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元NBA選手が別競技でパリ五輪に出場!

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
ミネソタ時代のバディンジャー(左)(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7シーズン、NBA選手としてコートに立った36歳のチェイス・バディンジャーが、2024年パリ五輪に出場する。ただし、バスケットボールではなく、ビーチバレーの選手としてだ。

 2009年、全体44位でデトロイト・ピストンズにコールされ、その日のうちにヒューストン・ロケッツにドラフトされたバディンジャーは、同年デビュー。スモール・フォワードとして74試合に出場した。

 ヒューストンで3年、その後、ミネソタ・ティンバーウルブズ、インディアナ・ペイサーズ、フィニックス・サンズ、そしてスペインのチームでプレーした後、現役生活を終えた。

 NBAではトータルにして407ゲームでプレー。1試合平均の得点は7.9、リバウンドが3、アシストは1.2という数字を残している。

写真:アフロ

 バディンジャーは6月5日、ビーチバレーでペアを組むマイルズ・エバンスとともに五輪切符を得た。彼らは目下世界ランキング13位で、5位のマイルズ・パルテインとアンディ・ベネシュのチームに次ぐ米国第2代表としてパリ大会に出場する。米国ランキング3位チームが、チェコで行われた最終予選トーナメントの1回戦で敗れたため、元NBA選手&エバンス組が正式にチャンスを掴んだ。

背番号10を好んだバディンジャー
背番号10を好んだバディンジャー写真:ロイター/アフロ

 米メディアは報じた。

 「プロとしてのキャリアの大半をバスケットボールコートで過ごしてきたことを考えると、36歳の彼にとってオリンピック出場権獲得は驚くべき成果である」。

 とはいえ、バディンジャーは高校時代、バスケットボールと並行してバレーボール部にも在籍していた。彼はバレーボールで3度州チャンピオンの座に就き、バレーボールの専門誌による全米高校最優秀選手にも選ばれている。

今もアリゾナ大の男子バスケ部は強豪の一つだ
今もアリゾナ大の男子バスケ部は強豪の一つだ写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 スティーブ・カーやアンドレ・イグダーラが門を潜った名門校、アリゾナ大から熱心に口説かれ入学した際にバスケットボールを選択した。

 2006年にマクドナルドが主催した全米の精鋭たちが競い合うゲームでは、ケビン・デュラントと共にMVPを受賞している。アリゾナ大ではフレッシュマンの頃から大車輪の活躍を見せ、卒業1年前にNBAにアーリーエントリーした。

バディンジャーはパリでどんなパフォーマンスを披露するか
バディンジャーはパリでどんなパフォーマンスを披露するか写真:アフロ

 2018年にプロビーチバレーボールのAVPツアーに参加してからのバディンジャーは、事あるごとに「バスケ選手を引退してからは、いつも『ビーチバレーでオリンピックに出る』って言ってきた。アメリカで開催される2028年大会も狙いたい。自分の目標は世界一になることだ」と発言してきた。

 米国には競技ごとにオンとオフがあり、バディンジャーのように複数の競技でトップを目指すことが可能だ。今夏、パリの地で彼がどんなプレーを見せるか。大いに期待したい。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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