タパレスともスパーリング。メイウェザー氏の秘蔵っ子の神童がプロ2連続KO勝利
2戦目も初回KO勝ち
25日(日本時間26日)ラスベガスのマンダレイベイ・リゾート&カジノ内のミケロブ・ウルトラ・アリーナで行われたスーパーミドル級タイトルマッチ、デビッド・ベナビデスvs.デメトゥリアス・アンドラーデ(ともに米)のリングサイドに“マネー”こと5階級制覇王者フロイド・メイウェザー氏の姿があった。これはメインイベントを観戦に訪れたというよりもアンダーカードの4回戦に目的があった。彼がプロモートする17歳の新鋭カメール・モートン(米)が出場したからだ。
期待に応えてモートンはハンター・トゥルバイヒル(米=28歳)に初回2分59秒KO勝ち。サウスポーの相手に右でダウンを奪うとボディー打ちでまた倒し、フルカウントを聞かせた。これで9月30日のプロデビュー戦(相手はエセキエル・フローレス=米)に続き2戦2勝2KO。デビュー戦もサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)vs.ジャメール・チャーロ(米)のスーパーミドル級4団体統一戦という大舞台。2試合とも初回で仕留める圧勝で、師匠メイウェザー氏を喜ばせた。
2022年全米ユース選手権フェザー級優勝をはじめ、数々の実績を残したモートンはアマチュアで何と18回もチャンピオン(優勝)に輝いたという。アマチュア戦績は156勝7敗。子供の時からメイウェザー氏が手塩にかけてキャリアをサポートした背景がある。次回のオリンピック出場を見送り、同氏はプロ入りを優先させた。ラスベガスがある米国ネバダ州では18歳にならないとプロデビューできないが、ネバダ州アスレチック・コミッションは特例を適用してモートンを出場させている。
モートンvs.トゥルバイヒル
ライト級王者スティーブンソンも称賛
最新試合はスーパーフェザー級リミット(130ポンド)に近いウエートだったが、本来はフェザー級。プロ初陣前、メイウェザー氏はWBA世界フェザー級王者リー・ウッド(英)に挑戦させたい計画があることをほのめかしていたが、いくらなんでもそれは時期尚早だろう。一方でモートンは居住するラスベガスで3階級制覇王者で現WBC世界ライト級王者シャクール・スティーブンソン(米)とスパーリングを行うなど実力向上に怠りない。
同じくラスベガスでは井上尚弥(大橋)とのスーパーバンタム級4団体統一戦に向けて調整を行っていたマーロン・タパレス(フィリピン)とのスパーリングも実現。スピード、パワー、反射神経に優れたモートンとの手合わせは打倒モンスターを目指すタパレスには非常に有益なものだったと言えよう。
ちなみにスティーブンソンはモートンに関して「手数もよく出るタイプ」と評している。そして「それはナオヤ・イノウエを上回る」とも。スティーブンソンは井上とスパーリングを行った経験はないはずだが、気になる発言ではある。すでに米国では井上がフェザー級へ進出することを想定して、首尾よく王座に君臨した井上がモートンの挑戦を受けるストーリーが注目されつつある。
vs.井上、vs.那須川は未来の黄金カード?
それは彼をプロモートするメイウェザー氏の夢でもある。自身と6階級制覇王者マニー・パッキアオ氏(フィリピン)のビッグマッチを引き合いに出し、「イノウエvs.モートンは未来のメイウェザーvs.パッキアオだ」とバックアップ。気の早い発言ながら愛弟子を売り込む。
キックボクシングの神童と呼ばれた那須川天心(帝拳)がボクシングに転向して2戦2勝。背景や経歴、年齢が違うが、モートンが今後スターダムにのし上がる素地はそろっている。メイウェザー氏と対戦した那須川との出世争いも注目される。3戦目、4戦目が楽しみになって来る。もしかしたら井上vs.モートンよりも那須川vs.モートンが将来の黄金カードになるかもしれない。