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肩透かしの北朝鮮の「新年メッセージ」 対米、対韓提案なし!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
労働党中央委員会第8期第4回総会での金正恩総書記(労働新聞から)

 今年も金正恩総書記の新年辞はなかった。

 昨年も年の瀬に行われた労働党中央委員会政治局会議での金総書記の「結語」が新年辞代わりとなったことから5日間の日程を終え昨日(31日)終了した党中央委員会第8期第4回総会での金総書記の「結語」に関心が集まっていたが、注目されていた対米、対韓メッセージはなかった。

 韓国では党総会の3日目の会議で各部門別分科会が開かれ、対韓・対米関連分科会では対韓担当の金英哲(キム・ヨンチョル)党統一戦線部長、国際担当の金成男(キム・ソンナム)党国際部長や李善権(リ・ソングォン)外相、崔善姫(チェ・ソンヒ)第一次官が出席して対韓・対米など外交全般について協議していたことから米韓が合意している朝鮮戦争終結宣言などに関して言及があるのではとの観測が流れていた。

 朝鮮中央通信は、金総書記が結語で「多事にわたる変化の多い国際政治情勢と周辺環境に対処して北南関係と対外活動部門で堅持すべき原則的問題と一連の戦術的方向を提示した」とだけ伝えていた。どのような決め事があったのかについては非公開扱いとされていた。

 また、国防についても「日ごとに不安定になっている朝鮮半島の軍事的環境と国際情勢の流れは国家防衛力の強化を片時も緩めることなくいっそう力強く推し進めることを求めている」として▲人民軍に対しては訓練第一主義と武器、戦闘技術機材の経常的動員準備、鋼鉄のような軍紀確立に集中すること▲軍需工業部門には「現代戦に相応した威力ある戦闘技術機材の開発、生産を力強く推し進め、国家防衛力の質的変化を強力に促し、国防工業の主体化、現代化、科学化の目標を計画的に達成しなければならない」との課題を提示したとのことだが、これまた詳細については伏せられていた。

 昨年1月の党第8回大会での演説では大型核爆弾の生産や極超音速ミサイルの開発、潜水艦弾道ミサイルや軍事衛星、原子力潜水艦の建造などについて触れていた。今回は核やミサイルの用語は見当たらなかった。

 なお、総会では一部政治局員の入れ替えがあったが、注目されていた金与正(キム・ヨジョン)党副部長は政治局員にも局員候補に選出されていなかった。先月17日の金正日(キム・ジョンイル)総書記の10周年追慕式では序列14番目に名前が呼ばれていたことやひな壇では政治局員と政治局員の間に立っていたことから政治局員もしくは政治局員候補にカムバックしていたとみられていた。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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