー「ARTA CR-Z GT」が登場した。卒業を間近に控えた小学6年生の生徒たちがマシンの展示を見学し、現役のGTドライバー達がマシンの説明を行った。
これは同シリーズを主宰する「GTA」が企画し、そしてオートバックスと鈴木亜久里のレーシングチーム「ARTA(Autobacs Racing Team AGURI)が協力して実現したもの。「GTA」では年に数回、レーシングマシンを小学校に搬送し、子供たちに実際に見てもらう活動を行っている。
巨大なトレーラーとGTマシンがやってきた
この日の昼過ぎ、巨大なトランスポーターに載せられた「ARTA CR-Z GT」が鈴鹿市立・明生小学校に到着。学校の周辺は道幅が狭く、校門の幅もとても狭いがトランスポーター(マシンを運ぶトレーラー)のドライバーが30分かけて巧みなコントロールで搬入。そして、中から出されたCR-ZのGTカーが玄関に展示された。
この企画には同校の6年生48名が参加。まず、今年このマシンでSUPER GTを戦うドライバー、高木真一、小林崇志の2名からマシンに関するレクチャーを受けた。実際にマシンに近寄ると、子供たちは興味津々の様子で、「羽がついているのはなぜですか?」などの質問が投げかけられ、ドライバーが丁寧にマシンの解説を行った。中にはコクピットを覗き込んで「ハンドルの所にボタンがたくさん付いているのはどうして?」など鋭い質問も出て、ドライバーたちも驚いた様子だった。
子供たちが最も興奮したのはリアハッチをあけて、エンジンを見せた時。高木真一が「街を走るCR-Zは前にエンジンが付いているんだけど、実は後ろなんです」と説明し、メカニックがリアハッチを開けると子供たちから歓声があがった。そして、コクピットではシートベルトが普段乗せてもらうクルマとの違いに子供たちは気づき、それをキッカケに子供たちは実際にコクピットへと搭乗させてもらっていた。
ドライバー2人が夢を語った
マシンの見学の後は、ドライバー2人の講演「夢の実現」を実施。高木真一は「僕が小学校6年生の時はオートバイのライダーになりたかった。それから中学生になってサッカー選手になりたいと思った時もあったけど、高校を卒業すると同時に鈴鹿に来て、レースを始めた」と幼い頃からの夢を実現し、今に至る経緯を説明。また、小林崇志は「6年生の頃はクルマが大好きな少年でした。でも、レーサーになりたいとは思っていなくて、中学生になって親と観に行ったフォーミュラニッポン(現スーパーフォーミュラ)がキッカケで僕はレーサーになりたいと思い、レーシングカートをやらせてもらいました」と語った。
今の段階でレースに興味がある子供たちは少なかったが、子供たちはそれぞれの夢を発表。「美容師になりたい」と夢を語った女の子には「原宿に行くといいよ。僕もF1レーサーになるなら鈴鹿でしかやってないから鈴鹿を走らなきゃと考えて、鈴鹿にすぐに引っ越した。知り合いの美容師さんも原宿にはレベルの高い美容師さん達が集まってきてるって言ってたし、まずは原宿を目指すといいんじゃないかな」と高木真一は自分の経験を交えながらアドバイスしていた。
こういった授業は子供たちには貴重な経験となるだろう。受講した生徒達は卒業を前にそれぞれが自分の夢について発表を行っているそうで、夢の実現に向けてのアドバイスに聞き入っていた。それぞれの夢はレースの世界とは異なっても、いつの日か子供たちの心の中でこのアドバイスが花を開かせ、大きなヒントになる時が来るであろう。そしてモータースポーツ界にとっても、長い目で見れば周りまわって帰ってくる大切な活動のようにも思える。ぜひ今後もこういう活動を全国の子供たちに伝えていって欲しい。
展示されたマシン「ARTA CR-Z GT」は明日から鈴鹿サーキットでテスト走行を行う予定。
【SUPER GT】
全国のサーキットを転戦するGTカーの人気レースシリーズ。GT500クラスにはホンダ、ニッサン、レクサスが参戦。GT300には国内外のスポーツカーをベースにしたGTカーが参戦する。今回の企画に協力した「ARTA」はGT300クラスにハイブリッド技術を活かしたマシン、CR-Z GTで参戦。ベテラン高木真一と若手の小林崇志のコンビで、CR-Z GTの2年連続王座獲得を狙う。SUPER GT公式サイト