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「ハロウィンのコスプレにイカゲーム」 韓国では緑ジャージが”爆売れ” 欧米では「禁止令」も

9月26日、イカゲームの展示が行われたソウル市内の公園にて(写真:ロイター/アフロ)

ハロウィンの週末を迎えた。

30日夜あたりから、日本各地でこの話題がより多く報じられていくだろうか。

韓国では11月1日に迫ったコロナによる行動制限緩和を直前に控え、「警戒とお祝い」が入り混じった様子が多く報じられている。

いっぽうメディアで話題になっているのが、世界的ブームになっているNetflixオリジナル配信ドラマ「イカゲーム」のコスプレについての話だ。

旬なドラマの衣裳、どう流行っていて、値段はどれくらい?

そういった話だ。

2015年のソウルでのハロウィンの様子。韓国でのそれは90年代後半に英語教室などではじまり、2010代後半から”若者が大騒ぎ”のイベントへと変わっていった
2015年のソウルでのハロウィンの様子。韓国でのそれは90年代後半に英語教室などではじまり、2010代後半から”若者が大騒ぎ”のイベントへと変わっていった写真:ロイター/アフロ

実際に関連商品は「大人気」という状態。11日に経済紙「韓国経済」が国内の大手ECサイト「coupang」「NAVERスマートストア」「11番街」での様子を伝えた。

「イカゲーム関連の商品がかなり売れている。ドラマに登場する進行要員の仮面と赤い服、主人公ソン・ギフンなどゲーム参加者が着た緑のトレーニング服(ジャージ)などだ。今月末のハロウィンに合わせてコスチュームとして人気が急上昇という評価だ」

「ECサイトではドラマで使用された小物も見受けられる。もともと海外のSNSで人気だったダルゴナ(カルメ焼き)を作るつくるキットでは、○、□や傘のマークをくり抜く枠などが売れている。その他ゲームで使われたビー玉などもだ」

記事では具体的な売上については言及されていないが、イカゲームの放映期間(9月19日~10月9日)には、韓国全体のECサイト全体で関連商品が「約7万2000件追加された」というデータを紹介。このうち”緑のジャージ”は約2万点だったという。その他、ドラマに出てくる「ダルゴナ(カルメ焼き)キット」が人気で、ドラマの放映を経てじつに検索数が842%増加したという。

では、韓国ではあの緑のジャージをはじめとしたイカゲーム関連グッズがいくらくらいで売られているのか。

国内最大のECサイト「coupang」でもっとも高価なものは「進行要員のマスク」。8万6300ウォン(約8370円)。

構内最大のECサイト「COUPANG」よりキャプチャ
構内最大のECサイト「COUPANG」よりキャプチャ

いっぽう緑ジャージ(大人用)は6万3840ウォン(6150円)で売られている。

同上
同上

ただし6万ウォン台の商品は、かなり「高価」なもの。前述の「韓国経済」では2万ウォン台前半で販売されているものも紹介された。

これには背景がある。ドラマのあまりの人気に、中国で一気に大量の緑ジャージが生産され、韓国にも輸出されているのだという。韓国税理士協会の専門メディア「徴税日報」がこう報じている。

「ハロウィンのコスプレのための需要が急増。一部で韓国製と偽って中国製を販売した業者を摘発した。この業者は緑のジャージや仮面など約1000点(700万ウォン=680万円分)を韓国製と偽っていた」

1万円以下で「旬」なコスプレができる。しかし他者と被る心配もある。これは高いか、安いか。同じ衣装の人同士、コミュニケーションもあるか。

写真は韓国での製造現場
写真は韓国での製造現場写真:ロイター/アフロ

いっぽうで韓国で多く報じられているのは「海外での反応」だ。

ドラマがNetflixで世界配信され、世界中で大きな話題となっているなか、欧米諸国では「ハロウィンでのイカゲーム関連衣装禁止令」が出されているという。

韓国10代紙の一角である「国民日報」が「アイルランド、イギリス、ベルギー、スペイン、そしてアメリカNY州の一部の学校での様子」として、「保護者側から学校側に対し『イカゲーム閲覧禁止を出す要請』そして『ハロウィンでの関連衣裳着用禁止を出す要請』が出されている」と報じた。

「国民日報」は、各国のうちイギリスの「ザ・タイムス」の報道を紹介している。

「制作国である韓国を含め、大部分の国家で18歳以上が観覧対象と定められているが、Netflixの特性上、年齢制限なしで見ることが出来る。小学生の年齡ではドラマの場面に影響を受けうる」

10月17日のオランダ・ロッテルダムのイベントでもイカゲームコスプレ
10月17日のオランダ・ロッテルダムのイベントでもイカゲームコスプレ写真:REX/アフロ

各国での”禁止令”に対し、「国民日報」記事の最後ではこうまとめた。

「国をまたいで小学校でイカゲームの衣裳に対して敏感な理由は、実際に構内で類似の校内暴力事件が相次いで発生したためだ。(各国の)保護者側は学校の出す”自粛令”や”禁止令”に賛成の立場のようだ」

この週末、パンデミックの世界でどれほど「イカゲーム」が見られるだろうか。

(了)

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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